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Manjiro Hanada

Alexander (Gaia)

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【架空サブクエ】聖竜のお気に入り 第1話

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※架空のサブクエスト・エピソード妄想。二次創作小説です。
※紅蓮のリベレーター(パッチ4.0)終了後の時点の話ですが、内容は蒼天の後日談となります。


第1話
第2話
第3話(終)

   ◇

「いやぁ……どれくらいぶりだっけな……こんなにのんびりするの」
ともすれば微睡みに落ちそうになる意識を、辛うじて保ちながら、俺は肩まで熱い湯に沈んで、むにゃむにゃと呟いた。

クルザス西部高地の最奥部。街道とは名ばかりの、一面の銀世界である。
ドラヴァニア地方との境目に程近いこの谷間には、正に秘湯と呼ぶに相応しい、天然温泉が湧いていた。
小規模ながらも湯量は豊富、効能は、聖フィネア連隊長の折り紙つきと来ている。

天気に恵まれたお陰で、予定よりも早めに届け物の仕事を終えた俺達は、日が沈む前に野営の仕度を済ませ、ついでに、温泉への寄り道を決め込んだのだった。

「うーんと……クガネから戻る時の、船旅以来?」
岩を挟んだ向こう側で、同じく湯の中に腰を据えたカミルが、眠たげに瞼を瞬かせて応じる。
「ああ、船旅も良いもんだったな。しかし、風呂がいまいちなのが玉に瑕で」
「そりゃそうだろ、船だぞ。大体あんた、風呂ならクガネでふやけるまで入ってたじゃないか」
「ありゃあ良い湯だった」
脚を伸ばしつつ、俺は極東の地に思いを馳せる。

ひんがしの国の生まれ故なのか何なのか、俺は風呂に、特に広々とした湯船に目がない。
一方、真水の貴重な地域で生まれ育ったカミルの目には、湯水を『湯水の如く』使用するクガネの温泉宿は、かなり奇異な施設に映ったようだ。
最初は、異文化への好奇心と羞恥心のせめぎ合いにより、脱衣所で小一時間もまごまごしていたものだったが、結局しっかり堪能し、現在はこの通り、野趣溢れるにも程がある野天風呂を、悠々と楽しんでいる。

「その後は戦いっ放しだったもんな」
ぼやく風でもなくしみじみと、カミルが言った。

クガネから船でリムサ・ロミンサへと戻ってきた俺達を待っていたのは、クルル誘拐という深刻な報せで、そこから先は、転戦に継ぐ転戦、死線を越えればまた死線。
そんな日々にも慣れっこのつもりでいたが、総督府での戦いを制し、リセと共にラールガーズリーチに戻ってきた時には、流石にどっと疲れが出た。

これから解放軍の皆は、戦後処理とアラミゴの再建、今後の対帝国戦略の立案に忙殺される訳だが、俺とカミルは、一先ずエオルゼアに戻る事になった。
東ザナラーンに住むカミルの家族や、リトルアラミゴの知人など、方々への戦果報告と、ちょっとした休暇を兼ねての旅である。

『竜の眼』の行方についても、イシュガルドの人々にしっかり報告したかったのだが、あれは神龍の核に使われた上、その神龍が暴れ尽くし、斃された事で、蓄積されていたエーテルの全てを吐き出してしまったらしい。
帝国軍撤退後に探してみたが、それらしい断片が僅かに見つかっただけだった。

どうも誰かが、抜け殻になった所を念入りに破壊した形跡がある、とアルフィノは首を傾げていた。
どこの誰がやり遂げてくれたのか――俺達以上に切実に『竜の眼』を追い、破壊しようとする者、それが出来る者となると、心当たりは限られるが――まあ、それならそれで良い。

「フォルタンさんちと、俺の師匠の遺族には報告したから……あとは、ドラゴンやモーグリ達にも、一応報せとくかなあ」
「おう。あの辺、人間世界のニュースが届くのは遅れそうだもんな」

カミルが同意する声をぼんやりと聞きながら、俺は眠気に負けて瞼を閉ざす。
この温泉、時にイエティが温まりに来る場合もあるから、あまり油断し過ぎるのは良くないのだが。
そういえば今も、遙かな上空で奇妙な物音が聞こえる。――巨大な翼の羽ばたくような――

