~One night~ディナータイムが終わり、最後の客が帰っていくと
残った食材の確認をする。
このルーチンもやっと慣れてきたとこだ。
自分の店を持つ事が夢だった。
それが叶った今は客の幸せそうな顔を見る事に変わった。
”ふぅ”と軽く自分の肩を揉んでほぐしながら、
「夕飯なにすっかなー?」
と呟いた時、扉が開いた。
~・~・~・~・~・~・~・~
~・~・~・~・~・~・~・~
「まだやってる〜?」
開いた扉からひょこっと顔を出したのは
馴染みの客。
「お客様、、当店はすでに終了しておりますので申し訳ないが帰ってくれ」
「おいおい、最後まで丁寧に話してよ?今日は良い”モノ”を持ってきたんだぁ」
にやにやしながらその客は店に入って来た。
冒険者風のそのミコッテは手近の椅子に浅く腰掛けて、
テーブルの上に何やら麻袋をずかっと置いた。
私は肩をすくませて、それを手に取ると
「ミルよぉー?」
「”は”、、じゃねーだろ?”も”だろがよ?」
麻袋の中身を覗き込みながら横目で睨んでやる。
毎回、冒険から持ち帰った報酬や珍しいものを持って来ては
それを使って何か作って食わせろと言ってくる。
仕方ねーなぁ
丁度メシにするつもりだったから、まぁいっかとぼそぼそ呟き、
相変わらずにやにやしながらこっちを見ているミコッテに気付かない振りをする。
~・~・~・~・~・~・~・~
「今日アジムステップ行って来てさ、良い小麦粉が手に入ったんだけど
シリナがさ、最近麺ってやつを打つのにはまってるらしくて、、」
ミルはテーブルに肩肘ついて今日あった出来事を話してくる。
相手に聞いてもらうというよりは、只自分に起きた事を反芻しているように思える。
私はそれを聞きながら鍋に大量の湯を沸かす。
こいつの冒険話を聞くのは好きだ、、絶対言ってやらんけど。
・
・
・
それから少しして、
同じテーブルにつくミコッテとララっ子の談笑が夜の闇に聞こえて来た。