当記事は、RPイベントのセッションを元に、
ストーリー風に物語を書き起こしたリプレイ兼、RPストーリーです。
苦手な方はご注意ください!
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/12662472/event/47865/開催日時:2020/11/20 22:00 ~ 23:00
参加者
Sidh Malaguld さんIan Russell さんGauche Falx さんNira Reba さんまた、ver5.xシリーズのストーリー内容を含みますので、5.xパッチの上のストーリーが未プレイの場合はネタバレの可能性がございます、ご注意願います。
------------------------
「何代か前の”光の巫女”が命を落とした、不吉な場所って話だよ」
――光の巫女。
ミンフィリアと呼ばれ、罪喰いと戦う力を持ち、金の髪に青い瞳をしているという。
そして、彼女は何度も生まれ変わって、罪喰いといつも最前線で戦い続けたのだとか。
灯台は、その、何代目かの巫女が命を落とした所らしい――それも、とても酷い死に方で。
そんな場所だったからこそ、ユールモアの人間は誰も寄りつかず、
隠れていた”はぐれ罪喰い”の存在にも中々気づくことが出来なかったのだ。
「そしたらだ、ドン・ヴァウスリーが姿を消したところ、罪喰いがこの近くまで飛来するようになった。 ……そこで、今回の話という事さ」
見て見ぬふりが、出来なくなった、ということだ。
「……はぁん。腐った大樹も一応罪喰い避けにはなってたってことかな……綺麗になったので飛んできたか?」
ひひひ、とレバットが皮肉めいて笑った。
以前までは、ドン・ヴァウスリーの不思議な力があったおかげで、少なくとも罪喰いに食われることは無かった。
――話に聞く、”吐き気を催す事実”さえなければ、悪く無い事だったのかもしれない。
「まぁどっちがマシかなんて今さらだろ」
ゴーシュが肩をすくめた。
その通りだ、あのままドン・ヴァウスリーの治世が続いてたと思うと恐ろしい。
「ここには罪喰いの餌となる人間も多くいる。早めに退けねば第二の廃灯台となるだろう」
ロストバンが言う、彼らしい言葉だ。
その言葉にレバットは
「ふひひ、そいつぁ困るな。ここの連中は金を持ってる。商売相手がいなくなるのは困るってなもんさ」
と、笑って見せた。
私も三人に頷いて見せた。
「騎士は人を守るモノ……らしいから、私も騎士の末裔としてがんばるよ」
騎士の誇りか。
――本当に感じているのは、戦いへの高揚だったけど。
これでいいんだよね、姉さん。
「……しかし光の巫女ねぇ」
道中、レバットが首をかしげる。
「実は、その事で、街の外壁に居る方から面白い話も聞いてね」
ただの噂話だとは思うんだけど、と私は続けた。
「なんでぇ……気になるじゃねえか。お宝が眠ってるとかいう話とは違うのかい?」
その話に、レバットがこちらの眼をのぞき込んで来た。
儲け話には敏感なのだ。
残念ながら違う、と私は述べた。
彼は少しガッカリした様子だったが、お宝ではなくとも、私には些か興味ある内容だった。
我々は予定通り、ユールモア政府の用意した飛空艇に乗り込み、沖合から小舟で海に降り、そこから灯台を目指した。
戦える騎獣ならまだしも、空を舞う罪喰い相手だ。
飛空艇で最上階にとりつくのは、余りに無謀だった。
その為、地表にある灯台の入り口から潜入し、内部から最上階を目指す。
「遠方、さらには罪喰いの巣とあってはヤクルスは連れて行けんからな…仕方あるまい」
ロストバンが言った。
――私も、”騎獣”での突入がうまくいけば、こうも苦労しなかったのに。
と、騎獣の”彼”の事を思い返した。
「何にせよ、脅威ならば取り去るだけだ」
「そうだね、急ごうか、被害が出ないうちに……」
「違いねェ」
ゴーシュも頷く。
「ふひひ、頼りにしてるぜえ。オイラぁ衛生兵だ。怪我したらちゃんと言うんだぞ」
レバットが錆びついた、天球儀のようなものを見せて笑った。
今回は、私が前衛を務め、ゴーシュとロストバンが攻め手を請け負う。
レバットは癒し手として皆の治癒と後衛に当ることになっていた。
「頼りにさせてもらうよ」
