穴を掘って、埋めたのです。
埋めたのはいいのですが、あいにくの大雨で、まるで沼のように・・
「これ、まずいよね」
「まずいですね」
沼のふちの土を削って落とし込み、まぜまぜしてみる。
するとどうでしょう。沼の泥が、もりもりキメ細やかに!
「これ知ってる! チョコ職人の、ショコラティエの技術や! テンパリングいうやつや!」
「ドラマ観すぎ」
「ドラマじゃないですー。原作マンガですー」
「ああ、あなたの家のテレビは、ゲームと目覚ましテレビしか映らないんだもんね」
いけねぇの!?
しばらく頑張るも、事態は好転せず、雨も手伝って、沼・絶賛☆拡大中。
ぐっきん・もぐもぐ・ぐっきんもー♪
「これまずくね」
「まずいですね・・散歩中の中型犬が消失するレベルですね」
「怒られるんじゃね」
「怒るんじゃないですかねえ・・」
途方にくれてると、遠くから近づいてくる後輩君の姿が。
その瞬間、腹の黒い人間の目が、妖しくきらめいたのでした。
「ちょ、こっち! 沼のこっち側から呼ぼ!」
こんな時だけ無類のチームワークを発揮して、後輩君との間に沼をはさんで素早く集合するわたくしたち。
「おーい、こっちこっちー!」
気づいた後輩君は、にこにこしながら駆け寄ってきます。
こっちも、にこにこ。
あと3m・・あと1m!
今まさに沼に踏み込むかと思われた後輩君は、
微妙に向きを変えて、沼のふちを回りこんで、こちらへ来たのでした・・
「お待たせしました!」
「・・え・・なにそれ・・なんでまっすぐ最短距離で来ないの・・」
「え・・だってここ、あきらかに怪しいじゃないですか」
「なんて小賢しいことを・・ないわー。ほんとないわー」
「がっかりだよ。君には失望させてもらった」
「どこでリンゴを食べたんだ」
「えええ? なんすかいったいもー!」
世界を狙えるアレかと思われた後輩君なのに、こうしてちょっと知恵をつけた姿を見ると、
成長したのだな、と思う反面、
さみしいような、残念なような、
軽くイラっとくるような、
複雑な気分だw
ヒトに知恵の実を食べる事を禁じた神さまも、あんがいこの程度の理由だったのかもしれないね。
ぼくの日記を読んでくださってる方の中に、信心深い人がいないことを、祈るばかりだ。