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Schneecran Piumaneige

Blackblood

Durandal (Gaia)

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騎士になる日

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 イシュガルドの朝は十一月も下旬になると非常に冷え込むのが非常に悩ましい限りだった。

 祈りを捧げる聖堂には暖炉を置いていないため、その寒さをさらに強く感じさせる。石造りの室内に照明の燭台に設えられたろうそくの数は少なく、日も昇った朝だと言うのに室内は薄暗い影を落とし、その寒々しさに拍車をかけているようにも思えた。



 緊張のためか前日の寝つきは悪く、ハウスを出る前に行った沐浴時も、その後呼びつけた美容師に頭を弄られている時でさえも、頭が冴えてくることはなかった。

 身を刺すような、それこそ痺れさえも伴うかのように思えた冷たい空気の中、目の前にはステンドグラスからの光を背にする巨大なハルオーネ像が屹立している。
 そんな中どのくらい祈りを捧げ続けたのかはもうわからない。
「戦神ハルオーネよ。私をお導きください。」
甲高く、か細い声がわずかに聖堂に響いた。短く髪を整えた頭をレイクランド様式のローブのフードに収めた細身のアウラが、その場をゆっくりと立ち上がり顔に白銀の仮面を着ける。アウラは顔を上げてハルオーネの像を見上げた。同じ聖堂にいた聖職者達には、仮面のためその表情はうかがい知ることはなかった。
 ”騎士となる”
 そう決めたのはもう何時だったかも覚えていない。お仕えする主が現れるまで素顔を晒すことはしないと決め、その時からはずっと素顔を隠す装備を好んで使った。それも今日で終わるのだと思った時、その心情は不安や期待と同時に、一種の喪失感のようなものを抱かせる。言い表せない感情を飲み下すかのように、一つ大きく深呼吸したアウラは、式が始まるまで、今一度その表情を白銀の面に隠そうと決める。グッと拳を握りしめると、踵を返したアウラはそのまま、聖堂の外へと足を向け始めるのだった。

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 数名の参列者を集めたイシュガルド大聖堂は、先ほどまでの冷たい空気感はそのままに僅かばかりのざわめきを湛え始めていたことが、ドア越しにも感じられた。
 予定されていた時間には、参列を申し出てくれた友人≪フレンド≫が数名、あとは参加していたフリーカンパニーのメンバーが数名が、正装に身を包み集まってくれていた。アウラはその一人一人を謝辞を以って出迎え、中へと通し、自身は大聖堂前の扉の前で開始の合図を待つ。
 革手袋をはめていた手にじんわりと汗の感触を感じ、不意にその緊張感を嫌が応にも意識せざるを得ない。同様に嫌な感触が胸中にも走るのを感じた。ため息にも似た、深呼吸を更にもう一つつき、アウラは顔にはめていた白銀の面に手をかけた。その時だった。
 『それではこれより、新騎士シュニークラン・ピゥマネージの叙任式をはじめる。シュニークラン前へ。』
大聖堂の中よりその声は聞こえた。司祭の役を依頼したハスマルの声だった。
 シュニークランは目深に被ったフードの先端を右手の指でつまみ、更に深くかぶるように押し下げると、背筋を正し、足を前に出した。
 足運びはゆったりと、落ち着きを持って。ゆっくりと前へ歩きだす。正面には朝方より祈りを捧げ続けたハルオーネ像が、相変わらずの表情で虚空へと視線を走らせている。その足元には、これから主となる淡い水色と白のドレスに身を包んだミコッテの女性≪アルトリア≫が立ち、その左手の演説台にはハスマルが白染めしたハイアラガンのヒーラー服を身に纏い、パルチザンクラウンを頭に載せ、本を開いて立っているのが見える。
 ゆったりと、そして毅然とした歩みを前へ前へと進めたシュニークランは、ついにアルトリアのすぐ前までたどり着いた。



