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レオニア王国記 第二期 もくじ◆
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レオニア王国記 第二期 十四話 鋼鉄に笑む花 幕間編 レオニア小話第二期 「ルカの相棒」 ▷王妃の密命 ここはレオニア王城のツインレオ城。 その中庭にある訓練場で、騎士達がそれぞれ鍛錬を行っている。
その中で、剣の素振りをしているミコッテ族の騎士がいる。 彼女はツカサ、新人を中心に構成された「若獅子隊」の隊員である。
「ミア隊長、去年の収穫祭の最終日に突然いなくなってしまった。 一体何があったんだろう。
良き指導者としてボクら若獅子隊の騎士達から慕われていたというのに。」
素振りをしつつつぶやいていると、こちらに一人の執事が向かってくる。 侍従長のブラマールだ。
彼はツカサの元に来ると声をかけた。
「ツカサ様、お忙しいところ失礼します。 あるお方が貴方をお呼びです。 恐れ入りますが同行を
お願いします。」
「あるお方? その方は一体誰なの?」
同行を呼びかけたブラマールに、ツカサは自分を呼んだ者のことを尋ねる。
「申し訳ありません。 呼び出したお方の意向により、今お教えできません。」
ブラマールの答えに疑念と不安を覚えつつも、ツカサは彼の後についていく。
そしてツカサは、王城のある部屋に通された。
応接間の一つのようだが、よく見ると置かれている家具や調度品は高級そうなものが並んでおり、
王族が賓客を迎え、応対する時に使われている部屋のようだ。 そしてそこには先客が一人いた。
「ツカサ、あなたも呼ばれたの?」
そこにいたのはアウラ族の少女だった。 彼女はルカ。 ツカサとは幼なじみの歴史学者だ。
現在はレオニア学術院の要請を受けて、レオニア王国の歴史をまとめるため、ツインレオ城に
滞在している。
「ルカ、君も呼ばれたんだ。 一体誰がボク達を呼んだのだろうね。」
二人とも不安げにしているところに、ドアがノックされ、部屋に誰かが入ってきた。
「ルカ、ツカサ 二人ともよく来てくれました。」
なんと、部屋に入ってきたのはイルミナ王妃であった。
「イルミナ王妃様?!」
椅子にかけていた二人は立ち上がり、ルカはお辞儀を、ツカサは敬礼をした。
イルミナ王妃は二人を見つめ、こう言った。
「いいですか、これよりあなたたちに話すことは、他人に話してはいけません。」
イルミナ王妃の言葉にこたえる二人。 その返事を聞いてイルミナ王妃は言葉を続けた。
「あなた達二人を、ただいまを持って銀獅子騎士団別働隊の補佐役に任命します。
任務については追って通達するので、それまでは各自通常通りに動いてかまいません。
繰り返しますが、秘密は厳守すること、いいですね。」
二人はイルミナ王妃の言葉に「はい!」と答える。 そしてイルミナ王妃は二人に連絡用の魔器を
手渡す。
「任務の通達などはこの魔器を通じて行います。 その後は魔器からの指示に従うこと。
あなた達への通達は以上です。」
イルミナ王妃が話し終えると、ツカサは敬礼をし、ルカもつられて敬礼をする。
「さて、固いお話はここまでとしましょう。 ここから先のお話は、秘密にする必要はありません。」
「どういうことです?」
イルミナ王妃の突然の言葉に、呆然となり尋ねるツカサ。
「あなた達から銀獅子騎士団やレオニア学術院の近況を聞かせて欲しいの。
そう、お茶を飲みながらね。」
そう言いながらイルミナ王妃は柔和に微笑んだ。 彼女が部屋にある呼び鈴を鳴らすと、ブラマールが
お茶とお菓子をのせたワゴンを押してやってくる。
三人はしばらくお茶と対話を楽しんでいった。
レオニア王国記 第二期 十四話へ続く(20230610初掲)