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あるララフェルの冒険記録26 ある闇の戦士たちのフェアリー・テイル③

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   8.ベッドタイム・ストーリー2

「……そうして、悪い妖精たちにぼこぼこにされた二人の女の子たちは、闇の戦士たちが集まる大きな街、クリスタリウムに向かいましたとさ」

大好きな母親の優しい声で紡がれる、その絵本の中での出来事は、眠気に耐える小さな女の子の頭の中を目一杯揺さぶってきました。

「……うー……うぅーー……」

まるで自分が絵本の中のお友だちと一緒に冒険しているような気持ちになってしまっていた小さなヒュム族の娘は、

「ママ、それから?あの子たちはどうなっちゃったの……?」

眠いのに、続きが気になって仕方ないのか、母親にお話の続きを催促する赤毛の女の子。

「ふふ。そうねぇ。さーて、どうなるのかなぁ〜?」

ちょっぴり意地悪そうな表情で勿体つける母に、

「……ママ、はやくつづき聞かせて」

じとっとした目で抗議する娘。

「あら、ごめんなさいね。でもララフェルの女の子は、どうやらもう、一緒に冒険に行く仲間を誰にするのか決めているみたいね。さて、一体どんな人たちを連れていくつもりなんでしょうか?」

「だれ?どんな人たちなの?ママ、つづきはやく」

真剣な表情の娘に微笑みかけた母親は、それから少しいたずらっぽい表情をして、

「はいはい。じゃあ続きを読むわね……」

なるべく音を立てないように、再び年季の入った分厚い絵本のページを捲ったのです。






    9.闇の戦士が守る街



ドォーヌ・メグでの水妖達との戦いから、一夜明けて。

私達は朝日が昇るレイクランドの森の中を、ひたすらクリスタリウムを目指して、チョコボを飛ばしていました。

何しろ、再戦まで三日しかないのです。ぐずぐずしている時間なんてありません!

