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Elvis Cartwright

Atomos (Elemental)

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【小説 #11】傷の化身

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自キャラとNPC、あるいは他の(許可を得た)人のキャラで、
ちょっとした小話を書いていこうと思います。

武器を握れなくなった冒険者とフレイの話。

注意
・暗黒Lv80前提、パッチ5.4前提
・当たり前のように実体化しています。(公式にない設定を多分に含んています)
自キャラの設定については、こちらを参照ください。
・Pixivにも投稿しています。


---



カシャン

いつものように二人、冒険に出ようと歩いていたときだった。
石畳の上に、物が落ちる音がした。

「エルヴィス?」
横を見ると、険しい顔で立ち止まる我が主が居た。

「…フレイ、すまない」

“槍が持てなくなってしまった”
彼はそう言った。

***

「槍が持てない…ですか?」
「ああ…」
近くにあったベンチに主を座らせ静かに問いかけると、彼は手を握ったり開いたり確認しながら答えた。

「とりあえずもう一度持ってみてくれますか?」
拾い上げた槍を丁寧に手渡す。軽いものではないが、普段の彼が落とすようなものではない。彼が握ったことを確認して支えていた手を離すと、ガチャンと音を立てて槍は転がった。

「…物が握れなくなったんですか?」
「どうも、そういうわけではないらしい…」
彼は困った顔で言う。
実際その通りらしく、鞄は問題なく持てている。自分で荷物を取り出すこともできている。

彫金道具、釣り道具、採掘道具などは問題なく持てるのがわかった。
食べ物も、防具も持てる。手に持てないのは、槍、両手剣、幻術の杖、巴術の魔導書。
それらは握る手に力が入らなくなり、力なく落ちていってしまうようだった。

「どれも、戦いの道具じゃないですか」
「…そう、か…」
もしやと思い、ソウルクリスタルをもたせてみると、それもやはり手を溢れていった。

***

「これでは冒険どころか、今後生きて行けるかも怪しいぞ…」
「一旦、アパルトメントに戻りましょう。このままここにいても変わりませんよ」

頭を抱えるエルヴィスを元気づけようと、背中をポンと叩いたときだった。

「痛っ…!?」
鋭い痛みを手に感じ、反射的に手を引っ込めた。

「フレイ、どうした」
「一体何が…」
篭手を付けた手だ。なにかにぶつけたわけでも、刺さったわけでもない。
もう一度そっと彼の背中に手を当てると、再び身を焼くような熱を感じた。

「っ、これは…ッ」
痛みに耐えながら目を向ければ、手を当てているところから黒い炎が見える。
それと同時に、この熱のようなものの正体に気づいた。

「君はッ、どうしていつもこんなになるまで溜め込むんですか…!」
それは、化身である自分をも焼くほどに濃く深い闇の如き暗黒。
それが渦巻き、僅かな出口を求めて暴れているのだ。

「一体どうしたんだ...!?」
「どうもこうも、いつ死んでも不思議じゃないほどの暗黒を抱えてるんだッ」
いつか、僕を生み出したときよりも酷い。

「どうにかしないと…。ともかく、どうするにしろ一旦戻りますよッ!
 君の身体がこれで済んでいるのが不思議なくらいです!」
そう言って、アパルトメントに戻り、すぐにエルヴィスを寝具へと寝かせる。

「…俺はどうすればいい」
「君はまず寝ててくださいッ!どうするかは僕が考えておきますから!」
怒り半分、心配半分。幻術を使って、彼を半ば無理やり眠らせた。

***

寝息を立て始めた主にとりあえず一息。
とはいえ時間はあまり多くない。

思案を巡らせる。
こんな状態にならないために自分はいたのだ。
いつから、エルヴィスの負の感情を感じ取れなくなっただろう。

「随分と人間らしくなったじゃないか」
最近エルヴィスがそう言って来たのを思い出す。

考えれば、それは実体を持ち、彼と離れて活動できるようになってからなのだろう。
“人間らしい”
つまり、化身としての振る舞いが抜けて、元生きていた頃に近くなったと言うことなのだろうか。

ただこれは、あくまで”気づけなかった理由”だ。

ここまでの暗黒を「生み出した」理由――それだけの負の感情を起こした何かが他にあるはず。
だが、原因を見つけることができない。
僕は君のはずなのに、君が苦しむ理由が掴めない。

自分の記憶があてにならないことを知った僕は、机へと向かった。
エルヴィスが日々つけている記録、そこに答えがないものかと。

手にとり、最近の日付のものを見てすぐに違和感に気づく。
あまりに文が少ない。そして綴る文字からすら暗黒の香りを感じる。

日を遡り、こうなった境目を見つけた。

アシエン・ファダニエルについて記載されている文。
死を望み、破滅のために世界を巻き込もうとするその存在について。

エルヴィスはああ見えても、感受性が高い。
あの死生観、圧倒的な力、それから近づくまたも大きな戦いの予感。

かつてもそうだった。戦う意味、この世界で英雄として生きる意味に疑問を抱いて、イシュガルドを彷徨った。

きっと、戦いが、重圧が、全てが嫌になってしまったのだろう。
その最後の抵抗が、武器を握ることのできなくなった手。

***

それでも冒険者として生き続けるには、そうも言っていられない。
それに、一人ですべてを抱え込む必要はないのだ。

「何のために僕が居ると思っているんですか、全く…」

ともかくまずは、この渦巻く負の感情を少しでも減らさなくてはならない。
平然と歩き話す彼は、言わばいつ死んでも不思議ではない状態だ。

しかし、両手剣すら持てないほどに拗らせてしまった彼の体から暗黒を取り出すには、取れる方法は限られている。

「それしかないのでしょう」

かつて彼を暗黒騎士として育てる時にやった儀式――負の感情を彼に返す行為、その逆だ。

「ッ…!」
眠る彼の身体に手を添えれば、それは自然と流れ込んでくる。
身を焼き、焦すような幻痛を伴いながら。

痛みに意識が遠のきながらも、それは不思議と充足感を与えてくれた。
「ええ、そうです、僕は、君の影身、君の痛みの化身なんだ…ッ」

痛みを分けてこそ、思いを受けてこそ、その身の意味がある。
かつて自分が彼に返したときのように、僕は忘れかけていたものを取り戻す。

***

「ん…」
「目が覚めましたか。あれから随分と寝ていましたね、エルヴィス。
 気分はどうですか?」

「大分良くなった。…何かしてくれたのか?」
「僕は何も、ただ本来すべきことをしたまでです」
「…?そうか」

「ところで、魔物でも狩りに行きませんか。
 その辺りの腐れ連中を熨に行くのでも構いませんよ」
「そ、そうだな」

「ともあれ、これを持ってください。さっさと行きましょう。
 今日はなんだか暴れたくてしょうがないんです」
「うむ、ともかく行こう」
エルヴィスは両手剣の柄をしっかりと握った。

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