「……ん?」
俺は意識を引っ張り起こし、ふと空を見上げた。

「――久しいな。小さき者達よ」
突如として、鉛色の雲間から現れた一体のドラゴンが、頭の中に直接響く声で、厳かに告げる。
曇り空と同じ色合いの鱗に、山羊のそれに似た銀色の角、不惑あたりの女性を想起させる声音。

「ヴィゾーヴニル!」
俺は呆気にとられて彼女の名を呼び、カミルは「ヒャッ」と妙な悲鳴を上げて、岩陰に隠れてしまった。
続いて俺も、自分が裸である事を思い出し、そそくさと手頃な岩の後ろに回ってから、片手を振る。
「や、やあ、久しぶり。丁度会いに行くところだったんだが……ちょいとタイミングが悪いな」
種族も文明の在りようも異なるドラゴンを相手に、そう恥じ入る事もないかもしれないが(何なら相手だって全裸である)、やはり、気まずいものは気まずい。

「おうや」
「おうやじゃないよ」
案の定、不思議そうに首を傾げるヴィゾーヴニルに対し、カミルが情けない声を上げた。

「あんたがここまで飛んでくるなんて珍しい。イシュガルドにでも行くのかい?」
とりあえず湯の中に身体を沈めて、俺は尋ねる。
ヴィゾーヴニルは谷間に降り立ち、悠然と翼を畳みつつ答えた。
「いいや……吾輩は、お前達を捜しに来たのだ。我が父祖の苦悩を明かすに相応しい、稀有なる猛き者を」

「へ?フレースヴェルグが、苦悩?」
「おれらがここにいるなんて、よく分かったなあ」
ぽかんとする俺の後方で、岩陰からカミルが感心する。
そこに突如として、新たな声が湧いた。
「我が、呼び寄せたのだ。汝らを捜す声を聞いたゆえ」

「うわ!?」
再びカミルの悲鳴。
いつの間にか、湯気の立ち昇る水面に、小さな翼を羽ばたかせる影が現れていた。

「ミドガルズオルム!お前さん、まだカミルにくっついてたのか?」
思わず叫んだ俺を、タイニーアプカル程の大きさの偉大なる原初の龍は、大きな眼でじろりと睨む。
「くっついていた、とは随分な言い草だな、ハイデリンの使徒よ」

「待って待って!」
カミルが律儀にも、挙手して発言した。
「試練だかなんだかは、もう終わったんだよな?何でまだいるの?寝てて良いよ!ていうか、ちょっと嫌なんだが!トイレとかにも付いて来られるの!オッサン、代わってくれよ!」
「俺だって嫌だよ」
あっさりと俺は拒絶する。

俺とカミルはどちらも、『超える力』の所持者で、ハイデリンの使徒とか、光の戦士などと呼ばれている。
俺達二人に目をつけたミドガルズオルムが、何故カミルの方に取り憑いたかというと、カミルがより強い『超える力』の持ち主であるため、という理由が一つ。
もう一つの理由は、俺は竜族の力と相性が良く、互いに干渉しやすい体質であるため――らしい。つまり、その気になれば魂に潜り込まなくとも、外から『超える力』の発動を阻めると踏んだのだそうだ。

俺は『竜の眼』を食べたとかいうイシュガルド人の祖先とは、縁もゆかりもない。この体質は全く偶然持ち合わせたもののはずだが、これのせいで、竜騎士のソウルクリスタルはひっついてくるわ、最終的にフレースヴェルグの『竜の眼』まで借り受ける羽目になるわと、散々な目に遭った。

「確かに、我の試練を、汝らは見事乗り越えてみせた。既にこの幻体は役割を果たしたるもの……」
喚き合う人間二名を前に、ミドガルズオルムは厳粛な態度で説く。
「しかしながら、時として汝らの元に赴き、その行いを見守るには、この体躯が便利でな」

「つまり、気まぐれに覗き見に来た訳だ」
「人が風呂入ってるところを」
俺とカミルが相互にぶつくさ零すと、幻龍は機嫌を損ねた様子で尻尾を揺すった。
「ヒトの尺度でものを言うでない」