< ♪ 負けた〜 >

徹夜明けの変なテンションで、私は眉間に皺を寄せながら歌いだすと、

< ♪ 完ぺきに〜負けた〜^ _^; >

隣を並走するメアリーさんも、卑屈な笑顔で歌いはじめ、

<< ♪ にくたらしい 妖精どもに 絶対復讐だ!>>

「「クェーーーー!」」

私達が奇跡的にアドリブで同じ歌詞が出るくらい怒っているのが伝わったのか、チョコボ達も合いの手を入れてくれました。

イル・メグからのこんな長距離を、文句の一つも言わずに駆けてくれた愛鳥の背中を優しく撫で回していたら、木々の隙間から巨大な塔が姿を現したのです。

「あ、クリスタルタワーが見えました!」

「やっと着いた〜〜^ _^; 」

私は、門番の人に挨拶しようとチョコボを降り、大きく伸びをしました。

「んーー……」

その時です。

私の足先ギリギリの地面に、朝日を浴びてギラギラと銀色に輝く一本の槍が、サクッと突き刺さったのは、

「ぎゃあぁあーー!?」

思わず叫びました。えっ、今突然、わたくし死ぬとこでしたよ!?すると、

「♪ランさん、メアリーさん、おかえりなさい〜!(^^)」

なんと空から超高速で降ってきた槍には、よく見るとララフェル族がしがみついて、ソプラノのいい声で歌い出したのです。

「ユーキャンさん!?」

「罪喰いかと思ったら、ランさんでした!途中で気付いて軌道を変えましたw間に合って良かった(^^)」

ユーキャンさんはララフェル族の女性冒険者で、かつて山奥のモンク道場に引きこもっていた私を、冒険の世界に再び連れ出してくれたフレンドの竜騎士さんです。

「ユーキャンさん、まったく、死ぬかと思いましたよ!」

「でも、ユーキャンさんがいればクリスタリウムは安心だね。だけど、ちょっと人間と罪喰いを間違えないように気をつけて欲しいかな……^ _^; 」

「照れますね、わはは!それでは(^^)」

ピョーンと大ジャンプして、あっという間に空の彼方に消えてゆくユーキャンさんを見上げながら、

「あの凄まじいまでのスピード、私のパーティに是非とも欲しいところですが……残念です、今必要なのはタンクとヒーラーですからね」

ユーキャンさんの姿が遥か彼方に消えた空を名残惜しそうに眺める私に、

「そうだね……ところでランさん、最初は誰を誘いにいくのかな?そろそろ教えて欲しいんだけど^ _^」

「それは、そうですねぇ……会ってからのお楽しみ、ということで。絶対にメアリーさんの期待を裏切らないクオリティーのパーティーに仕上げてみせます!」

「うん、ランさんがそこまで言うなら任せよう^ _^」

「ありがとうございます。……そして……あの、憎たらしいフーア•キングをギッタンギッタンのぼろぼろに……くふっ、ククククク……!」

「そうだね……えげつない強さのパーティーでリベンジしたいよね……ふふふふふ^ _^」

徹夜明けの私達は、晴れやかな朝の風景にそぐわない妙なテンションで静かに笑い出しました。お互い、敵であるあのフーア族どもが憎たらしすぎて、もはやあの存在自体が面白くなってしまっていたのです。



       ※ ※ ※



私達はマイチョコボを放して街に入ると、朝も早くから活気に満ち溢れたクリスタリウムで暮らす人々の歌声が、そこここから聞こえてきました。

<♪さぁ寄っといで!寄っといで!奥さんこれを見てみなよ!>

<♪まぁほんとう!これは素敵だわ!>

<♪さぁ帰って来たぜ、クリスタリウム!酒だ酒だ!酒持ってこい!>

<♪困ります、お客さま!当店の開店時間は16時からとなってます!>

商品の宣伝をする者、危険な旅から生きて帰って来てはしゃぐ者。そんなたくさんの人々が織りなす歌声のシンフォニーは、夜を徹してロング・チョコボ・ツーリングを強行した私達の疲れ切った心に、とても心地よく感じられました。

「やっぱりここは元気な街ですねぇ」

「ほんとだね。落ち着くよ^ _^ 」

街角のコーヒースタンドで眠気覚ましのエスプレッソ・コーヒーと、クリスタリウム名物・コーヒークッキーを買い込み、それをバリバリといただきながら二人で他愛もない立ち話をしていた、そんな時でした。

「あ!らむちゃーん!w メアリーさんも!w」

突然、雑踏の中から、何やら私たちを見つけ出してくれた様な声が聞こえました。あら、この声は……ああやっぱり、おてさんでしたか。

「おてさん、ただいま戻りました」

「おはようございます^ _^」

「おかえりwイル・メグはどうだった?w」

おてさんは、黒髪と、同じくまぁるい黒い瞳のララフェル族の女性冒険者で、私の古くからのフレンドです。

あの長い長いギムリトの戦いで、冒険者部隊の主力として最前線に留まり続け、そして最後まで生き残ったという伝説的なパーティーの、小さいけどとっても強い暗黒騎士様なのです。

