しんせいぐみ! 第二幕 著作 Miko=Te
イシュガルド建国。
ニーズヘッグを退けたトールダンはその命と引き換えにイシュガルドを建国に導いた。
主を失った民を、そのあとを受けた四大名家が率いていた。
その中でも、イシュガルド正教を広めんとする一翼があり、学院の建立を計画。
そうして、聖アンダリム神学院と聖アンダリム神女学院の創立が決まった。
一期生として広く公募し、総勢300人程の学生が集まった。
その半数が女性であったため、二種類の学院を設立したのは時代の流れだったのだろう。
今日は聖アンダリム神女学院の入学式。
学院の先生達が居並ぶ中、登壇したのは一期生の中から代表としてサイゴー=カシューが壇上に上がる。
全生徒を一瞥したあと挨拶を始めた。
諸君 私はFFが好きだ
諸君 私はFFが大好きだ
討滅戦が好きだ
IDが好きだ
ギルドオーダーが好きだ
ストーリーが好きだ
FATEが好きだ
プレイヤーイベントが好きだ
アップデートが好きだ
PSNが好きだ
平原で 街道で
塹壕で 草原で
凍土で 砂漠で
海上で 空中で
泥中で 湿原で
このエオルゼアで行われるありとあらゆる戦闘・イベントが大好きだ
戦列をならべたプレイヤーのイベントが轟音と共にスペックの低いPCプレイヤーを吹き飛ばすのが好きだ
谷底に突き落とされたプレイヤーが落下により戦列復帰出来なくなった時など心がおどる
帝国軍の操るロケットミサイルの88mmが光の戦士達を撃破出来ないのが好きだ
悲鳴を上げて燃えさかる魔道アーマーから飛び出してきた敵兵をMETEOでなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった
銃剣先をそろえた光の戦士達が制限解除によりバハムートなどを蹂躙するのが好きだ
恐慌状態の新兵が既に息絶えたティンを何度も何度も刺突している様など感動すら覚える
哀れな抵抗者達が雑多なフォーラムで健気にも立ち上がってきたのを弱体アップデートによりジョブスレごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える
帝国の機甲師団に滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった村々がFATEが放置され、いつのまにやらモンスターだらけになっている様はとてもとても悲しいものだ
アレキサンダーの物量に押し潰されて殲滅されるのが好きだ
零式に追いまわされ金策の為に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ
諸君 私はFFを地獄の様なFFを望んでいる
諸君 私に付き従うFF戦友諸君
君達は一体何を望んでいる?
更なるFFを望むか?
情け容赦のない糞の様なFFを望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様なFFを望むか?
『FF! FF! FF!』
よろしい ならばFFだ
我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとするセフィロトの握り拳だ
だがこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきた我々にただのFFではもはや足りない!!
新生を!!
一心不乱の新生を!!
我らはわずかに150人に満たぬ学生に過ぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総力15万と1人の軍集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけているプレイヤーを叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせログインさせよう
連中にFFの味を思い出させてやる
連中に我々のFFの音を思い出させてやる
天と地のはざまには開発の哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる
150人のFFの戦闘団で
エオルゼアを遊び尽くしてやる!