 目深に被ったフードを両手でたくし上げた。その中からは三つ編みで編み上げた赤髪と、今までこの場にいる誰もがまだ見たことのない素顔が衆目の前に晒されることとなった。それらを見る視線を感じつつ、シュニークランはその場へ跪いた。周りを見る余裕などはなく他の参列者の表情は伺い知れない。十分な時間跪いたあと再び立ち上がった時に目に入った、アルトリアの表情がどういったものか咀嚼している余裕も見いだせないまま、ハスマルは次の言葉を紡ぎだしていた。
「では、主君アルトリア・ペンドラゴンより祝別の言葉を。」
ハスマルの柔らかい声が聖堂に残響を残しすぐに消える。この安心できる声色を耳にしたシュニークランは(この人に任せてよかったのかもしれない・・・)と安堵したことで、胸中の緊張感が和らいでいくのを感じた。
「シュニークラン・ピゥマネージ。汝、ここに騎士としての誓約を立て、我が騎士として闘うことを願うか。」
今度は芯の強さを感じさせる女性のやや低めの声が聖堂に響いた。和らいだ胸中とは裏腹に、背筋を正される思いを新たにされる声色である。普段の少し抜けたような印象を覆されるような緊迫感を作り出されたようで、それが少し意外にも思えた。
「イエス、マイロード。」
「願わくば汝の進む道に幸多からんことを。」
アルトリアは、その言葉を口にするとそのまま一歩前に出た。
「それでは、装備品の授与を。」
元来、騎士の叙任とは主に主人となる者から多くの物が送られることになる。祝別の言葉、装備品。時には馬や、大規模なものだと宴席なども。今回もその儀礼に則りアルトリアからは祝別の言葉、そして装備品が送られることとなる。装備品は特に騎士にとって大事なものとなり、その一つ一つは主人の手で装備させられるものであった。
 レイクランド様式のローブを畳み、代わりとなる真新しい漆黒の鎧を身に纏ったシュニークランは、一層背筋が伸びる思いだった。もちろん今までも鎧は多く身に着けては来た。しかし、そのどれよりも今回のものの重みは違っていた。多くの騎士も、一度はこの思いを必ず背負ってきている。きっと多くの騎士がこうして戦神の前で祝福されたことことと思う。イシュガルドの立地や思想というものにも感謝したい思いが、一瞬胸の内で想起され霧散していった。
「では、剣を。」
そう言ったハスマルは本を閉じ腰のブックストックへ吊るすと、代わりに剣をその両腕に抱えた。アルトリアは、シュニークランの元を離れ、まっすぐとハスマルへ歩み寄っていった。
「彼女が、教会、寡婦、孤児、あるいは異教徒の暴虐に逆らい神に奉仕するすべての者の保護者かつ守護者となるように。」
ハスマルの抱えた豪奢な飾りつけのされた、両腕で抱えるほどの大剣は、その言葉と共にアルトリアへ手渡される。重量感のある大剣は、ドレス姿の女性には不釣り合いなものに思えた。しかしアルトリアは、そのずしりとした重みを受けたのも束の間、すぐに軽々と手にしたままシュニークランの元へと戻った。
 一瞬の重量感を忘れさせるアルトリアの足取りだったが、シュニークランの前に戻った時に足元へ剣を突き立て、その上から両手を置く恰好を取るときには石畳の床に鈍いゴッという音を立てていたため、すぐにその剣が大剣であることを思い出させていた。



「まさに騎士になろうとする者に、心理を守るべし、公教会、孤児と寡婦、祈りかつ働く人々すべてを守護すべし。」
アルトリアは両腕で剣を抱え直してシュニークランへ差し出した。両手剣は何本も今までに手にしてきている。時には人造の命を持った剣さえ扱ったことはあるが、身に纏った鎧と合わせ今までに感じたことのない重圧を孕んだ大剣は、力を込めた手のひらを握りしめないとすぐに取り落としてしまうのではないかと錯覚を覚えさせるほどだった。
 シュニークランはその与えられた大剣をまじまじと見つめ、強く握りしめた。その重さ、豪奢な輝き、そしてこの時の思いを、ただ心に刻むように。
 自身にとっては長い時間だったかもしれないが、対外的には僅かな時間。剣を見つけたシュニークランは背中に装備している大剣用のストックへ剣を収め、背筋を伸ばして主に視線を送った。
 その視線を感じ取ったようにアルトリアは、一歩前へ出ると目を閉じ両手を広げシュニークランに伸ばした。鎧の隙間から感じる体温と感触がじんわりと伝わり、アルトリアの毛ば立った耳が鼻に当たるとくすぐったさもありつつ、通り抜ける香りは柔らかい甘さを孕んで鼻孔にまとわりつくのを感じる。ごく短い時間だったと思われたが、体の芯の部分の緊張で凝り固まっていた何かが、一瞬で解きほぐされていくような感覚だった。
 抱擁から解放されたシュニークランは、次に来るものも理解していた。自身が両手の拳を握りしめると、アルトリアも呼応するように左手を握る。半歩程後ろへのけぞるように振りかぶった右の手の平は、勢いをつけてまっすぐにシュニークランの左の首筋へ放たれた。
 バシィ!という強い音を伴い、シュニークランも僅かに後ろにのけぞりながら打たれた左の首を抑えるも、すぐさま正面のアルトリアへ向き直った。刀礼の原型にもあたる首うち≪リッターシュラーク≫である。
「汝、今日の痛み終生忘るるべからず。」
与えられた痛みと共に、今日という日、特に誓いを記憶へ刻み付ける。そう言った意図をもって行われるものである。
「はっ!」
自身が持てる精いっぱいの語気を持って答えた、シュニークランの返礼だった。左首は熱を帯び、誓いを刻み付けるがごとく胎動を始める。その熱を、強く体に感じながらシュニークランは再びその場に跪いた。
「わたくし、アルトリア・ペンドラゴンは、汝シュニークラン・ピゥマネージを騎士として認めます。」
シュニークランは立ち上がるときに、アルトリアの宣誓が大きく響き石壁に反響するのを改めて聞いた。歓喜しているのか、躍動しているのか。その感情は最後までシュニークランには見えなかった。
「では最後に。」
石壁の反響が終わるタイミングだった。ハスマルがそれを受けて次の言葉を発した。
「われらが主の言葉をもって、新騎士への祝別といたしましょう。」
ハスマルは開いた本に視線を落としながら続ける。
「『自らの義を、見られるために行わないように、注意しなさい。』」
エオルゼアの聖書である。この日はイシュガルドという立地、騎士の叙任という儀礼的なところもありハルオーネの章からの引用だった。
「自らのために施しを行ってはいけません。正義に従い、見下すことなく弱気を助け、強気を支えるように。」
ハスマルの柔らく、清涼感を感じる声色に合わせたような、優しさを孕む言葉は、それでも淡々と進められた。
「多くの偽善者同様、街道や町中で、衆目を集めるためだけにラッパを吹いてはいけません。」
暗黒騎士は衆目を集め、多くの人々を守るためにいるのではない。たった一人の、自身の守るべき人を守るために。『あの人』がそう言っていたように。それを体現できるように。
「天におわします我らが父は、いつもあなたを見ていることを、片時も忘れることのないように。」
それは誰に見てもらう必要もない。認め、評価されることもなくていい。ただ、この守るべき主一人が生きていてくれさえすれば。
「ここに新たな騎士の誕生を宣誓いたします。盛大なる拍手をもって祝福を!」
あたりは沸き立ち、参列者たちはただただ手をたたき続け祝福をした。熱い熱量で寒気の淀む石室の聖堂を満たすかのように。
 打ち鳴らされ続ける歓声は今でも止まず。シュニークランはただ、ただ、頭を下げ、参列者へ謝意を表し続けた。参列者、協力してくれたハスマル。お仕えすることを許してくださった主。そのすべてに。
 興奮は冷めやらずに、いつまでも聖堂内を満たし続けるのだった。




