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【ワシのヒカセン冒険記】第13話【FF14二次小説】

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■あらすじ
ばっちぃ…

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【Lodestone】、【Pixiv】で多重投稿されております。

Twitter■https://twitter.com/hisakakousuke
Blog■https://sakatatsunorou.blogspot.com/
Pixiv■https://www.pixiv.net/users/2277819

第1話→https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/34040203/blog/4661663/
第12話→https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/34040203/blog/4730886/
第14話→https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/34040203/blog/4745143/

◇◆◇◆◇>>><<<◇◆◇◆◇





ワシのヒカセン冒険記 第13話


「愚か者どもめッ、我らを止められはせんぞ!」

 大木の祭壇でも、先刻の若木の祭壇と同じように邪教の信徒が念珠を守護していたが、お三方の力有れば何のその。召喚され出でたヴォイド・ソウルカウンターも討滅し、念珠を破壊して更に深奥へ――
 最後の祭壇である古木の祭壇は強力な結界が張られているのを見て取ったワシらは、更にその奥――メナ家の墓まで侵入を果たし、守護していた邪教の信徒を殲滅して邪教の念珠を奪取、封印結界を破壊して、いざ最後の祭壇へ辿り着いたワシらを出迎えたのは、怨念のオクタベルと称される邪教の幹部だった。
 その顔と名前だけは一致していた。双蛇党からの依頼――元を辿れば神勇隊からの依頼のようだが、そこで最後の群民の情報は或る程度提示されていた。その中の幹部の一人が今眼前で息つく暇無く魔法を浴びせようとしている法衣――怨念のオクタベル。
 その周りには無数のグレイブディガーが侍り、彼の合図を以てワシらに向かって襲い掛かって来る。
 最早一刻の猶予も無いのは明白だった。蠕動する禍々しい繭、その真下に近い古木の祭壇からはその不気味な様子がくっきりと見える。素人目のワシから見ても不味いのが分かる。最早あの繭から魔が生じるのも時間の問題であるとさえ。
「させませんよッ!」
 具現化する火炎の魔法を戦斧で打ち払い、クロス殿が突撃――グレイブディガーの集団を掻き分けるように突き進んでいく。
「露払いはお任せを!」「サクノさんもガンガン行っちゃってください!」
 サクノ殿が白人でグレイブディガーを薙ぎ払い、ユキミ殿が雷と炎、そして風の魔法で次々とグレイブディガーを散らしていく。
 ワシとて指を銜えて見守っている訳には行かず、立ち塞がるグレイブディガーを一匹一匹打ち据えては前進していく。
 時間が惜しい。呼気を乱さぬように、一心不乱に拳を打ち込み続ける。四方八方で火炎と電撃、暴風が吹き荒れる中、それでもあの法衣だけは見逃さぬように、両眼だけは決して閉ざさず。
 全身に走る鋭い冷気にも、グレイブディガー自身が衝突する衝撃にも、怨念のオクタベルが飛ばす火炎の魔法の飛び火にも、心胆揺らがず、闘拳鈍らせず、漸進緩ませず、懸命に鍛錬した全てを想起し実践していく。
 連撃――正拳突き――崩拳――連撃――正拳突き――崩拳――連撃――ッ!
 丁寧に、全霊を込めて、渾身の力を叩きつける。
「ごふ……ッ冒険者如きが……ッ」
 困難を極める集団戦であってさえ、この拳は届いた、届けてみせた。
 邪教の幹部に届いたこの拳は、そうして悪しき存在を……いや、ワシと敵対した、ワシとは理を異とする善を、壊滅するに至った。
 二歩三歩と後じさり、その先には地下深くまで続く漆黒の空洞しかないそこに、オクタベルは足を踏み入れる。
「これにて……我らが大願、成就せん……ッ!」
 カパ、と笑みの形に口唇を裂いた法衣は、そのまま虚空の彼方にまで落ち――ワシらの視界から完全に消失した。
「……後味が悪い終わり方ですね」ユキミ殿が穴の奥深くを見下ろしていた視線を戻し、ワシらに向かって肩を竦めた。「でもこれで、依頼は達成……ですかね?」
「……ただ、あの繭、消えてないんですよね……」
 サクノ殿の視線の先――禍々しい繭は未だ蠕動を続け、消失する気配を見せない。
「――! そうだった念珠の破壊――っ!」
 クロス殿が慌てて古木の祭壇に納められていた二つの念珠を破壊した――直後だった。
 幽寂の円環と呼ばれる円状の石の舞台に向かって石橋が盛り上がり、渡れるようになっていく。それと同時に、幽寂の円環のその真上に浮かんでいた禍々しい繭が、緩やかに降下して、石の舞台の中央で――――繭が、霧散した。
「古の王の骸を依代とし、ヴォイドの深淵より我を呼びしは――――貴様か?」
 禍々しい繭――いや、かの王の言を借りるのであればアレは――深淵の繭と言ったところか――から生じ出でたのは、イカのような相貌の人型の魔物……いや、事前に知り得た情報が示す名は、……絶対王ガルヴァンス……!
「血の復讐を求め、『門』を開いた愚者は、貴様らではないようだな」絶対王ガルヴァンスは石の舞台――幽寂の円環の中央からワシらを睥睨すると、退屈そうに嘆息を零した。「……まぁ、よいわ。事のついでだ……貴様らの脳髄を啜り、その精神の味を楽しむとしようぞ!」
 ――瞬時に理解した。アレは、タムタラの墓所から出した時点でグリダニアが終わると。
 ワシが口にするまでも無く理解できているであろう熟達のお三方は言葉も交わさずに頷き合うと、「ヤヅルさん、初任務でこれは荷が勝ち過ぎているかも知れませんが……必ずアレを斃して帰りましょう」サクノ殿が神妙な面持ちで囁き、「生きて帰るまでが遠征ですよ……!」ユキミ殿が青い豚の着ぐるみの蹄をぐにゃらせてサムズアップを見せ、「誰も死なせませんよ……全員、無事に帰還させます!」戦斧を強く握り締めてクロス殿が吼えた。
「――――心得た!」
 ワシも言葉短く応じると、――そこから凄絶な殺し合いが始まった。
 互いに連携を取り合いながら、懸命に強大な魔に食らいつく、正しい意味の生存競争。
 生き残った方が正義だと言わんばかりに。死力を尽くして、相手の存在を否認する。
 冒険者とは、斯くも過酷なものかと、初めての依頼で知ってしまうのだった。

