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DRAGOON PRINCESSⅡ 第四章④「運命」

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 ディープの突撃の合図と同時に剣部隊、槍部隊が、イクサル軍の先頭部隊と激突する。同時に、弓部隊は上の空へ展開し、魔導士部隊は下側へと配置につく。

 ミロを筆頭にした弓部隊が狙いを定め、空から雨のように矢を放ち、前線の援護をする。たまらずイクサルの後続部隊は、空の下側から攻めようと動く。
 そこを先読みしていた魔導士部隊の火炎魔法が次々と炸裂し、直撃したイクサルが黒煙をあげながらミュロンド峡谷に落下していく。

 しかし、当然ながらイクサル軍の勢いは止まらない。後方から次々と新しい戦力が加わり、多彩な攻撃を仕掛けてくる。

 竜人族が魔法の翼で素早く飛ぶことは、たとえ鍛練を積んだ兵士であっても、激しい魔力の消耗となる。ましてや、空中に居続けながらの乱戦による目まぐるしい攻防。これが長期化すれば、イクサルとの戦況は厳しいものになるのは目に見えていた。

 空での激戦の下。地上で魔物の大群と戦い続けていたスカイとローズ。スカイは魔物を蹴散らしながらローズを気遣う。

「(ローズ、大丈夫か! 地上の魔物の数がかなり減りつつある! もう勢いが落ちてきた!)」

 額の汗を拭いながら、呼吸を整えるローズ。

「ふぅ……! ありがと大丈夫! そろそろ街の人の避難が完了するといいのだけど……」

 テンシオから通信が入る。

「ローズ様! ミュロンドの住民が全員ブリッジを渡りきりました! 関所の門の閉鎖完了です!」

 その朗報に、表情を明るくさせてローズが応える。

「ありがとう、わかった!引き続き関所を守りながら、住民をヴォルマルフ城まで宜しくね!」

「了解しました!」

 ローズは逆光の中に見える空中の大乱戦を見上げながら、スカイに呼び掛ける。

「スカイ! 空に加勢しよう!」

 ローズが槍を背負い駆け出し、スカイに飛び乗ると、スカイは勢い良く羽ばたき、爆風とともに真上に上昇する。

 戦況は五分五分。これ以上長引けば、地に降りての戦いに切り替えざるを得ない状況だった。それはすなわち、イクサルの大陸中央への侵攻を許す形となり、避難中の住民を巻き込みかねない。

 スカイは口を開け、戦場の真下から、味方のいないイクサルの群れの後方部隊に向かって、蒼い灼熱の火炎の玉を放った。イクサルの後方にそれが直撃すると、化学爆発のような巨大なファイアーボールが巻き起こり、イクサル軍全体が一気に混乱する。
 その騒乱を突き抜けながら、スカイは体を一回転させて、強烈な突風を起こす。戦場の中央の上空に飛び出ると、太陽を背に大きく翼を広げ、高々と吠えた。

 迫力ある蒼き竜の存在感に、イクサル達が怯む。百人力を遥かに超える心強い加勢に、ヴォルマルフ全軍の指揮が一気に高まった。
 ディープがその兵士達の安心感を代表して声を出す。

「姫! 蒼竜殿! ありがたい!!」

 最前線で戦うディープの声に対して、ローズが手を振る。ローズはイクサルの群れ全体を眺めながら言った。

「スカイ! 指揮官を叩こう!」

「(ああ、名案だ!)」

 スカイがさらに上昇して、後方に陣取るイクサルのそれらしき小隊に狙いをつけた。スカイの視野と、ローズの視野を共有し合い、広範囲の状況を的確に判断しつつ、火球を周辺に放ちながら飛びかかっていった。

 その一方で、蒼き竜の援軍に戦いの劣勢を感じとったイクサルの小隊が、乱戦の隙を見て関所の方へ急降下した。
 その動きにミロがすぐに反応する。

「あいつら━━関所を襲うつもりか! 行かせやしないよ!」

 ミロが大弓を構えながら、イクサルの小隊を追いかけた。それを横目で見たディープが大剣でイクサルの攻撃を防ぎながら、注意を叫ぶ。

「待て! ミロ! あまり深追いするな!」

 狙いを定めるために極限までに集中していたミロの耳にその声は入らない。
 天地のない青空の中をドッグファイトする戦闘機のように、高速で逃げ回る小隊に向けて、ミロが弦を連続で引き、放つ。弾丸のような矢が、次々と正確無比にイクサル達の急所を射抜いた。

「よっしゃ!」

 絶命して谷に落ちていくイクサルを背景に、ミロが握りこぶしを前に出して、喜びを表現をする。空中で静止して、一呼吸起き、背中の補充用の矢に手をかけた瞬間だった。
 左脚に激痛が走る。一気に吹き出る汗と共に、表情を歪ませるミロ。後方から密かに狙い済ましていたイクサルの弓兵の一撃がミロの左脚を撃ち抜いた。

 直後、ディープはその弓兵を大剣で切り裂いた。放たれた矢先がミロに当たったように見えたディープが、悔しさを声に出す。

「くそ! 間に合わなかったか! ミロ大丈夫か!?」

 そう通信で声をかけたディープに、他のイクサル達が一気に襲いかかった。
 ミロがディープに返答する。

「ああ……! ……ただのかすり傷だよ!」

 しかし、ミロは体を走る痺れに直ぐに気が付く。

「━━く……毒……かよ……」

 マイクで拾えない微かな無声音でつぶやいたミロは、体の自由を失って、ゆるやかにミュロンドビッグブリッジの上に降りて、うずくまった。

 その時、大地が唸り、低周波と高周波の不協和音を放って軋んだ。激しい振動と轟音と共に、ミュロンドの街並みにさらに何本もの亀裂が入った。大地の南北の裂け目は、さらに大きくなり、深い谷ができあがった。

 空の大乱戦にその音が届く。ちょうどイクサルの大将を仕留めたスカイとローズが東側の遠く山々を見た。ローズはその信じがたい、震え上がるような不気味な現象を口にする。

「……東の大地の山並みが……傾いていく……」

 その時、いつも冷静なテンシオがあせった声で通信してきた。テンシオは、関所の見張り台からの見える様子をそのまま叫んだ。

「ローズ様! 街に超巨大な魔物が急接近しています!」


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