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Lord Protector

Sidh Malaguld

Ultima [Gaia]

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妄想ジョブクエスト「魔界幻士編 EP3 風に立つG/夢の守り人」【5】

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 この日記は二次創作になります。
 独自設定並びに、独自解釈を含みます。
 また下記ネタバレを含みます。

 ・巴術/召喚士クエスト
 ・蛮族クエスト
 ・クリスタルタワー関連
 ・メインクエスト
 ・フラクタル・コンティニアム関連
 ・その他サブクエスト等



 また露骨なパロディーを含みます。

 ご注意ください。













---------------------------
これまでの魔界幻士!

 

 「エカトル空力団の皆さんも招かれて、新技術の意見交換の為のシンポジウムや、新型飛空艇の博覧会が開かれることになったんですッ!! 生きてて良かったぁ!!」

 

 「……アンちゃん、そいつは夢じゃねえ、夢ってのは、もっと胸の中からどうしようもなく沸いてるもんだッ」


 

 「我らが……神……全て……捧げます……我らが愛しの神……麗しの女神……美しき翼もつ……セイレーン!!

---------------------------


クルザス中央高地 キャンプドラゴンヘッド僻地

 

 「ガドル……!」

 

 「ベルトの方が耐えきれずに暴走したか、神との相性があまりに良すぎたようだな」
 「……くっ……」
 「まあ、ここまで神を強化したのだ、次の機会を伺うのがいいさ……」
 「……ダメだ、私には、”今”やらねばならん事が出来た……!」

 「ほう? だがどうするのだ? あの二人相手に勝てるのか?」
 「……切り札は……ある」
 

 「アラガントランスベルトΧ(カイ)……くくっ……ヤ・バダーの物だな、やはり君だったのか? だが君はあの兄弟やメ・ガルメとは違う、魔界幻士はおろか、召喚士としても本格的な修練を積んだわけではない、おいそれとそのベルトは使いこなせんぞ?」
 「知識なら自らで得ている……やれる筈だ」

 「ほう……?」

 

 ――そういうと、異形の魔界幻士は自らの頬を撫でた、変身の一部が解除される。
 現れたヒトとしての素顔には――奇妙な文様と――蒼天を見つめる瞳があった。

--------------

 ――キャンプドラゴンヘッド、フォルタン家城塞

 ナタラン入植地から引き揚げてきた双蛇党員や神殿騎士達が、フォルタン家の施設を借りて食事をとっている。

 「すいません、グランドカンパニー所属ではないのに、俺までご馳走になってしまって」
 「いいの、ここの前の主は、冒険者を支援するのが好きだったから……最近はイクサル族がこの近くまで来て大変だったの、一緒に戦ってくれたんでしょ?」
 フォルタン家の厨房を取り仕切っているメドグイスティルが笑顔で言った。
 「良いゼーメルトマトが入ったの、沢山あるからお腹いっぱいにしていって!」
 
 

 ――ク・ウガとシドゥも、フォルタン家の人々から食事をごちそうになっていた。

 シドゥは早々済ませてしまって、何やら思案を続けていた。
 ク・ウガは猫舌のせいもあってか、食前にと出されたお茶を、まだ少しずつ飲んでいた。


 「なぜ、あの魔界幻士は引いたんだ……?」
 シドゥの思案の内容は先ごろの戦いの事であった。
 「恐らくですが……召喚合体した神の力が強くなりすぎて、ベルトが暴走したのかと」
 「ベルトが、暴走?」
 

