PC電源故障~付録みんなの充電器にも使われているスイッチング電源の原理
これは、しばらく前・暑かった2023年の夏のことです。
PCの電源をオンにした瞬間バシッと音がして焦げ臭い匂いとともにPCが沈黙しました(>o<)
うわぁああ 仕事専用PC壊れてもうた!
壊れたPC:2011年に自作したCorei3の自作機 Win7 もう12年も使っているwため
そろそろ壊れるのは想定内でした。
月に1-2回の使用頻度 仕事でWin10以前でないと動かないソフトがあったため
スタンドアローンでネットには繋がず使ってました。
状況 ふだんはPCの電源は切っても、100V電源ラインは切らないでいました。
この頃は猛暑で待機電力で生暖かくなるので100Vラインもオフにして
1ヶ月ぶりに使おうと 100Vラインの電源オン すぐにPCの電源オンにしたところ
バシッ と音がして電源が入らなくなりました。
事故調査委員きめ博士からの報告
電源はSFX規格の300W。中華製の安物。PC自体もCore i3でグラボも積んでいないため
低消費電力で、300Wで十分なものだった。
電源を分解して調査したところ、電解コンデンサーは全て中華製の安物だったが、
爆発や膨隆変形、液漏れしているものは無かった。
高圧部分もあります。電源を切ってもコンデンサーに電気が残っていることもあります。
素人の方は分解しないでください。また分解によって起きたいかなる事故について
当方は一切関知しません。分解するなら自己責任でお願いします。
基板裏を見ると絶縁シートに焦げた跡があり、シートを取ると R44と書かれた
チップ抵抗が焼損していた
矢印が焼損したチップ抵抗
本来は横のR43の様に黒い塗装に何か文字やマークがあるはずだが、
塗装が焼失している。
推定原因
この部分は1次側のスイッチング素子に近いとことなので、もしかすると
電源100Vラインを切っていたため、空になった大容量コンデンサーへ
ラッシュカレント(突入電流)が流れ経年劣化していたスイッチング素子が壊れて短絡し
この抵抗に高電圧がかかり焼損したのかも。
スイッチング素子は見た感じは焼損していなさそうでした。
皆さんふだんPCや小型電子機器のACアダプタはコンセントに刺さったままですか?
スイッチ付きタップとかもオンのままですか?
機器をオフにしても商用100V電源に刺さっている電源部は生きています。
試しにラジオを近づけてみてください。ジージー ギャーー みたいな
ノイズが入ると思います。完全に電源を切るにはコンセントから引っこ抜くか
スイッチ付きの電源タップならオフにしないと、少ないですが待機電力が
掛かっています。おそらくは数ワット、昔の照明器具の豆球(5W)程度でしょう。
しかし繋ぎっぱなし(AC100Vが繋がりっぱなし)でも
機器の寿命はあまり変わらない気がします。なぜなら、今回の事例の様に
電源が入った瞬間にラッシュカレント(突入電流)という大電流が流れ、
これが結構、いろんなパーツの負担になるんですよね。
むしろ 小まめに100Vをオン オフすると寿命を短くする なんてことも
あるかもしれません。
知らんけどw
修理 ミニPCだったので電源はあまり売っていないATXより小型のSFX規格の電源だった。
いまさら新しいのを買うのもどうかとおもったので、手持ちの使い古しのATX電源を
繋いだら 無事に動いた。ただしケース内に入らないwので、カバーを外し電源を
上に乗せただけの状態。今後 別のPCを入手する予定。
電源が壊れたときにトランスの絶縁破壊などで2次側にも高圧がかかり、
PCのパーツが壊れることも希にあるけど、今回は大丈夫だったみたい。
以前は電解コンデンサーの破裂、液漏れが多かった。
日本製のコンデンサーは昔から優秀だった。内部インピーダンスの低い低ESRコンデンサーを
日本のSANYOが開発しOSコンのブランドで出し、PCによく使われた。
これを台湾のメーカーが真似をしたが、技術的に未熟で 特に電解液に問題があり、
1年前後で 片っ端から液漏れ 爆散した。2001年~2003年頃の話です。
最近の電解コンデンサーでは短期間で壊れることは大分少なくなった。
これが当時液漏れして故障したウチのPCの電源の電解コンデンサーです
