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Hime Miko

Kujata [Elemental]

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第二話 森のリスたち 2 《依頼》

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今日も今日とてエオルゼア

「お待たせしました」

カーラインカフェの給仕ナオが
ボルセル大牙佐の前に
コーヒーが注がれたカップを置く。

「ありがとう」

礼の言葉、カップを手にとり
その香ばしい香りを楽しむ様子も
実に絵になる。


ボルセル大牙佐は、
姫巫女が駆け出しの冒険者の頃…

いや、もう少し経ってから、
いやいや、もう少しのもう少しくらい?

「あれぇ?いつ頃じゃったかの?」

コーヒーと一緒に運ばれてきた、
自分のミルクティーを口に運びながら、
姫巫女はそう小さくつぶやいた。


「ん?どうかしたのかい?」

「いやいや、なんでもないのじゃ」

怪訝そう、
そして少し楽しそうな表情。
切れ長の目を優し気に細め
姫巫女を見つめている。

「それはそうと、いいのかや?
大牙佐ともあろう御方が
こんな一介の冒険者とお茶な飲んでても」

「ははは、どんな階級にあろうと、
人はみな腹もすけば、喉もかわく。

朝の眠気覚ましのコーヒーを咎めるものなどいないさ。

だから軍曹。
君も一緒にどうかというのだ」

「いえ!そういうわけにはまいりません!」

「まったく…君も頑固だな」

自分の横に直立不動でたつ軍曹に
小さく笑いかけながら、
ボルセルは再びカップに口をつけた。


本当に気さくな方だ。

姫巫女は心底そう思う。


双蛇党総合指令部に常駐する双蛇党大牙佐であり、
黄蛇隊の隊長。
聞いたことはないので、正確な年齢はわからないが、
見たところかなりの若さ、大出世だと思う。

党内でもかなり権力をもっているようで、
それに姫巫女も何度か世話になったことがある。


それを告げれば、必ず、

「いや、姫巫女くんの方が、よほど助けてくれている」

と、返してくるのがこのボルセルという男。

誠実。
それを映しこんだような人格者だ。


それに加えて、
切れ長の瞳に、少しとがった耳を持つ、
エオルゼアの美と称されるほど、
美男美女てんこ盛りのエレゼン族だ。


先ほどから、周りの卓から
彼をチラリと見やる視線が飛びまくっている。


横に緊張真っ盛りの軍曹が立っていなければ、
イイ感じの二人、などと誤解されかねない。

危ない危ない…ぐっじょぶじゃ、グングン殿。

姫巫女は卓の下で、
軍曹にイイ!と親指を立てて見せた。

いや、誰にも見えないのだが。


「それで、依頼の件なのだがね」

カチャリ、と小さな音をたてて、
カップがソーサーへ戻される。

「僕としては…」

そう、実はボルセル『僕っ子』である。

「僕としては、
何とか君に引き受けてもらいたいのだが、
逆に君にこんなことをお願いしてもいいのかという気持ちもあり、
なかなか、悩ましいところなんだ」

「んん?どういうこと?」

「つまりは、
難易度として、そんなに高くはない任務なんだ。

はっきりと言ってしまうと、
君ほどの『功績』を上げたものに
頼むのは役不足だ、と思っている」

『功績』かぁ…

たしかに、冒険者になって旅をして、
色々な人に出逢い、色々なことがあり、
色々な蛮神をボコったり、色々な帝国兵をしばいたり、
『功績』として讃えてもらえることをしてきた。

それも、すべては、
周りで支えてくれた者たちがいたからであり、
決して姫巫女個人だけの功績ではない。

何より、

「姫は運がよかっただけじゃよ。
いい出逢いに恵まれ、いい風が吹いておった。

それだけの、ただの冒険者じゃ。
どんなことであろうと、
困っておるおる方がおるなら、
今までの運の良さの礼として、
少しでも力になれればと思うておるよ」

役不足なんてとんでもない。

そう言って、姫巫女は片目をつむって見せた。





これが罠とも気づかずに。




「そうか!そう言ってもらえると、
僕も頼みやすくて助かるよ。

いやあ、軍曹、聞いたかい?」

「はっ!たしかに伺いました!」

なぜそこでする必要があるのかわからない、
双蛇党式敬礼までビシッと決めて、
グングンが言った。

「え…あ!ちょ、ちょっと!」

「助かった!引き受け手がいなくて、
本当に困っていたんだ。いい報告ができそうだ」


はめられ…た!


殊勝な顔で!
急に行儀のよいことを言うから
何かと思えば!