-----

 式を終えた聖堂から、参列者やハスマルたちがいなくなり、祝宴の催されるFCのハウスへの移動が終わりシュニークランは一人になった。
 聖堂から外へ出ると今日もイシュガルドは雪だった。イシュガルドは夜も寒い。
 シュニークランの名の意味は雪に鳴る音である。降りしきる雪は、しんしんと、と言う言葉を当てがわれるが、どういった音なのかはいまだ聞いたことはない。ただ静かに、音もなく、街灯の光を反射して、冷たい空気と温かい光を放つもの。そういう認識しか持てない。いつかその音を聞けるときがくるのだろうか。
 自身の中に反芻させた疑問は、あてもなく胸中を漂ったがすぐさまそれは霧散していった。
 寒い。帰ってFCのバーで温かいコーヒーでも飲みたい。ロードも待っている。シュニークランの心情はすぐにそう上書きされたかと思うと、ハウスへのテレポを詠唱するのだった。


Comments (7)

Schneecran Piumaneige

Durandal (Gaia)

あんまりSS撮れなかったから、SS少な目。地の文多め。
SSはそのまま使うと暗すぎたり明るすぎたりで使い物にならなかったので、全体的に加工しています。

あと、----でくくった中だけ本物。上と下は前後考えて適当に作ったやつです。

私に日記書かせるとこうなるんだよ!!
っていう内容のものですね。

Fiona Dreadnought

Durandal (Gaia)

軽い気持ちで日記でどんな感じだったか書いてーって言ったら
どエライ大作が投下されて正直ビビりましたw
私もわりとキャラに設定持たせて遊ぶタイプですが
自分の中だけで楽しんでるだけなので
こうやって実際に形にするっていうのは素直に凄いと思いました(人まで巻き込んでw)
今回は残念ながら参加出来ませんでしたがまた何かやる時はぜひ声掛けてくださいね
では主さんと共にこれからも頑張って下さい!

Kat Sehei

Durandal (Gaia)

結構前に式あって時間経ってたからスクショまとめてたんだろうなーって思ったらほんとどえらい文章量ねw

Schneecran Piumaneige

Durandal (Gaia)

>ふぃおっち
びっくりしたよねw
私実は割と創作寄りなので、昔ブログやってた時もこんな感じの小説仕立てのプレイ日記にしてたりしてて、今回ふぃおっちからお話あった時も実はすぐここまでの構想ができてたんです
結局式自体の脚本書いたり、絵コンテ切ったり、資料もあったしね
校正とかSSあんまり撮ってなくて追加撮影させてもらったりして時間かかってしまったけど、お楽しみいただけて良かったですw

>かっちゃん
そうなのよー、時間かかってしまったわ
長かったよねw
SS撮ってる余裕はなかったけど、実は動画は裏でずっと回してたから、それ見ながらずっと書いてた
文章書くの好きだけど文体定まらなくて校正するのに時間かかってたりしたからもっとスマートにできるようにはなりたいわ

Fiona Dreadnought

Durandal (Gaia)

つ・・・追加撮影・・・
ホントご苦労様です・・・お付き合いされた方々w

Hasumaru Taylor

Durandal (Gaia)

縦書きにして右閉じしてください(;´д`)

Schneecran Piumaneige

Durandal (Gaia)

>はすくん
分かりました。あとで納品しておきます。
ただ、全然ボリューム足りないと思います。
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