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紅蓮のリベレーター 帝国の影 記憶の断章 1-4 : 罪の記憶と、残されたもの

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罪の記憶と、残されたもの

──ビターミルで発見された金属製の容器。それが何を意味するのか、すでに答えは出ていた。

「黒薔薇」。

エオルゼア全土を覆い尽くすはずだった、死の化学兵器。

その実験場として選ばれたのが、かつて消息を絶った捕虜たちのいた村だった。

真実を知ったところで、過去は変わらない。

村に住んでいた者たちは、毒によって命を奪われた。

そして、その兵器を生み出したのが──今は記憶を失った「グリエルメ」という男だった。

タラ・モルコー少牙士が静かに呟いた。

「……自分が誰だかわからなくなったとしても、犯した罪が消えるわけではないんですね……」

彼の言葉は、まるで宙を舞う灰のように重く、沈黙の中に溶けていった。

罪とは何なのか。

贖罪とは、どうすれば果たされるのか。

過去を忘れた男は、どんな夢を見るのだろう。

己の手が何を生み出したのかも知らぬまま、生き続けることは果たして幸せなのか。

しかし、こうも思う。

記憶を失ってもなお、ビターミルに辿り着いた彼には、何かしらの無意識があったのではないか。

滅びた村へと戻ったのは、罪の記憶に引き寄せられた結果なのかもしれない。

「……あんな物があったら、いつまたそれを利用する者が現れるか……回収後は、必ず破棄してください。」

タラ・モルコー少牙士の言葉に、スウェスリク大牙将は頷いた。

もはや、過去の亡霊に縛られている場合ではない。
未来のために、この毒はこの世から消し去らねばならないのだから。

「英雄譚を書き記す日を楽しみにしています」

タラ・モルコー少牙士はそう言って、去っていった。

けれど、英雄とは何か。

罪を裁く者か、希望を示す者か──それすらも、簡単には答えが出ない。

ただ、ひとつ確かなことは、

「黒薔薇」が生み出した死の記憶は、決して風化するべきではないということだ。

クエスト「山狩の始まり」より
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