   ◇

とりあえず着替えのための猶予を貰い、野営地に移動して焚き火を熾してから、俺達はヴィゾーヴニルの話を聞く事になった。

「あの者……石の都に住まう、小さき者らの長が、我がねぐらを訪れたのだ」
ヴィゾーヴニルはそう切り出した。

時間の感覚も、個体識別の方法も人間とは違うドラゴンの説明は、少々分かりづらいものだったが、噛み砕いて言うと、先日――恐らくアラミゴでの戦いの少し前――アイメリクの発案により、高地ドラヴァニアの平原で、ドラゴンとイシュガルド人の会合が開かれたそうだ。

ヴィゾーヴニルに加え、彼女の父祖、聖竜フレースヴェルグも雲海を降り、人々の前に姿を現した。
参加した人間は、アイメリクらイシュガルド議会の代表者達に、テイルフェザーの猟師達の顔役、マルスシャン。
更に驚いた事に、ドラヴァニアに住むグナース族のうち、“分かたれし者たち”も、何名か同席したという。

グナース族は本能的に、ドラゴン族を強く恐れ忌避する。
分かたれし者たちは至って気の良い、話の分かる連中だが、こればかりは理屈でどうこう言っても難しいのだ。
グナース族のウデキキと顔見知りであるマルスシャンが、何かしら取り計らったのだろうか。

とにかく、長年敵対してきた三つの種族が一堂に会した、ある種奇跡的な会合は、和やかに進行した。

「そういえばこの前、アラミゴでアイメリクに会った時、高地ドラヴァニアに散らばる古代遺跡を、本格的に学術調査するつもりだ、って言ってたな」
俺が思い出して口を挟むと、ヴィゾーヴニルは頷いた。
「そのような申し出を受けた。歴史の真実を詳らかにし、後世に伝えるためにと……。それはイゼルや、横死した同胞らの望みでもある。聖竜とその眷属は、真実に向き合う気概のある者達とならば、共存するに吝かでない」

つまりは、非武装に近い研究員達が、未だ危険地帯であるドラヴァニアに立ち入るので、安全を確保するのを手伝って欲しい――と、アイメリクの要望はそういった内容だったようだ。
要望は快諾された。会合の後は茶会になり、イシュガルドやテイルフェザーの菓子が振る舞われるなどして、解散となった。

「平和な会合って感じだけど」
話を聞き終えたカミルが訝しむ。
「フレースヴェルグは、一体何を悩んでんだ?」

「そう……対話ののち、聖竜は思い悩んでおられた。我が父祖は、己が一声の重みをよくよくご存知であるゆえ、滅多な事では心の内を明かされぬ。しかし、吾輩が秘密裏に聞き出したところによれば……」
少しの間ののち、ヴィゾーヴニルが再び、重々しく口を開いたので、カミルは真剣な表情で相槌を打った。
「……茶会で振る舞われたヒトの菓子の中に、気に入るものがあったようだ。それをまた味わいたいと願っておられる」

また頷きかけたところで、カミルは一旦固まり、徐々に首を傾げる。
「……菓子?」
「そうだ」

「気に入ったなら、もう一度取り寄せるなりして食えば良いんじゃないか?」
と、俺は助言にもならない提案をした。
「そう簡単にもゆかぬ。聖竜の眷属にも、乱暴な者はいる。己の身の丈が、小さき者達にとって脅威であると、理解出来ぬ者もな。父祖が一声、それを願うと咆哮を上げれば、そうした者らが菓子を探し求めて、小さき者のねぐらまで荒らしかねぬ」
「いや、いちいち吠えんでも……七大天竜ってのも、何だか大変だな」

確かに、ニーズヘッグやフレースヴェルグが一声かける事で、幾多のドラゴン達が、命も惜しくないとばかりに馳せ参じるのは知っている。知ってはいるが、もう少し行動の微調整が利かないものだろうか?