「……はぁ」

「あれれ、どしたの?w」

陶器で出来た、安物の使い捨てコーヒーカップ。

そこから立ち昇る湯気を見ながらため息をつく私の顔を覗き込むおてさんに、今までの経緯を簡単に説明すると、

「え、水の妖精とケンカするメンバーを捕まえに来た!?」

目を思いっきり見開いて、おてさんは慌て始めました。まぁ、意味わかんないですよね。

「どゆこと!?w」

おてさんはびっくりした顔のまま何やら変なポーズで固まりながら問いただして来たので、

「まぁ色々ありまして、それでこれからタンクとヒーラーを拉致りに……いえ、お誘いに行くところなんです」

「拉致するんだ……そうか^ _^;」

なんか寝てないからか頭がぼぅっとするので、うまく説明できないですね。

「……うん、なんかよくわかんないけど心配だから、私も行ければよかったなぁ……でもこのあとみんなで大事な会議があって\(;´∀`)/ごめんね(>人<;)」

申し訳無さそうに私たちを見つめるおてさんに、私たちは心からお礼を言いました。

「いえいえ、おてさん、いつもお忙しいのにわざわざ私に声をかけてくださって、ありがとうございます!」

「すみません^ _^;」

そう、おてさんはこのクリスタリウムを拠点とする闇の戦士たち同士を繋ぐ「顔役」みたいな方なので、いつもお忙しいのです。

「じゃ、二人とも気をつけてね〜w」

そう言って、去っていく私たちを見送りながら、おてさんは小声で歌いました。

「♪一応〜みんなに〜伝えておこう〜w」




     10.箱



ここはクリスタリウムの最奥、ペンダント居住区の、とある部屋の扉です。

その重そうな扉には、赤い盾の中で交差する二振りの青い剣、つまり我がFCワークアウトの紋章がさりげなく飾り付けられていました。

この扉の奥が何かというと、うちのFCがこっちの世界で仕事をするために借りている、事務所と倉庫がワンセットになった様な、いわば仮のFCハウスみたいな部屋なんです。

その部屋にある一番立派な木製の机には、我がFCマスターであるエレゼン族の男性冒険者・かじさんが、一人寂しく難しい顔をして座っていました。

「……おてさんの話によると、なんやランさん達、タンクとヒーラー探しとるらしいな……」

机の上に溜まった書類の束をつまらなそうにパラパラと捲っていたと思ったら……、

パチン!

かじさんがそうやって指を鳴らすと、突然、部屋の隅っこにあった魔法の楽譜が輝き始め、音楽を奏で出しました。

♪パラッパッパパー!

それはビッグ・バンドのホーン隊による、賑やかな前奏でした。その贅沢なリズムに合わせてかじさんが立ち上がると、

「♪ケアルある!ゼニもある!ここはヒーリングパラダイス〜!」

めちゃめちゃカメラ目線のかじさんが、急にイイ声で歌い出しました。

「♪ランさんはワイを頼ってくれるかな〜?」

これも魔法の力か、部屋中に乱雑に散らばっていた色んなミニオン達……犬や猫、ウーパールーパーなんかが起き上がり、かじさんの足元へぎこちなく躍りながらあつまってきます。