と私は述べて、皆を手招きし、灯台内部へと侵入した。
「……うへぇ。水が腐った匂いがしやがる」
レバットが顔をしかめた。
灯台は、内部の設備がまだ生きている様子ではあったが、
ずっと手入れされていなかった為か、水が淀んで、あちこちから異臭がした。
「足場もひでぇが、戦うぶんには問題ないだろ」
ゴーシュが腰の刀剣に手を伸ばして歩を進める。
と、
「あれは……?」
――灯台の内部には、海辺に住む魔物達がひしめいていた。
人食魚の類や、オンド族が移動に使う海獣なんかもいた。
恐らく、ここを外敵から身を護る”巣”にしているのだろう。
それ故、魔物が集まっているのだ。
人を襲う魔物の多くだって、本来それくらい慎重で臆病なのだ。
だが、その臆病なハズの魔物たちは、私たちの気配を察するや否や、直ぐに飛び掛かって来た。
「――!」
ロストバンがダガーを構える。
――罪喰いの影響を受けて、魔物が凶暴化することがあった。
私は、暴れ出す魔物に密かに手ごたえを感じると剣を構える。
罪喰いならまだしも、魔物程度に負けるわけにはいかない。
私が大剣で斬り込む隙に、ロストバンのダガーが跳ねて、ゴーシュの刀が止めを刺す。
万が一取り逃しても、レバットが後詰に控えている。
先ずは小手調べと言った所、だった。
水棲の魔獣達の駆逐はあっという間に完了した。
「……ふう、大丈夫かい旦那」
人食い魚に歯を突き立てられたが、レバットが応急処置をしてくれた。
この程度なら、痛みも残らない。
他の皆は傷一つない。
頼りになる仲間達だった。
そんな、我々は灯台の奥にさらに足を進めた。
「……見慣れねぇもんがおおいな」
レバットが辺りを見回した。
ドワーフの使うオートマトンとはまた違う、鉄製の器具があちこちに見えた。
”光の氾濫”で失われたモノは、何も人や物だけではない。
ターロスや造船など――”技術”や”知識”もだった。
これらも、昔は当たり前の様に使われていた物なのだろうか……。
と、私は足元に何かを見つけた。
――人?
それは人の亡骸の様に見えた。
だがそれは、体に眩しいクリスタルが生え、”白い”手足をしていた――。
すると、
「うお!」
レバットが撥ね退いた。
その骸が動き出したからだ。
「 人だ!」
レバットが叫ぶ。
”人型の何か”が、動き出した。
「これは……!」
ロストバンが奇怪な相手にダガーを構えた。
話の通じる相手じゃない。
その白い肌を見るだけで私は察した。
「罪喰い……か!」
すぐさま私は剣を振り下ろし、首を頓ねた。
他にも何体か居たが、そちらはゴーシュが刀剣を胸に突き刺し、仕留めていた。
「ったく、驚かせやがって」
再度骸となった罪喰いを見る。
「うへえ……えぐいな。こんだけ見目が残ってると」
レバットが顔をひきつらせた。
人型の罪喰いの話ならば聞いた事がある。
とはいっても、賞金稼ぎならば誰もが知る「四使徒」の話だ。
嘘か真か、その正体は「光の戦士」の亡骸が乗っ取られたものだったとか。
彼らもまた、なんらかの理由で、人の形をしたまま罪喰いにされてしまったのだろうか。
私は黙祷をささげた。
――そして”調べもの”で得た知識が、事実であるという確信を得た。
私たちは階段を上り、上階へと移動した。
奥に進むと、広間のような場所があった。
――軍事教練が出来るような。
「……ん」
レバットが何かに気が付く、人影があったのだ。
だが、ここに我々以外の”人間”が居る筈もない。
居るとすれば――
「奴さんは死体の真似事してねぇな」
ゴーシュが刀を構えた。
居るとすれば、それもまた、人型の罪喰いに他ならなかった。
そして、その罪喰いは特徴的な外見をしていた。
「ユールモアの軍服……」
その罪喰いはユールモア軍がかつて着ていた将校用の軍服を着用していた。
「……思い当たることがあんのかい旦那?……そいつかい? お目当ての奴ってぇのは」
「いや……目標は羽の生えた罪喰いと聞いた、残念ながらアイツじゃなさそうだ」
私はレバットに肩をすくめて見せた。
私は罪喰いを見た。
強い威圧感と、敵意を感じる。
「通すつもりはなさそうだな……後ろを頼むよ、ロストバン、ゴーシュ!」
私は剣を構えて跳ねた――。
「てぇーい!」
上段から剣を構え、振り下ろす、しかし――。
――カッ!
