ガン……ガン……ガン……ガン……。
ほぼ一定の間隔で4回、鉱脈を掘る音が荒れ地に響く。
気配を消した俺の背後には、獲物を求める血走ったような目をしたモンスターたちがいた。採掘用のツルハシやツチでは到底太刀打ちできないモンスターたちは、一瞬でも気を抜いて気配に気付けば、容赦なく襲ってくる。
いまの俺では逃げ切る前に餌食となるだろう。だが、無言で採掘を続けている理由はそれだけではない。
採掘に限った話ではないのだが、ギャザラーはアイテム収集を生業としているだけに、採取の際は色々なことに集中してしまう。だからどうしても無言になってしまうのだ。
採掘の場合は、淡く光る鉱脈をどのタイミングで、どの強さで、どの角度から採掘をするのか考えねばならない。習熟して確実に採れるようになったならまだしも、腕が未熟だったり、未知の鉱物を得る場合はかなり集中する。
クラフターが溶かしてインゴットやナゲットに使うなら、質より量で問答無用に掘り続ければいい。しかしコレクター向けの蒐集品を掘る場合は、どれだけ綺麗に、上手に掘り出すのかが報酬に直結するのだ。集中に加えて慎重さも求められれば、無言になるのもやむを得ないと理解してほしい。
いや、例えそれを除いても、同じ場所で同じ鉱石を求めて何時間も掘っている俺は、ひょっとしたら既に異常なのかもしれない。
俺としては、自身よりも鉱石を蒐集するコレクターのほうが、よっぽど変人だと思うけどな。とはいえ集める数に上限は無く、一定以上のクオリティなら買取ってくれるのだから、文句や悪口を言うのは筋違いなのかもしれない。
……キンッ……。
意識が採掘から離れたために手元が狂って、鉱脈から僅かに右側の硬い岩盤をツルハシが叩いた。
一瞬遅れて岩を叩いた衝撃がツルハシから両手に伝わる。
「……おっと。いけない、いけない」
伝わってきた音と衝撃で失敗したことはすぐに分かった。
気を取り直して再度ツルハシを振る。何度か打ち損じはあったけど、そこは下手な鉄砲よろしく、数打てば当たるだろう。
1時間以上を掛けて採掘のレベルが1つ上がると、楽しみがまた増える。腕が上がって、収集する確率が以前よりも高くなるからだ。
経験値も増えて、アイテムも増えて、ハイクオリティのアイテムや蒐集品も集められる。目に見えて増えるものがたくさんある。
ギャザラークラフターの楽しみは、やはり物作りをするときのそれに似ている。
アイテム収集、制作、販売は大変だけど、それに見合う報酬や収入が手に入る。
あっという間に時が流れる。気がついたらもう夜明けに近いなんてこともあった。それで翌日寝不足になって辛くても、やはり収集・生産職を辞めることはできそうにない。
ということで、まだログイン頻度は多くありませんが戻ってきました。またぼちぼちとロドストも更新していこうと思います。