「♪エスナある!コネもある!ほれちゅうちゅうたこかいな〜!」

荒ぶるホーン隊、打楽器隊。魔法の楽譜による、まさにビッグバンドの真骨頂の様なその演奏は、やがて最高潮の大盛り上がりを迎え、そして、

「♪ランさんは〜ワイを頼ってくれるかなぁ〜?」

♪キンコンカンコン……キーン……。

……静かに、ゆっくりと鉄琴のみが奏でる優しい旋律で、演奏は終了。

そうして、かじさんが気持ち良さそうに歌い終えると……まるで夢見る乙女のような儚い表情をしながら、最初に座っていた仕事用の事務机に静かに着席。

賑やかに素人ダンスを披露していたミニオン達も、床にパタパタと倒れた、その時でした。

コン、コン。

重々しい部屋の扉に、ノックの音が。

「開いてるでー」

かじさんが薄めのグリーン・ティーが注がれた湯呑みをぐいっと煽ると、私たちが部屋の中に入って来ました。

「ただいまん」

「戻りました^ _^」

「お、ランさん達、イルメグから戻ってきたんか。おかえり〜」

まるで今まで何事も無かったかのようなかじさんに、

「かじさん、いきなりなんですが……実は相談があるんですけど……」

「お?何や何や、ヒーラーおらんいう話かいな?聞いとるで〜、はよ言うてや!仕事ホンマ忙しゅうてヒィヒィ言うとったとこやけど、仕方あらへんな!ここはワイが……!」

「いえ、違います、かじさん、これです!これをください!」

私は、この部屋に入った時から目に入っていたそれを指差しました。

羊皮紙に包まれ、床から天井近くまでうず高く積まれた小箱の山です。一応、FCの所有物ですしね、かじさんの承諾を得ないといけません。

「え……?ヒーラー探してるんとちゃうの?えっと、あと、そんなんで、ええの……?」

「はい、かじさん、これが欲しかったんです!やったー!」

「…… ?あの箱、なんだろう?^ _^;」

私は羊皮紙で包まれた手のひらサイズのそれを一つだけ抜き取ると、頭の上に持ち上げて大喜び。

「……え、もしかしてワイへの用件、これで終いなん?」

「ええ、かじさん、ありがとうございました!バッチリ復讐してきます!見ててくださいね!」

「え、ああ……うん……二人とも、気ぃ付けてな……」

「ヒャッホーゥ!シイィィィ!」

そう叫びながら小躍りして部屋を出ていく私の後ろを、何だか申し訳無さそうにメアリーさんが付いてきて、ゆっくりと扉を閉めてくれました。

「……かじさんごめんね……^ _^;;;」

バタン。

結局、一人寂しく取り残されたかじさんでしたが、

「……さ、チョコボ装具でも、開発しよか。かじぽん印の新作や、こりゃぎょうさん売れるで〜!」

今まで何度も同じような出来事があった為か、かじさんはさっさと気持ちを切り替えて、新商品の試作に闘志を燃やしていました。





     11.釣り



ペンダント居住館から少し歩いた先の競売所の近くで、私が大事そうに手に持っている羊皮紙の包みを興味深そうに見つめながら、

「……で、それは一体なんなのかな?^ _^;」

メアリーさんが尻尾を不思議な形に曲げながら訊いてきました。なるほど、よっぽどさっきの小箱が気になっているようですね。

「これですか?」

「うん。なにが入ってるの?^ _^」

私はニヤリと笑ってみせると、するすると羊皮紙の包装を解きました。

「え、カード……?^ _^;」

私が包みを剥がして現れたもの。それは、何十枚も重ねられた、遊戯に使う魔法のカードでした。

「そうです。これを一枚使って、タンクを釣りたいと思います!」

「うーん……ランさんの言ってる意味が全然わかんないや^ _^;」

「そうですよね。私もどう説明すればいいか……困っちゃいますね。まぁ、物は試しです。やってみましょう」

私は一枚の適当なカードを、なるべく傷つかないように紐で結び、競売所を取り囲んでいる高いレンガ積みの塀の上に登ると、

「そぉれっ!」

競売所の人混みの中に、ぽーんと投げ入れました。

「???^ _^;」

「まぁ、その時を待ちましょう」

不思議そうなメアリーさんにそう言うと、私は紐を持ったままゴロンと横になり、しばしの時が経過しました。

「??????^ _^;」

ずっと混乱しながらも正座してその時を待つメアリーさんを横目に、私はたまに間違って引っ張られる紐を調整しながら、うつらうつらとしていると……、

「 あ あ ーーー!? 」

やたらでっかい声が聞こえて、はっと意識を覚醒させました。とうとうヤツが姿を現したのかもしれません。

「何、今の声?^ _^;」

あまりに大きい声に驚いたメアリーさん。

「シッ!静かに……」

「???^ _^;;;」

すると、また大きな声が聞こえました。

「 これって、KONAMONの激レアカード、<オコノミー>じゃないっすか!?」

その言葉で、私は確信しました。

「ヒット!!」

「え!?^ _^;;;」

己の直感を信じ、紐をグイッと引っ張ると、ズシリとした重みを感じました。確かな手応えです、これは、間違いなくかかった!

「フィッシュ・オン!!」

私はそう宣言すると、全力で一本釣りの紐を引っ張り上げました。しかし、ものすごく抵抗されます!これは大物だ!

「はあぁあーーー!!」

ガシッと両足を塀の出っ張りに引っ掛け、全身の筋肉を使って紐を引っ張ると、人混みの中からまた大きな声が聞こえました。

「これはウチのもんです!誰にも渡すもんかぁーーー!!」

「うそ、ほんとになんか釣れてる!?^ _^;;」

競売所で商品を探し、海を形成していた人々もとうとう異変に気づき、なんだなんだと道を開けてくれたので、ターゲットがついにその姿を現しました。私はそこがチャンスとばかりに残る力を振り絞って腕を振り上げ、