光が、はじけた。
「!?」
私の身体は、強い光の波長に跳ね飛ばされ、床を転がった。
「いてて……なんか突然爆発した……うわなんだこれ!」
レバットが叫び、慌てて私に治癒を施す。
私は何とか立ち上がり、辺りを見回した。
そこには、いつのまにか、眩い輝きを放つ、光属性のクリスタルがあった。
何かの気配を感じ、上を見上げると――天井には、同じような巨大なクリスタルが、突き刺さったように存在していた。
奴が動くと、クリスタルも呼応するかのように落下を始めた。
その煌々とした輝きが、眼帯の奥の左目に障った。
「ぐぅっ?!」
ゴーシュとロストバンもまた、クリスタルの破裂によって生じた光に遮られ、歩を止める。
私は、少し引いて剣を構えなおした。
「ふふ、ふふふ……」
どうしてだろう、苦しい筈なのに。
嗚呼、強い罪喰いと相対するたびに私の身体は、心は高揚した。
……嗚呼、あの罪喰いを滅茶苦茶に切り刻みたい!
その欲求が、愉悦が、私を破顔させていた。
「ふひひひ、楽しそうじゃないの旦那」
レバットが私を見て笑う。
「そういう顔もするんだなぁ」
悪いね、正直、胸が震えている。
ロストバンがそんな私に何か言いたげだったが、彼は無言でダガーを手に取った。
「先に抑える必要がありそうだな」
ゴーシュも同様に剣を構えなおす。
「おうさ」
レバットも、天球儀を廻しカードを取り出した。
「もう一度いこう……今度こそ」
皆が頷く――私は抜刀し、人型罪喰いに再度斬りかかった。
「さーて愉快な相性占いの時間だ! まぁ無理やり良縁に捻じ曲げるけどなぁ……ふひひ、堪忍しろよ!」
レバットの術が私に力を与えた。
――だが、それをもってしても、罪喰いと、クリスタルの放つ、光の力は強大だった。
(眩しい……!)
見えない筈の左目が光を感じて疼く。
と――。
「……ぐ!」
爆風が、私の身体の自由を奪った隙に、罪喰いの剣が私の身体を貫いた。
血が流れ、体が痺れていく――。
だが。
「ふふッ……! やらせないよ! ははは! ユル=ケン……! 痛みを感じなくしておくれッ!」
私は、姿を消して同行しているだろう”オトモダチ”の名前を叫んだ。
すると、ピクシー族の鱗粉が、私の周囲に舞う。
「無痛になる『毒』だ、くたばる前に仕留めろよ! ぎゃははは!」 オトモダチ――ユル=ケンの声が聞こえた。
途端に私の体に自由が戻る。
爆風も、剣も、光も、なんの痛痒も感じない。
「ははははっ!」
私は笑った、今感じるのは――罪喰いを狩れるという喜びだけだった――!
私の大剣が、やっと罪喰いに届く。
壁に徐々に罪喰いを追い詰める――クリスタルの爆発が届かない所まで――!
それを見逃さず、背後からロストバンがヤツに飛び掛かる。ゴーシュの太刀も、その胴体を袈裟斬りにした。
「!!」
罪喰いが、二人の刃を受けてとうとう膝をつく。
すると、
「……ココ……オレハ……一体……ミン……リア……必ず…カラ……」
「!!」
罪喰いが、何かを呟き、そして倒れた。
(やった!)
私も剣収め、勝利をかみしめる――。
(あ……)
だが、痛みを感じずに動かした体。
そこ帰ってくる痛みは、本来の何倍もの激痛となる――。
(……!!)
気を失いそうになった。
私はそのまま前のめりに倒れ込む。
(まだ、最初の相手なのに――!?)
嗚呼、馬鹿だな、私こんなところで……。
だが、それを助けたのは――。
「ひぃぃぃ畜生! たのむ起きろ! 立ってくれぇ!」
レバットの治癒魔法だった。
「ぜえぜえ……」
息を荒げるレバット。
「…何とか沈められたか」
ロストバンが、スリザーバウの水を振りまいていた。
夜の民が洞穴の闇の中で清めた水だ。
罪喰い化や、光の干渉に効果があるとされている。
流石に、夜が取り戻された今では、体に光が”溢れる”事は無いだろうが……。
「あークソ死ぬかと思った……」
ゴーシュもレバットの治療を受ける。
「す、すまねえ、回復がおっつかなかった……」
荒く息を吐きながら、レバットが言う。
「いや…お前がいなければ全滅していた」
そんなレバットに、ロストバンが言った。
「さすが衛生兵だ」
私もレバットに言った。
深手にならなかったのは幸いだった。
レバットの治療があってこそだろう。
「レバットが命綱だったな」
手当を受けたゴーシュがも言う。
「ふひひ、よせやい。ケツがかゆくならぁ」
レバットは少しだけ照れ臭そうに笑った。
倒れた罪喰いの身体が発光し、光となって消えていく。
「……人の言葉を話していたな」
ロストバンが言った。
「そういや何か言ってたな、アイツ」
ゴーシュがこちらを見る。
皆、私が突入前に呟いたことを覚えていたのだろう。
私は、体の痛みが消えた事を確かめると、歩を進めながら、三人に”調べもの”の内容を話始めた……。
(続)