◇◆◇◆◇

「あ、エレちゃん! みんな帰ってきたよ!」「皆さんご無事で……」
 グリダニアのカーラインカフェ。タムタラの墓所から帰還したワシらは、二人に出迎えられて席に着いた。
 ワシを含めて四人とも、全身びしょ濡れの態で、しとしとと水滴を落としながら沈痛な面持ちで溜め息を漏らす。
「……ご無事では、ない……?」エレット殿の心配そうな声が聞こえる。
「びしょびしょだねぇ。黒衣森の中央森林の方で雨でも降ってたの?」ツトミちゃんがトコトコ歩み寄り、「うわ、何かイカ臭い。ばっちぃ水……?」すすす、と遠ざかった。
「……何と言うかの……」ワシは疲れ果てた声で呟いた。「絶対王ガルヴァンスが、召喚されたんじゃが……」
「それは一大事では……? 急ぎ双蛇党に救援を頼みましょう」スッと立ち上がりかけたエレット殿を手で制す。「……? もしやもう救援は要請済みでしたか……?」
「いや……絶対王ガルヴァンスは、討滅した」
 ワシの一言に、ツトミちゃんとエレット殿が顔を見合わせる。
「よく分かんないけど、すごー……い?」「偉業を成し遂げたにしては、意気消沈されてる様子ですが……」
 ツトミちゃんとエレット殿の要領を得てない様子の反応に、クロス殿が「イックシ!」とクシャミを一つしてから、「それが……何かこう、イカの化け物みたいな奴でして、こう、口からビューッ! っと……」説明してる途中で再び「イックシ!」とクシャミを放った。
「えぇ……ばっちぃ……」ツトミちゃんが更にすすす、と距離を取った。
「魔法……魔法なんですよね一応……ウォータって言う……」どんよりした様子のサクノ殿。「でもこう……見た目的にも、匂い的にも、こう……うへぇ……」
「……斃せたは斃せた訳ですし、カルト教団も掃滅できたはできたんですけれど、最後の最後に、全員がその……」べたべたの青い豚の着ぐるみの頭を振るユキミ殿。「……喰らっちゃいまして、何か、アレな、その……液体を……」
「……」「……」
 ツトミちゃんもエレット殿も言葉を失っていたが、やがてツトミちゃんが感想を一言。
「……ばっちぃから、早く着替えてきて」
「「「「はい……」」」」
 ――そうして、初めての大仕事が終わりを告げる事になった。
 大事な一張羅を失ったのは、大変な痛手ではあったが……
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