上部が膨隆して中の電解液が漏れている。
参考 液漏れした電解コンデンサーの擬人化画像
あーん 電解液漏れたった
漏れているのは[電解液]です。危険ですので素手で触らないでね。
コラム
スイッチング電源
電子工学が せんもん の きめ先生
PCの電源をはじめ、USB充電器などあらゆる所で使われているスイッチング電源とは
どういうものなのでしょうか。
スイッチング電源の役割:商用電源(日本では交流100V)から目的の電圧の直流(DC)を
作りだす装置です。PCの電源もそうですが、USB充電器 スマホなどの充電器
HDDやルーター、LANハブ、などあらゆる電子機器のACアダプターは
現在はほとんどスイッチング方式です。テレビやHDDレコーダーなどの電源部にも使われて
おり、スイッチング電源の無いご家庭はないといっても過言ではないでしょう。
ただどういう原理で作動しているか、ご存じの方は少ないのではないでしょうか。
スイッチング電源以前は、トランスで電圧を落としたあとダイオードで整流し、
大容量の平滑電解コンデンサーで直流を作り出しました。
このトランスや電解コンデンサーはかなり大きいものでした。
昔のラジオのACアダプターはこういうのでした。
しかしこれだけは、負荷の高低で電圧も変動してしまいます。
電流の多少に関わらず一定の電圧をつくる回路は色々な種類があります。
トランジスタなどを使った安定化(シリーズレギュレーター)回路もありました。
このシリーズ・レギュレーターはトランスが重く効率も悪いので
あまり大電流がとれませんが、スイッチング電源よりはノイズが少ないです。
また入力電圧との差が熱になるので低い電圧を取り出す場合発熱が増えます。
1個のICで簡単に目的の安定化した電圧を取り出せる三端子レギュレーターは
現在でも使用されていて、装置の回路基板をみると、大小のものを見かけます。
現在主流のスイッチング電源の原理:色々な方式がありますが簡単に
1 商用交流を直流に整流する 整流ダイオードブリッジ 大型の電解コンデンサーが使われます。
2 半導体素子(トランジスタやMOS FET)で高速でスイッチングしてパルス波の交流に変換
3 それを高周波トランスの1次側に送り込む
※トランスというのは電圧を変えるためなどに使われるパーツで、鉄やフェライトなどの
コア材の周りにコイルが何束か巻いてあります。
1次側に交流を流すと 巻き線比率に応じた電圧が2次側に生じます。
例えば1次側に100回 2次側に20回巻いてあれば1次側に100Vの交流をかけると
2次側には20Vの交流になります。(あくまでもたとえです。実際は色々違います)
コイルには交流を流す必要があります。直流だとコイルが発熱するだけです。
スイッチング電源ではパルス波の交流を流しています。
4 トランスの2次側で目的の電圧にして再度整流してきれいな直流にする
スイッチング電源の制御方式には色々な種類があります。
最も代表的なのはPWM(パルス幅変調)方式。
パルス波の幅(スイッチングON/OFFサイクルのONの時間)を調整して、各パルスの面積を同じに
することで、電圧の安定化を図る方式。
スイッチング電源はいわば電力を切り貼りするかのように無駄なく出力するので、
きわめて高効率となります。
トランスの大きさは周波数に反比例。商用電源用のものは50/60Hzと低いのででかくて重い。
スイッチング電源のパルスの周波数は数10kHz〜数100kHzの高周波なので、トランスも小型・軽量。
ただ、高周波ではランスコアの材質は鉄心は損失が大きくなって使えずフェライトコアなどが
使われる。電源の効率がわずか1%アップしただけでも社会全体では多大な省エネ効果が得られる。
欠点 ノイズが多い。減らすため様々なフィルターなどが使われる。
上の写真でドーナツ状のコアに赤銅色の電線が巻き付けてあるパーツの多くは
ノイズを減らすためのパーツです。
動作中のスイッチング電源に耳を近づけてみよう ジージー とか キーンとかいう
音が聞こえるかも。中華の安物は特に大きい。
中華の安物USB充電器などノイズフィルタがほとんど無いのもある。
外部にばらまくノイズも多いので、それでスマホやタブレットが誤動作したこともあった。
