俺達の金銭感覚は、「おかしい」部類に入る。
それは俺も例に漏れずだ。
装備、家具、素材、クリスタル、マテリア。
無論宝飾品や煌びやかなデザインの衣服も求める。
だが、その額は他の貴族や成金が手が出せるか否かの法外なものだったりする。
それらを平然と買ってしまう。買えてしまう。
それが俺達の「界隈」。もとい「社会」とも言える。
「2000万ギル…って事は…20万ペル…!?」
「う、嘘だろ…!?集落の蓄えだけじゃなくて集落の至る所全て直せるぞ…!?」
「只者じゃないと思ってたが…何者なんだこの人は…!?」
集落の人間達が俺を見てざわつく中、村長とアルフィノは静かに俺を見据えていた。
「…どう言うつもりだいお客人?アタシらの「もしもの時」の収入源をそんな大金で買おうなんてさあ…」
『まあ待ってくれ。睨む前に話を聞いてくれるか?』
怒気を込めた言葉を静かにぶつけて来るアドヴィナを静止し、
アルフィノと真正面から相対する。
『あのドーム目掛けて何かする気だな?』
「そうだね。爆弾列車で、あのドームの障壁を破るつもりだよ」
『その為の青燐水か。だが、後もう一つの威力を出す為には、まだ少し足りないと見た』
「だから、ここの『隠し源泉』を教えてもらったんだ」
恐らく青燐水の湧き出る量を鑑みたんだろう。
どんなに潤沢に見える資源でも、掻き出す様な真似をしたらいずれ限界は来る。
アルフィノ…いや、暁の血盟の面々は様々な計算、計略を練りながら列車を運行しているであろうシェシェネ青燐泉で働く人達の協力を取り付けたのだろう。
これは推論だが、誰かが『十二分の火力』の提案を持ち出し、彼等はそれを推奨した。
しかし、その為には青燐水の量が足りない。
青燐水をまた更に積むには、これ以上シェシェネのを取り出せばそこで働く人達の今後の生活に著しい影響が出て来る。
どうしたものかと考えていた時に、たまたま聞いていた集落の若いのが『隠し源泉』の話をしたのだろう。
『誰かの役に立ちたい。その気持ちは買う。だが…その後のここの暮らしや安全に多大な影響までは考えていなかったようだな』
「う……」
俺の言葉に、『源泉』の事を教えた若者は息を詰まらせる。
若気の至りとは言うが、それが後に取り返しがつかない事に繋がる。
今までにも様々な事が有ったからこそ、何かしらの形で提案を考えなければならないのだ。
「…私も身に覚えが有るからこそ、耳が痛いね」
『そこで、俺はここの『隠し源泉』を買おうと思っている』
「理由を聞いても?」
至ってシンプルな理由だ。
『この集落の今後の安全の保障だ』