 「力が逆流して、自分の身体を傷つけてしまったのでしょう」
 
 そういえば、最後の力比べの最中、敵のベルトが破損したかに見えた。

 「あの敵が使っていたベルト――あれはアラガントランスベルトマークΦ(ファイ)より以前に作られた、簡易量産型のΟ(オミクロン)のベルトですね」
 「オミクロン?」
  

 
 「ええ……元々アラガントランスベルトは召喚士の力を高める為に開発された装備でした。
 しかし、研究の過程で、蛮神と一体化できる程、召喚士の力を高める物が生まれたんです。
 ……その結果生まれたのが、魔界幻士のベルトです」
 「ふむ?」
 「その力は絶大でしたが――初期のベルトはコントロールが難しく。
それゆえに蛮神の力を大幅に制限してしまう事で、
一旦実用化に踏み切ったのがマークΟのベルトです」
 「それで、簡易量産型か」
 「はい、召喚士であれば、誰でも使える程の、扱いやすい兵器で大量に生産されたようです。 しかしそれはオリジナルのベルトとは比較にならないほど出力も乏しく、あくまで簡易的にしか蛮神の力を引き出せませんでした。 それでも……オミクロンを用いた召喚合体は、アラグの戦力としてはそれなりに評価されたようです、後年、蛮神の活動が活発になり、更なる力が必要となる迄は」

 「確かに、厄介な敵だが、今まで戦った敵の方が強い力を感じたな」
 「前回も、前々回も早々と敵は退却しています。
 恐らくは俺達と真正面から戦えば、いずれ力負けすると判断してのことでしょう」
 「なら、次は倒せるな?」
 シドゥは不敵な笑みを浮かべた。
 「ふふ、そうですね……」
  ク・ウガは笑った。

 と、ク・ウガはようやく茶を飲み終えて、料理を手にを出した。
 配膳された料理は、ラタトゥイユだった。

 

 「……これ、イシュガルド風の味付けですか?」
 ク・ウガはメドグイスティルに尋ねた。
 


 「……? ええ、そうよ! ゼーメルトマトたっぷりの、イシュガルディアンラタトゥイユね!」
 「……そうなんですか! 美味しいです」
 ク・ウガは、そう言いながらも、不思議そうな顔をしていた。

--------------

 数日のクルザスでの滞在を経て、自体が沈静化したことを確認すると、シドゥはク・ウガと共に、一度グリダニアに戻った。

 ク・ウガが独自の調査があるというので、一旦分かれると、シドゥは北部森林のエカトル空力団の工房に、先日の礼を言いに向かった。

 飛空艇のシンポジウムとやらが近いのか、工房は熱気に包まれていた。

 

 「あと数日でシンポジウムですよ! それに先んじて、明日にはハイウインド社とガーロンド社とスカイスチール工房が協力して作った新型飛空艇もお披露目されるんです!」
 「へぇ……気合入ってるじゃないか」
 「バリバリですよッ! 明日には僕もクルザスに向うんです!! 出航式楽しみだー!!」

 興奮気味のタタラムが、シドゥに言った。

 

 シドゥは、デズルクワラン号を眺めた。
 『人の作ったものが、人を不幸にせず、誰か幸せにして、その積み重ねが歴史を作っていく……そういう世界にするのが、俺の夢なんです』
 
 ク・ウガの言葉を思い返す。

 「俺には、夢はないか」
 
 シドゥは、思わずそう呟いた。



-------------------------------------
 

 翌朝、リリーヒルズ。
 

 ク・ウガの部屋に、影があった。

 

 影は、掃除道具を降ろすと――それには手を付けず、本棚に向った。

 

 影の正体は、30前後のエレゼンの女性――ク・ウガのリテイナー、マミヤだった。
 



 「……そこには、魔界幻士の資料はありませんよ」
 マミヤに、声を掛けるものがあった。
 「……!」
 
 

 ク・ウガだった。
 「少し気になっていたんです、まるで俺達の行動を先回りするかのように現れる謎の魔界幻士の事を」
 「……」
 「もしかして、近くに敵がいるのかも、と……」
 「……仰ってることがよくわかりませんが?」
 「マミヤさん……貴方、第七霊災の時に記憶を失って、一年ほど前に記憶を取り戻し、冒険者として、リテイナーに復帰したそうですね」
 

 「……」
 「どうして、貴女だと思ったか気になりますか? ……きっかけは、本当に些細な事でしたよ、本当に……」

 

 ク・ウガは先日ドラゴンヘッドで口にした、ラタトゥイユの味を思い出す。

 