耳に聞こえる以外にも中波ラジオを近づけてみよう。すごいノイズで放送が聞こえなくなる。
ノイズが多いのでAMラジオの電源アダプターとしては使えないことが多い。
参考サイト
スイッチングレギュレーター
色々な整流方式
https://www.tdk.com/ja/tech-mag/power/002PCのスイッチング電源
https://www.dosv.jp/other/0911/03.htmより深く学びたい方は このリンクからどうぞ
https://techweb.rohm.co.jp/product/power-ic/dcdc/dcdc-basic/84/スイッチング素子
昔はパワートランジスタ 現在はMOS FETが主流
MOS FETとはMetal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor の略
日本語にすると、「金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ」
G(ゲート) D(ドレイン) S(ソース)の三つの端子がある
G-S間に電圧を印加すると、D-S間が導通状態になるスイッチ素子です。
導通状態になった時の抵抗値(Ron抵抗)が低いほど低損失。
また近年 日本のROHMのSiC MOSFET(シリコンカーバイドMOSFET)が
低損失、高速スイッチングで注目されています。
https://www.rohm.co.jp/products/sic-power-devices/sic-mosfet#easyPartFinder切手くらいの大きさで100Aくらい流せて、発熱もそれほどでもない素子もあります。
近年はこのSiC MOS FETを使った電車用のVVVFインバーターも開発されています。
https://webmagazine.nedo.go.jp/practical-realization/articles/201706sic/小田急電鉄が2014年から使っている通勤車両(1000形)が最初です。
従来のIGBT(絶縁ゲート・バイポーラー・トランジスタ)型VVVFに比べて
SiC MOS FETのインバーター部の損失は35%しかない省エネぶりです。
今後電気自動車の制御部にも増えていくでしょうね。
https://techweb.rohm.co.jp/product/power-device/sic/sic-application/15807/https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2105/21/news064.html昔のACアダプタ
トランスでコンセントの100Vの電圧を落として、それをダイオードで整流し、
電解コンデンサで平滑しただけの電源。
昔のラジオのACアダプタとかみんなこのタイプ。
トランスがはいってるので、大きめで重い。
注意
このタイプのACアダプタは定電圧ではありません。
文字通り 負荷電流が少ないと電圧が高く電流が多く流れると下がる。
当時のACアダプタは 例えば12V300mAは 電流を流さないと16Vかそれ以上ある。
300mAまで流せて、電流が300mA近くなると12Vまで下がる。
昔のラジオとかはこの程度の電圧の差は問題なかったが、
最近のLSIを使った機器は電流が流れる前の高い電圧で壊れることがある。
なので古いACアダプタは電圧が合っていても最近の機器には使用しないでください。
見分けは、素人さんには判りにくいかもしれませんが、昔のはトランスを使ってる分重いです。
使ってる機器の説明には 必ず指定のACアダプタを使うように書いてあります。
一つにはこういう理由があるからだと思います。
現在のACアダプタはほとんどが、スイッチング電源による定電圧ですが、
困ったことにメーカーによってDCジャックの極性が違ったりするので、
機器に付属しているのを使いましょう。
DCジャックの多くは真ん中が+ 周囲がー が多いんですが
逆のメーカーもあります。逆接続になると機器が壊れる可能性があります。
それ以前にDCジャックの形状 サイズが異なることもあります。