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逆襲 9

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爆弾列車が汽笛を上げて走り出した後、俺含めた冒険者各位は各々のマウントを召喚し、それぞれが全速力で列車の前または後を走り出した。
俺も長年の相棒であるチョコボ、ベクターを召喚し、駆け走った。
俺達が受けた最初の作戦は、列車の護衛だ。
敵とてこちらの様子を伺うだけの馬鹿じゃない。
必ず列車を破壊する為にあの人形どもをぶつけて来る筈だ。
実際、その予想は的中した。
それも飛空タイプの見た事が無い乗り物に乗って。

「魔法や飛び道具が放てる者は率先して放つんだ!手綱等を握っている者は無理に放とうとしない様に!」

顔見知りのエレゼン族の青年の号令に、二人乗りマウントに乗っている魔術師達が一斉に人形達に向かって魔法を放つ。
爆発音と機械が派手に壊れたかの様な音を立てて、シャーローニ荒野の大地に叩きつけられていく。

「ざまあみろ、ガラクタども!」
「ちょっと、熱くならないで!次が来るわよ!」

銃火器、魔法、ありとあらゆる手段で人形達は落ちていく。
だが、それでも奴等の数は減るどころか、増えている気がした。
どうやら奴等は『警戒』から俺達含めて『排除』に切り替えた様だ。
ガレマールの雑兵どももそうだったが、相手が強いと分かると戦力を上げて全力で攻撃して来るのは、分かりやすい。
だが、唯一違うのは、奴等は物言わぬ操り人形であり、機動力が高いものに乗っている事。
そして物言わぬ操り人形だと言う事は、奴等を操っている『人間』の判断力がずば抜けていると言う事だ。

「くそっ!当たらなくなった!奴等動き方を変えて来たぞ!」
「魔法ならば追尾出来る!…だが魔力が持つか分からねえ…!」

有志達から焦りの声が聞こえて来た。
列車の上でも人形達の迎撃は行なっているが、それもいつまで持つか分からない。
何か一手を導き出す事が出来れば…と思った時、ある事が閃いた。

『ベクター、あの人形どもの中の内一体をあの乗り物から落として、あれを奪う。近づけるか?』

俺の言葉を理解したのか、ベクターは空高く跳躍した。

「え!?何だあのチョコボ急に跳んだ!?」

鞍に足をつき、人形に徐々に近づく。
そして渾身の蹴りをかまして人形を落とした後、俺はその乗り物の操縦席を乗っ取る事に成功した。

「う、うおおお!?何だアイツ無茶苦茶だ!!」

他の驚きの声を尻目に、俺は乗り物の操縦席を見た。
初めて見るタイプの乗り物だと思ったが、これはシドやネロがいつもああでもこうでもと言いながら造っていたバイクとやらだったり、車とやらだったりと言う乗り物の操縦桿とほぼ同じ構造だった。

『なんとも…都合が良い!』

地面に落ちる寸前、アクセルを噴かし、低空姿勢で飛んでみせる。
そして丁度俺の真上を飛んでいた人形達の群れに飛び込み、『ローン』を片手で振るって文字通り叩き落としてみせた。

「おい!あれなら俺もいけるかも知れねえ!」
「バカを言うな!あれはたまたま運が良かっただけだ!」

そう、たまたま運が良かった。
だが、運も実力の内と言う言葉が有る。
俺の悪運も、転じれば幸運にもなり得る。
あまりそれには頼りたくなかったが、今はそれにも頼らなくてはならない。

『ベクター、ご苦労だった!ここからは俺一人で良い!』

そう告げると、「了解」と言う様な鳴き声を一つ鳴らして、ベクターは帰還した。
そこから俺は、向かって来る人形達を叩き斬り、突き落とし、時には乗り物の胴体を人形にぶつけて落としてを繰り返しながら、列車の護衛を遂行した。
そしていよいよ列車がトンネルに迫ったその瞬間だった。

「皆飛び下りろ!トンネルに近づいて来たぞ!」
「僕達が受け止めます!さあ早く!」

ウクラマトの号令と共に、『ひろし』含めた暁の面々が次々と爆弾列車から飛び下りる。
だが後一人、列車の操縦士であるシュバラール族の女性がまだ列車を運転していた。
ギリギリまで速力を上げて飛び下りるつもりなのだろう。
だが、そんな事をしたら怪我どころでは済まない。

『彼女は俺に任せろ!』
「ヴェインさん!?」

アクセルを噴かし、全速力で列車の最前列に向かった。
だが、どんなにアクセルを回しても、列車の速度の方が速く、運転席の方まではなかなか届かなかった。
そうこうしている内に、運転席から女性が今にも飛び下りる準備をしている。

『くっ…!このままだとマズイ…!』

アクセルを全力で回し、運転席に迫る。
少しずつ運転席に近づいていくが、その度に乗り物から聞きたくない音と焦げ臭い臭いが鼻を刺激したが、そんな事は些細な事だ。

『間に合え…!間に合え…!間に合ええええええええ!』

そしてついに女性が飛び下りた瞬間、俺は彼女の体をしっかり抱きしめて、限界を迎えた乗り物から同時に飛び下り、懐に入れているとある魔笛を盛大に鳴らした。
その直後、空間から1匹のグゥーブーが現れ、訳が分からないままそれは俺と彼女を反射的に掴んだ。

「ブオオオオオオオオオッ!?!?」

俺が乗っていた乗り物の爆発により、俺達の身体は更に勢いを付けてトンネル方面に進んだが、俺が召喚したベクターと同じく長い間冒険を共にしたグゥーブーの「ヴェルトロ」が(訳が分からない状態のまま)俺達を掴み、壁へと激突。
その直後、トンネルの奥から凄まじい爆発音と盛大に何かが崩れ落ちる音が聞こえて来た。
第一作戦は無事に成功した様だ。

「ブ、ブオオオオオオオ…!」
『…すまんなヴェルトロ…大丈夫か…?』

背中を「少し痛がり、何が何だか訳が分からない状態」のヴェルトロを案じながら、俺は運転席にいた女性を見る。

「いやあ、助かったよ。トナワータ族もやるもんだね」
『生憎、俺はトナワータ族じゃなくてね。だがお褒めにあずかれて光栄だ』

見たところ、かすり傷一つも無いようだ。
無事に家に帰してあげる事が出来そうで本当に良かったと、安堵した。

「ヴェインさーん!大丈夫ですかー!?」

エレゼン族の青年の声に、俺はヴェルトロの腹の上で力強くサムズアップをした。
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