 「……双蛇党のボルセル大牙佐は、フォルタン家に冒険者として雇われていた経歴がありましてね。 以前貴方がリテイナー登録の為、双蛇党に訪れた際、どこかで見たような記憶があると覚えてらっしゃったそうですよ」
 「……!」

 「……貴女の本当の名前は、マミヤではない……イシュガルド人の”レーナ”だ!」

 

 「ふふ……アハハハ……どうやら、調べはついているみたいね」
 正体を暴かれたマミヤは笑う。
 「俺に近づいたのは、魔界幻士としての知識を得るため、ですか」
 眼鏡の奥の、嘲るような視線をク・ウガは見つけた。
 「ええ、他のゲームの参加者を出し抜くためにも、要注意とされてる貴方に近づくのが逆に一番だと思ってね」
 「ゲーム……! こんなことやめてください! 貴方がグ・ロンギに協力する理由なんて無い筈だ!!」

 
 「あるわ!!」
 「!?」
 マミヤ――レーナは怒鳴った。

 「ゴホ……」
 レーナは咳き込み、大きく息を吸った。
 ク・ウガはその様子に、何かを察する。
 「……調べたのでしょう、貴方……私のことを?」
 レーナは、咳き込む喉を抑えると、そんな自分を見つめるク・ウガに、何か思い当たるフシがあるようだった。
 
 「貴方は、イシュガルドで人気だった元神殿歌手……異端者と竜族の襲撃の際に負傷し……喉を傷め、その後、両親を無くし……そして……」
 ク・ウガは調べた彼女の経歴をそのまま語った。


 「そうよ……」
 レーナは語り始める。

------------------------------


 本当はもう、私は飛べない筈だった。

 歌えない筈だった。
 


 

 夢を見ていたあの頃。
 下級貴族として生まれ、後ろ盾も無く、それでも自分は歌を愛し、愛されていると感じていた。

 それだけでよかった。
 天にも昇る気持ちだった。

 毎日ハルオーネ様や十二神に感謝した。
 彼女達を称える歌を歌った。


 そして、私はやがて、教会で、時に舞台で、歌えるようになった。


 さらに、いつの間にか――。
 『どうか、私と結婚してもらえないか、君の歌声を、いつもそばで聞いていたいんだ』


 私にとって、歌は夢となり、歌は翼となり、歌は全てを齎してくれるようになった。


 でも――。




 『そんな、彼女はもう歌えないのですか?』
 『やはり……我が家はそういう運命なのだな、娘に頼った私が……バカだった』
 『破談だそうです……あの芸術子爵に騙されましたね?』
 『不幸だったわネェ、まあ、異端者はみんな死んだワ? 良かったわネ』


 歌は枯れ果てた。
 翼はもがれた。
 祖国、イシュガルドは、歌と共に私の全てを奪っていった。

 でも、無くした筈の夢だけが――心に残り続けて――私を――。
 



 






 『この時期に幻影諸島に――? アンタまさか、楽に死ねるなんて伝説、信じてなかろうな?』




 
 

 気づけば、若くはない歳になっていた。
 
 もう何も、私に響かない。
 

 私は、もう飛べない。
 私は、もう輝けない。
 私は、もう――。


 「哀れな夢の迷い子、さあ、目覚めさない
 

 だが、身を投げた筈のこの身に、歌が聞こえた。
 久しぶりに、私の心に響くモノ。

 
 

 私は、魔物に出会った。 


 人々の心を惑わせる、魔物――いえ、それは――その時の私にとって。


 


 神に見えた――!


 



------------------------------


 

 「生き延びた私に、グ・ロンギ・ヌンは与えてくれたわ! もう一度歌を! 翼を!」


  

