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週1時間の物語 144時間目「遠回りしてきた道」後編

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週1時間の物語 144時間目「遠回りしてきた道」中編

地下へ掘り進められたこの街の入り口の急な坂を駆け下り、坑道のトンネルのような通路を抜けるとドライボーンの中央広場にでる。俺は”乾いた骨”の名の通り乾燥して殺風景なこの街の早朝を駆け抜け、ランベルタン教授の部屋へと飛び込んだ。

「素晴らしい!これこそが君が求めていた汚染クリスタルだ!風の属性を増強するクリスタル!!」
日に3度も俺を迎え入れた教授は相変わらずのテンションの高さだったが、やや目が腫れぼったく見える。おそらくクリスタルを採取して戻るまでに少々仮眠を取ったのだろう。深夜から早朝にかけて冒険者の相手をするのも大変だ。

「ところで、そもそもなんのために汚染クリスタルが必要だったのかな?聞いてなかった」
俺はガラス玉のような目で「風の属性を弱めガルーダが張ったバリアを突破するためなのだが」と答えた。確かに目的は話してなかったように感じる。しかしそれなら教授はなんの情報をもとに俺をハハサコの元に派遣したのか?

「何っ?風の力を弱めるためのクリスタルか。うむ、それでは逆だな。逆のクリスタルを取ってきてしまったな」大げさに頭を振って困った様子を演出すると「しかし、良かった。いい練習になったじゃないか。もう汚染クリスタルを安全に採取する方法は習得しただろう?そもそもトライ&エラーが科学の本道。前へ進もう!今回採取したクリスタルはバルデシオンの学徒たちがエーテル学の授業で使うので無駄にはならんしな!」とやけに流暢に一息でそういった。悪びれた様子は全くない。
それどころか教授の言動には何か確信犯的な響きが感じられる。
おそらくこの人たちは冒険者を遠回りさせた距離に応じて歩合か何かをもらっているのだろう。

教授はこちらの様子を窺うように上目遣いの視線を投げかけている。
「そうだった、風の力を弱めるなら、そうだな。私の弟子がもう一人いるのだが、シーナと言ってね。確か東ラノシアに」
話の途中だったが何か感じるところがあって俺は教授をにらみつけた。教授は何か見破られたようにしどろもどろになって「ちがったちがった。西ラノシアだ。エールポートにいる、どういう経緯でかは忘れたが。彼女なら君を必要な汚染クリスタルへと導くだろう」と言った。

東ラノシアへ回り道をさせられるところをすんでで回避した俺は教授に別れを告げるとテレポを口の中でもごもごと詠唱した。紫色の光がばっと広がり俺の体がエーテルの流れに飲み込まれるとその場には元から何もなかったような静寂が広がった。朝日が昇って大分経つが教授の部屋は夜中と同じぐらい薄暗く、そしていつもどおり少し明るすぎるランタンが皓々と輝ていた。


エールポートのエーテライトから少し急なスロープを上ったところ、港と停泊する船舶を一望できる眺めよいところに教授の弟子、シーナは立っていた。肩まで伸びたピンク色の髪に深い臙脂色のじょびジャージのようなハーフローブを羽織り、白いタイツ、そしてトレッキングシューズのような大きめのクラコウという出で立ちだ。彼女は始めこそ不可解そうな視線をこちらに向けていたが、教授お手製の汚染クリスタル・コンテナ・デバイスを見せると一気に警戒を解いた。
コンテナ・デバイスの持つ教授の紹介状代わりとしての機能はなかなか優秀なようだ。

「シリウス大灯台周辺のエリアに特別な汚染クリスタルがあるみたいなんです」彼女は灯台が立つウンブラ諸島を遠く眺めるように言った。「でも今は渡航禁止令が出ていて渡れないんですよ。何度も実験の趣旨を説明しても許可が下りないんです」
彼女の様子をみて俺は一つため息をついた。
「そうかいそうかい。じゃ、どうやったら渡れるんだ?あれか?雨雲と太陽が交わるときウンブラ諸島へ虹の橋が架かって渡れるようになるってんだろ。それならまずは雨雲の杖を取りに行かないとな。任せとけ、おつかいなら慣れっこだ」俺はもうどうとでもなれと言う感じででたらめを並べた。

彼女はそのセリフを聞いておかしそうに笑うとしばらく黙ってエールポートの様子を眺めていたが、その内息を大きく吸い込むとこちらを振り返ってこんなことを言った。

「潮の香りが清々しくないですか?」

潮の香り?

その瞬間、俺のが五感が蘇ったようだった。
あたりは港町らしくがやがやとうるさい声が聞こえる。石造りの街並みは照り付ける昼の太陽を反射して白く輝き、空はどこまでも抜けるように青かった。カモメだかの影が目の前を横切り潮風が海から吹いて寄せる。潮の香りは少しむせるぐらいだったが、全体としては確かに清々しかった。

「大きな、意味のある任務ばかりをつないで行けばあなたはもっと早くガルーダにたどり着けるでしょう。でもそうやって効率的に点を結んでいくよりも、こうして必要のないような理由であちこち訪れて、いろいろな人に会って、そうやって進んでいく方がよっぽど冒険らしいと思いませんか?」

俺は先だってハイブリッジに向かう途中に見上げた星空や、汚染クリスタルが怪しく輝く夢のような”燃える壁”の風景や、朝日の昇り始めた東サナラーンの乾いた空を思い出していた。
そしていま目の前に広がる空はまだほかの国に足を延ばす前、ラノシア中を走り回っていた頃に、ただあちらこちらを走り回るだけで楽しかったあの頃に何度も見上げた懐かしいラノシアの青だった。

「さて、次のおつかいですが。ウンブラ諸島へ渡る方法を聞き込みしてきてほしいのです。ラノシア人から情報を聞き出すのは得意でしょう?」彼女は学者らしくない爽やかな笑顔で笑った。

それから俺はエールポートで聞き込みを行った。黄套隊の巡査などは懐かしいラノシア訛りで話しかけてきた。黄套隊の外勤は通常訛りが全くない者が多いのだが、俺に気を許してくれたのだろうか、それともリムサ以外ではこんなもんなのか。そうやっていくつかの聞き込みを終えた時に時間が来た。

一時間!

ログアウトしてエオルゼアから去る瞬間、最後に目に映ったのはやはり懐かしいラノシアの青だった。
Comments (2)

Ryo Souseki

Gungnir [Elemental]

あいこめ、採用おめでとう✨

話も大分進んできたね。

Gedeeltelijk Zombie

Gungnir [Elemental]

ありがとー!

まさか、冒頭とは・・・しかも送ったの忘れてたw

話も進んで、帝国の基地に乗り込むところだったけど、直前でメインが止まってしまった・・・(悲
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