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The Shield of the Shroud

Masamune [Mana]

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ひかりのせんし

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Masamune怪談会-2017-で公開したボクの創作怪談、「ひかりのせんし」です。


──────────────────────────────────────
「お疲れさん、交代の時間だ。手紙も届いてるぞ」

「おお、ありがたい。それじゃああがらせてもらうよ」

帝国軍兵士としてアラミゴへと赴任してきて三年。ガイウス閣下の死を知らされ、第XII軍団の所属となったのはつい先だってのことだ。
有能だが冷酷な新しい軍団長と、常にその顔色をうかがい媚びへつらう上官のもとで働くのはしんどかったし、何よりも祖国に残した妻と幼い娘に長く会えていないことが辛かった。

今や唯一の楽しみになった妻からの手紙を開けながら独りごちる。

「本国への転属願いが聞き入れられるといいのだぐ、ぁ?」

カリリリリ。

「5/5人……おわり……」

カリリリリ。
帝国兵士の血で染まった巨大な斧を引き摺りながら、彼/彼女はそう呟いた。


「貴方は『アバラシアン・カトブレパス』をご存じ?」

依頼主の女性はそう切り出した。
正面からその視線を受けると身体が石のように固まってしまうという”邪眼”を持つ魔獣。
聞けば群れからはぐれたこの魔獣の子供をみつけたのだという。
これを痺れ粉で痺れさせ、その隙に眼球をくりぬいて持ってきて欲しい、というのが今回の依頼だった。

そんな物を何に使うのかとは聞かず、彼/彼女は黙って頷く。


アバラシアン・カトブレパスを目の前に、斧を持つ手を振り上げる。魔獣とはいえ、まだ小さな幼獣だ。体に見合わぬその大きな単眼で、不思議そうにこちらを見上げている。

彼/彼女はふと、数年前に受けたある依頼のことを思い出した。

マルセットと名乗る博物学者の依頼で、モールの子供を攫ったのだ。

モールは畑を荒らす害獣ではあるが、基本的にはおとなしく自ら襲ってくることがない。巣から一匹連れてくるだけと、そう思っていたのだが。

恐らくは母親であろう雌のモールが襲い掛かってきた。さして手間取るはずのないその相手に何か鬼気迫るものを感じて、少しばかり気圧されたのを覚えている。

攫ってきたモールの子供は暫しマルセットの実験台にされたあと、彼/彼女が引き取ることになった。まだ目も開けきらぬその子は、何故だか彼/彼女にとてもよく懐いた。

よちよちとついてくるその子はとても愛おしかったが、同時に罪悪感も感じた。この子の母親を殺したのは自分なのだ。この子がやがて大きく育ったら、それに気づく日はくるのだろうか。

嫌だ。そんなことは嫌だ。この子には、いつまでもこのままでいて欲しい。

彼/彼女を守護する”何か”は、その願いを聞き入れたらしい。あれから数年経った今も、モールの子供は目も開けきらぬ幼獣として彼/彼女の後をついてきていた。


意識を戻し、カトブレパスの子供を見下ろす。人も獣も、たくさんたくさん殺してきた。そうして少しずつ壊れていった彼/彼女に、躊躇する心はもはや無い。

眼は傷つけぬよう、背骨のあたりを狙って斧を振り下ろす。ごきりという音が響いたが、まだ死んではいない。借り受けた痺れ粉をふりかけると、ほどなくして幼い魔獣は崩れ落ちた。
口からは泡を吹き、全身がぴくぴくと痙攣している。

携帯用のナイフで眼球を抉り取れば……これで依頼完了だ。


「亡くなったお祖母さまが言っていたのです。」

依頼主の女性は眼球を受け取ると、感謝してこう言った。

「人を呪うときには、カトブレパスの邪眼を供物にすると、未来永劫苦しめることができる、と……。」

なんと、くだらない、理由だろうか。

「今に見てろよ、あのクソ帝国野郎!
 散々こき使ってくれた礼は、倍にして返してやる……!」

そんなことはどうでもいいと、掌を上にして彼女に差し出した。

「ん、ああ、報酬ね」

粗末な袋に入ったギルを受け取る。だがそれ自体は、彼/彼女にとってははした金にすぎなかった。

同時に、身のうちに何かが充足するのを感じる。これこそが本当の報酬だ。
”経験値”として換算されるそれによって、彼/彼女はまた一つ強くなり、そして壊れていく。

恍惚とした顔の依頼主がかかげた邪眼が、アラミゴの鋭い日差しを受けぎらりと光る。
思わず視線を下へそらすと、目も開けきらぬモールの子供が彼/彼女を見上げていた。


その瞼が。
ゆっくりと、もちあがっていく。

わたしのかわいい、モールの子。わたしが殺した、モールの子。
その目が。

今や大きく見開いて、彼/彼女を見つめていた。

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Comments (5)

C'yath Coccia

Masamune [Mana]

今回もXIVを絡めたお話で楽しめました~!
しかも主役が私達光の戦士なのでゾッとしたw
あのモールの子、まさかの伏線回収でクエになったら嫌だなぁ…。
どうか開発の方の目にとまりませんようにw

Chantama Nyan

Shinryu [Meteor]

ぱにさん おはようございます&おひさしぶりであります。

いあいあ なかなかの力作!いつもながら素晴らしい(妄想ー笑)参加したかった

いつかきっと、遊びにいきますね^^

Beatrice Beatrix

Masamune [Mana]

怪談会お憑かれさまじゃ~U。・x・)ノ
しかし、まだモールを持っておらぬわしに隙はなかった!ヽ(。・(エ)・。)ノ

Lala Tora

Masamune [Mana]

ぱにをみて、次はかぼたん殺害ルートでクリアしようって思いました!
帝国兵あわれ・゜・(つД`)・゜・

Punish Linkage

Masamune [Mana]

C'yathさん>
これはバッドエンドということで、
あの子のその後は何らかの形で語って欲しい気も……


CHantamaさん>
お久しぶりです!
怪談会はこれでなんと7年目になります。来年もやるはずなのでその時は是非!


くまー>
チャットでも言ったけどくまは是非母親不殺でクリアするのじゃ!
攫う事にはかわりないけど……

お憑かれさまでした!



とら>
かぼたんに罪はない!わるいのはきっとりお!
帝国兵にも生活はあるはず、ってわりとずっと思ってました

勿論ゲスいのも多いけど
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