「そりゃあああーーー!」

全ての好条件が揃ったおかげで、私は何とかタンクを高い塀の上に引き上げることが出来たのです。すると、

ぱちぱちぱちぱち。

「はぁ、はぁ!どうもどうも!競売所のみなさま、お騒がせしました!」

まばらに起こった拍手に対して、私が息を切らしながら笑顔で手を振っていると、

「うぅ……なんですか、なんだっていうんですか!?」

先ほどの大声の主、私のフレンドであるララフェル族の女性冒険者、タンクジョブのユキちゃんが泣きそうな顔で見上げてきました。

「えぇ!?ランさんじゃないですかー!?」

深いブルーの瞳と、オレンジがかった金色の髪をまるで南国の甘くて大きな果実、アナナスに見立てる様に頭上で結んだ、ララフェル娘です。

「お久しぶりです、ユキちゃん。さぁ、私のパーティーのタンクになって下さい!」

「突然どういう事ですか!?」

ユキちゃんはカードをガッチリ掴んで離さないものの、私とメアリーさんの顔を交互に見ながら、必死に状況を理解しようとしていました。

「……よくわかんないけど、初めまして、ユキさん?ランさんのパーティーのメアリーです^ _^;」

「あ、どうも〜!ウチ、ユキっていいます!」

めっちゃ愛想の良い笑顔でペコペコとメアリーさんに挨拶するアナナス娘。しかし彼女はいきなり私の方に顔を向けると、今度は必死の形相になり、

「っていうかランさん、一応聞きますけど、このカード、ウチにくれるんですよね!?」

「いえ、あげません」

「えーーー……マジですかぁー……> < 」

ユキちゃんはひどくガッカリしながら肩を落とすと、力が抜けたのか、そのまま紐を引っ張るとするっとカードが私の手元に戻ってきました。

「あぁ……<オコノミー>が……TT」

泣きそうな顔でカードを見つめるユキちゃん。

「ねぇランさん、なんでユキさんはこのよくわかんないカードをこんなに欲しがってるのかな?^ _^;」

さっきからずっと困惑しっぱなしのメアリーさんに私は一言、

「……ユキちゃんは、無類のカード大好き人間なんです」

「???……へー、そうなんだ^ _^;」

「……このKONAMONカードってのはですね、原初世界において数多のカードゲームの中でも、圧倒的に不人気でしてね……」

手のひらの上に載せた一枚のカードを見ながら、私はちょっとほろ苦い表情で説明しました。

「ふむふむ^ _^」

「発売されて早々、その……☆5の排出率が天文学的に低い数字でして……大炎上して販売停止、回収騒ぎにまで追い込まれたという伝説を持つが故に、今では逆に入手困難になってしまったという……曰く付きのカードなんです」

「闇だなぁ……全然売れなかった悲しいカードなんだね^ _^;」

私はメアリーさんに、ええ、と頷くと、

「そしてさっきのカード<オコノミー>は、☆5の付いた究極の激レアなんですよ」

「ああ、なるほど……分かってきた。あれは知る人ぞ知る、ヤバいカードだったんだね……でもどうしてそんなのを、かじさんは持っていたんだろう……?^ _^;」

「ああ、それはですね……んーと、まぁ、後で説明します。まずはユキちゃんを勧誘しないと!」

「そっか、そうだよね。ランさんに任せた^ _^」

私は視線をメアリーさんから、うう……と足元でうずくまっているユキちゃんに向けると、

「ユキちゃん、もしも私にKONAMONカードバトルで勝ったら、この激レアカードをあなたに差しあげましょう」

「マジっすか!?w」

アナナス娘は、途端にがばっと顔を上げて、元気を取り戻しました。いいですね、食いついてきました。

「そのかわり、私が勝ったら私のパーティーのタンクになってもらいますよ!」

ビシィッ!とユキちゃんを指差しながら、私は彼女に決闘を挑みました。

「いいですよ!でもランさん、ウチは強いですよー?」

ユキちゃんは生粋のカード・バトラーです。この言葉だって、きっと煽りでも何でもなく、本当に自信があるんでしょう。彼女はそのままスックと立ち上がり、

「KONAMONカードだって、いつどこで誰と戦っても良いように、常に最強のデッキを更新して組んで持ち歩いてるんです!今までで一度だって負けたことなんかないんですよ?だからウチに負けても泣き言言わないでくださいよー!w」

この短時間で気力を満タンまで回復させ、目をギラつかせますか、ユキちゃん。さすが私が欲しいタンクですね、そうこなくっちゃ!

「分かりました。そこまで言うなら、負けたら更に、私の下僕タンクとしてキリキリ働いて下さいね?じゃあ、そこの階段亭でやりましょうか」

売り言葉に買い言葉。私たちの決闘はどんどんハードルが高くなっていきました。

「オッケーでーす!負けたら下僕タンクでも何でもなってあげますよ!ウチ、強いですからね!w」

「うーん、ランさん本当に大丈夫なのかな……めちゃくちゃ強そうな人なんだけど^ _^;;;」

メアリーさんの心配をよそに、私たちは階段亭の一席を借りてお互いのデッキを布陣し、戦闘開始の合図となるお決まりの掛け声を、力一杯叫びました。

「「KONAMONバトル!レディ・ゴー!!」



つづく
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