「ず、ずるい!あんなこと言われたら、
ああ答えるに決まっておろう!?
それを、逆手にとってこんな…っ」

「はっはっは!すまないね。
何としても引き受けてもらいたかったので、
少々頭をひねってね」

実に楽しそうに笑うボルセル。

誠実、それだけでは、
大牙佐まで昇り詰めることは出来はしない。

同じくらいの狡猾さも必要なのである。


「さあ、では、
君の気が変わらないうちに説明させてもらおうか」

「気ならもうとっくに変わったもん。

ヤダ、引き受けたくない。
いじわるさんの依頼など引き受けたくないっ」

「はっはっは」

ぷうっと膨れる姫巫女の言葉を完全に無視して、
ボルセルは依頼内容の説明を始めた。


「実は、鬼哭隊の方から頼みごとをされてね」

「ずいぶん仲良しさんなのじゃな」

「はは、まぁね
あと、ちょっと借りもあるから…

いや、話を戻そう。

鬼哭隊では、ある伝統的な訓練があるらしい」


その訓練とは、
『リス追い訓練』と呼ばれ

新兵たちの足腰を鍛えることを目的とした
伝統行事なのだそうだ。

すばしっこいリスたちを新兵たちが追いかけ、
その数を競わせる。

俊敏性を高めるため、とはいうものの、
どちらかというと、
若い兵たちが、小さいリスを追いかけて、
バタバタする様子を楽しむレクリエーションの意味合いが強い。


「その訓練の日が迫っているというのに、
森のリスがどこにもいないというんだ」

「リスが?」

「訓練のために、あらかじめリスを捕まえるのだが、
何日かけて探しても、リスが見つからない。

その理由もわからない。

何とかならないだろうか、と、
僕の所にお鉢が回ってきたというわけさ」

「んー?」

グリダニアは森の国。

森といえばリス、リスといえば森。
は、言い過ぎかもしれないが、
ちょっと探せば、子供でも見つけられるくらい、
メジャーな動物だ。

まして、探しておるのは、
その森を拠点とする者たち。

にわかに信じがたい話である。

「どういうことじゃろ?」

首をひねる姫巫女に、

「その理由も含めて調査を行い、
訓練用のリスを捕獲してきてもらいたい。
とびきり元気な奴がいいそうだ」

と、ボルセルが言う。

そこへ、

「姫、僕からもお願いするよ」

と、もう一人会話に参加する声が。

凛と涼しげな声の方を振り向くと、
長身で穏やかな笑みをたたえた黒髪の女性が、
湯気が香り立つコーヒーカップを盆にのせ、
恭しくボルセルにお辞儀をした。

「お話し中失礼いたします。
コーヒーのお代わりをお持ちしました」

「やあ、ミューヌ殿。これはかたじけない」

会釈をするボルセルに、
ミューヌは穏やかに微笑み返すと、
無駄のない所作でカップを取り換える。

音一つたてない見事なものだ。


ミューヌは、ここカーラインカフェの女主人で、
こちらも、ボルセルと同じ『僕っ子』。

冒険者ギルドの代表でもあり、
皆から頼られ、親しまれる美しい女性である。

「実は、その依頼は一度冒険者ギルドの方にも声がかかってね」

「そうなの?」

「うん。でも、残念ながら誰も引き受け手がいなくて、
ボルセルさんにお詫び申し上げたところだったんだ」


「ふうん」

「内容が中堅クラス以上の冒険者には物足りなくうつり、
駆け出しの者にも…少々人気が出なかった、かな」

申し訳なさそうな表情で話すミューヌ。
ボルセルの手前、少しだけ濁した言葉を姫巫女は汲み取り、思う。

冒険始めたてには、
リス探しはロマンが感じられなかった、かの。

ちょっとだけ、ため息をつく。

先ほどの自分も、めんどくさいのと、
なんか嫌な予感がするのと、
今日はのんびり過ごしたいのとで、

内容も聞かずに断っていたのだから。


いかんいかん…初心忘れるべからず、じゃの

自己嫌悪はとりあえず店の隅に蹴飛ばして、

「わかったのじゃ。その依頼受けますの」

と、ボルセル、ミューヌの二人を見やりながら
姫巫女が答えた。

グングンは見なかった。

「おお、そうか!やってくれるか、ありがとう!
流石は『英雄』、助かるよ」

ボルセルが立ち上がって、
姫巫女へと握手の手を伸ばす。

「あんな会話のからめ手使っておいてよく言うわ」

その手を、苦笑しながら姫巫女はそっと握った。

ミューヌからも、感謝の言葉が。

「姫、ありがとう。
ギルドマスターとして、依頼の差し戻しは、
とても心苦しかったんだ」

「なんのなんの♪
ミューヌ殿も水くさい。

そういうことなら、
姫に一声かけてくれればよいものを」

グングンから聞くより、
素直に引き受けたかも。

そんな言葉を飲み込みながら、
姫巫女はミューヌに微笑みかけた。

ミューヌも微笑んで答える。

「次からそうさせてもらうよ。

50匹も捕まえるのは大変だろうけど、
きっと姫ならできるよ。がんばってね」







ん?





50匹??





「ぼ、ボルセル殿!!」

想像だにしていなかった数字に一瞬呆けた後、
姫巫女はバッとボルセルの方を振り向き問い詰める。

「リスって、そんなに捕まえるの!?
5、6匹くらいじゃないの!?!?」


「いや、少なくとも50匹は頼むよ」

「聞いてないのじゃ!」

「言ってないからね」

「50匹とか無理じゃろ!?」


実は、冒険者ギルドにおける募集で、
引き受けるものが現れなかった大きな理由はこれであった。

感傷的な理由など抜きにして、

50匹ものリスを捕まえるのは、
至極面倒くさいからである。


「そこを何とか頼むよ。
快く引き受けてもらって安心した。
では、吉報を待っているよ」

他の者が見れば爽やかな

しかし、今の姫巫女にとっては、
してやったりといった笑顔を見せて、
ボルセルはカフェを去っていく。


姫巫女は、その後ろ姿を、

「…もぉおおおおおおっ!!」


フワフワ尻尾をピンと立て、
怒りの所作で見送ったのであった


≪続く≫

次回『ちびなもさまとチーズ」(予定)

☆この作品はFF14の世界を題材とした二次創作であり、
色々、様々、姫の想像と妄想の夢物語なのじゃ☆
実際の作品、物語、プレイヤーを表すものではございませぬ。
すべての権利は、運営様に帰属するものでございます。
なので、転用しちゃダメじゃよ!!

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