 「……セイレーン族はかつて人々を魅了し、海の民に神の化身として祀られていた事もある……強い絶望から、神としてのセイレーンに触れたのか……!」


------------------------------
 

 『本当はもう、私は飛べない筈だった』
 

 「召喚合体……!」
 『歌えない筈だった』
 

 『だが、グ・ロンギの授けてくれた秘法と、私の神はもう一度それを与えてくれた』
 

 『歌と……』
 

 『翼を……!』
 

 『だけど……戻らないものが、一つだけあった』
 

 『この胸に燻り続ける、呪い』
 

 『あの蒼天のイシュガルドに歌った、数多の夢!!』

-------------------------------------



 「夢……! マミヤさん……いや、レーナ、貴女……まさか!」
 

 「……私には、もうこれしかない! 例えこの命を燃やし尽くしても……あの国がもう一度夢を見るなんて、私には耐えきれない!」

 マミヤは、先ほど床に置いた道具袋から――何かを取り出す。
 

 「それは……!」

 アラガントランスベルトΧだった。
 「それは危険です、あなたは魔界幻士としての修練は積んでないはずだ、そんなものを使えば!」
 「だから、貴方から知識を手に入れようとした、少し……足りなかったけれど、方法は見つけた」
 「まさか……!」


 「リミッター解除……ラストワン!」

 『LAST ONE』
 
 ――ベルトから、機械音声が鳴り響いた。

 「……そんな! そのコードは……死ぬ気なんですか!?」
 ク・ウガはその言葉の意味を理解していた。
 魔界幻士が、命に代えて敵を倒すために、蛮神にその身を捧げ、最大限の力を発揮するベルトの隠し機能であった。
 「全てを捧げれば……あの国を終わらせる間くらいは、私は自由になれる……」
 レーナは、その命のすべてを、今セイレーンに捧げようとしているのだ。
 自らの呪い、イシュガルドの夢を破壊する為に――。


 

 ――と、ベルトを巻いたレーナの顔に刻印が現れる、神との、セイレーンとの召喚合体が始まっているのだ。
 いや、侵食に近いとク・ウガには見えた。

 

 レーナは眼鏡をはずす、その瞳は、輝いていた――。


 「待って、そんなことをしたって!」
 ク・ウガがそれを止めようとする。
 

 「召喚合体……!!」
 しかし、レーナは問答無用で竪琴を取り出し、それを奏で、歌うそぶりを見せた。

 ――声はでない、が、何かレーナ以外の声が聞こえてくる。


 

 『RAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

 ベルトが不気味な光を放つ。
 聞こえてきたのは――セイレーンの歌声だった。

 
 「フフ……じゃあね、ク・ウガ!」
 「まって、マミヤさん……! 俺、好きでした!

 

 「え……?」
 

 「貴女が作る料理も! 貴方が切ってくれた花も! 貴方が整えてくれた部屋もみんな好きでした! それは貴方が……心をまだ持っているからだ! イシュガルドで多くの人を感動させた、歌を歌えた心が残っている! だから、これしかないなんて、そんなことないですよ!」

 

 「……」

 レーナは、少し、寂しそうに微笑んだ。
 しかし、ベルトの輝きは止まらない。

 

 「そんなことを言ってくれた男の子は初めて……」
 ”……だけど” とレーナは言いかけ――。


 


 ――召喚合体は、完成する。


 


 「あああ!?」


 

 部屋の中に、すさまじいエーテルの流れが渦巻いた。



 

 「はぁん……!」
 輝く、翼――。



 

 「ああ……私はまた唄える! もう一度飛べるわ!!」


 若々しく瑞々しい美貌――そして、声。
 

 

 ゴオゥ!

 翼を広げて、窓を突き破り、その者は、天へ舞っていった。


 「あ……ああ……!」


------------------------------------------
 


 ――クルザス西部高地、新型飛空艇出航式会場


 


 「よし……! 準備完了だ! あとは青燐機関に火を……!」

 タタラムが、式への最終準備を終える。
 その時であった。

 「坊ちゃん! 何かが……!」
 「え!? ……なんだこれ……歌!?」
 




 ラ……ラ……RA……!


 「あ!?」


 

 

 ゴォオオオオオオウ……!!


 ――タタラムたちを飛空艇ごと、音のエーテルが包み込んで行った。


 「うふふ……うふふふ……」
 


 それを天から見下ろす者。

 

 「うふふふ! あははははは!!」


 

 ――完全体となった、唄神セイレーンの化身の姿がそこにあった。



 
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