「で、そりゃあ何ていう菓子なんだい?」
「それが、父祖にも吾輩にも分からぬ。森の猟師達のものであったか、石造りの城から持ち出されたものであったか。どれもこれも、爪の先程の大きさであったため、見分けがつかなんだ」

ヴィゾーヴニルの回答に、カミルが困り顔で頭を抱えた。
「ええ!?それじゃおれたちだって分かんねえよ」
「そうか。そなたらにも、見当はつかぬか……」
少しばかり落胆した声で、ヴィゾーヴニルは応じる。
俺はカミルと顔を見合わせて、眉尻を下げた。

聖竜とその眷属達には、借りと負い目がある。
彼らの助力がなければ、竜詩戦争の終結は叶わなかっただろう。そして戦いを終わらせるために、フレースヴェルグには、兄弟殺しへの加担という業を背負わせてしまった。

「……まあ、菓子くらいちょいと探してみるか」
と、俺は首裏をひとつ掻いて発言した。
「うーん、オッサンがそう言うなら。今は急ぎの旅じゃねえしな」
カミルが腕を組んで頷く。

おお、とヴィゾーヴニルが歓喜に唸った。
「ありがとうよ、小さき者達……」
「そうか。我が子らの願いを聞き届けてくれるか」
背後から、俺とカミルの間に首を突っ込んで来たのは、ミドガルズオルムである。
「然らば、我が翼を借り受けるがよい」

言うなり幻龍は、タイニーアプカル程の体高から、チョコボより一回り大きいくらいのサイズへと変幻してみせた。ご丁寧に、鞍も鐙も付いている。
「おっ、乗ってっていいの?じゃあイシュガルドまで!」
カミルは陽気に告げて、鐙に足をかける。

立派な拵えの鞍をぽんと叩き、俺は思わず笑った。
「アジス・ラーでは、そんな場合じゃなかったから言わなかったが……お前さん、人を乗せる時、めちゃくちゃ張り切るよな」
またもや、幻龍はぎろりと俺を睨んだ。
このサイズだと、多少身の危険を感じるものである。

   ◇

「……つまり、フレースヴェルグのお気に入りの菓子は、実際にもう一度食べてみれば分かりそう、ってこったな?ヴィゾーヴニルも気に入ったんだ」
ミドガルズオルムの背の上から、隣を飛行するヴィゾーヴニルに向けて、カミルが声を張り上げた。
「そうだ。それと、かように声を張る必要はない。我らはヒトの発する音ではなく、伝える意思を拾うておる」
「あ、そっか」
カミルはひとつ頷いて、声のボリュームを絞る。

発声なしで対話出来るというのは便利でもあるが、こうして正体の曖昧な探し物をする際には、少々不便だ。人間が件の茶菓子の名を呼ぶ時、何と発音しているのか、ドラゴンには記憶に留めるのも難しい。

「ヒトの食べ物は、我らの口には合わぬ事が多いのだが……あれは美味であった」
ヴィゾーヴニルはそう言ってから、半ば瞼を下ろした。
「我が父祖が、菓子ひとつの楽しみも周囲に明かせぬ事を、どうか責めないでおくれ。憎悪にせよ享楽にせよ、感情に溺れる事を、酷く恐れておられるのだ」

かつて、邪竜ニーズヘッグは眷属らに向けて、渾身の咆哮を上げた。欲するままにヒトを喰らえと。
それに従い、父祖の肉体が滅び去った今も、その眷属の多くは怒りと飢餓感と、狂気に苛まれている。そうヴィゾーヴニルは説明する。

「今や聖竜は、邪竜の仇も同然……。それでもなお、かの兄弟とその子らの末路が、不憫でならぬのだろう」
「……ああ」
俺は肩でも叩くような感覚で、ヴィゾーヴニルの翼の付け根に掌で触れる。
「でもあんたとしては、フレースヴェルグがお茶の時間に美味い菓子を楽しむくらい、そろそろ良いじゃないかと思ってんだろ?俺もそうして欲しいよ」

ヴィゾーヴニルが、何事か鳴き声を発した。
「何だって?」
「……汝が『竜の眼』を借り受けた事を、我が子は誇りに思うておる」
俺の問いかけに対し、ミドガルズオルムが、いささかぶっきらぼうな調子で説く。
俺は照れ臭くなって、横髪を掻いた。

 〈第2話につづく〉
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