登壇したサイゴー=カシューはひとしきり演説をしたあと、興奮すらせずに生徒を睥睨する。
生徒達はあっけにとられたままだったが、それを意にも解せずやり切った顔で降壇した。
生徒達からの拍手の中、悠々と退場していくカシューを眼光するどく見つめる目があった。
「やるわね、、、あの人。」
「どうしたの?エリュ。」
「ああいう人を傑物と言うんでしょうね。エイリ。」
「どうかしら?単にはったりなんじゃ?」
「私達のような何も持たない小娘は、時としてカリスマに傾くことが往々にしてあるものよ?」
「そ、そうかなぁ、、、?アレに傾くのはちょっと上級者向けなんじゃ?」
「見聞を広めるのは良いことよ。いろいろなものが見えてくるし、世界の動きもわかるし。」
「あーんまり、そういうの得意じゃないからなぁ。でも、エリュが言うならそうなんでしょ。」
「要注意人物ね。私たちの活動の妨げになる存在よ。」
「神聖組、、、、だっけ?ほんとにやるの?」
「もうすでに、教師陣に話はつけているわ。」
「お手がお早い事。」
「つながりは後から生きてくるもの。事前準備は大事よ?」
「まぁ、やるなら全力で手助けするから、まかせてー。」
「頼むわよ。エイリ。」
「はいはーい。ところで、この後、暇?城下町でおいしいお菓子売ってるところ見つけたんだ。」
「え、どこ?」
「あのねー」
こそこそと話をしているうちに、入学式は終わるのであった。
聖アンダリム神女学院の前に滑り込む者、ひとり。
「寝坊した?!」
急いでいたもので、いつもの普段着を着た後間違えたことに気付いたキルシュは、
すぐに支給されていた制服に着替えたのだが、すでに時間は入学式の始業時間。
そこから少し走ったくらいでは辿り着く距離ではない。
入学式から遅刻などもってのほかだと、寮長にはきつく言われていたが、すでに約束は反故になっている状態だ。
なんとか、入学式に忍び込めないかとあたりに視線をめぐらす。
門が開く気配は無い。門番がいる以上は見つからず通ることは不可能そうだ。
みつかったが最後あっというまに寮長に話が行くに違いない。
「なんとか、、、ならないか、、、、。」
門以外の場所を見ていると、3階の窓が開いていることに気付いた。
普通であればそんな所から忍び込むことができる人間などそういるものでもないが、首からネクタイを取り外しながら、助走をつけるため少し下がり、気合を入れなおすと一目散に壁に向かって奔る。
1階の窓枠に足をかけて跳躍。そのままの勢いで窓の上枠を掴むと体を投げ飛ばすように2階へ。
2階の壁面を蹴り飛ばし少し出っ張りがある換気口に手をかけて躰をひっぱりあげながら、ここでもう一度跳躍。
2階の上部にとりつけてある、旗がぶらさがっている棒にネクタイをひっかけ体を引き寄せてそれにしがみつく。
3階へ懸垂の要領で体を上げると、そこからもう一度跳躍し開いている窓に見事飛び込んだ。
大講堂は4階まで吹き抜けになっており各階にぐるりと整備用のキャットウォークがついている。
そこへ忍び込む事に成功したキルシュは、階下で行われている入学式を横目に走る。女生徒の姿が目立つ。
しかし、今はそれどころではない。幸いにも入学式中に3階の整備用通路を走る生徒がいるとは誰も思わないようで
人目につかない場所まで無事たどり着いたキルシュは何食わぬ顔で終了した入学式から退出していく人込みに紛れ、配属されたクラスへ合流した。
「さて、それじゃ。点呼とるよー。」
1クラス20人弱からなる構成で、8クラス。クラスごとに階級が割り付けられて、キルシュは8クラス目に配属となっていた。
理由は単純で、学科テストが悪かった事だ。8クラス目にはひと癖ふた癖あるものが集められていた。
「先生ー、名前はなんていうんですかー?」
「Miko Teだけど?」
「種族じゃなくてー」
「だからミコテだって。」
「先生、ちゃんとこたえてくださーい。」
「ミコテだって言ってんじゃん?ちゃんと聞いて?!ちいさいッが無いでしょ?!」
「なにが小さいんでしょう?」
「ツだって言ってんじゃん?!」
「あー、そっちですか。アレが小さいのかとー。」
教室中で失笑が漏れる。
「馬鹿な話してるんじゃない。点呼とるぞ。点呼。出席番号順で行くからなー。ちょっと特殊な出自の人とかいるから、まぁ出来る範囲で軽く自己紹介なー。」
「特殊な出自って?」
「まぁ、いろいろあるんよ。あまりきにすんな!」
「言っておいて気にするなとか、、、。」
「ほい、1番!どぞー。」
「はひっ!」
そうして、クラス全員の自己紹介が始まった。
14人と人数は少ないがそれだけ密な連携がとれるのではないかと、ミコテは考える。
「1番!アイナですっ!趣味はなんだろ?旅行かな?専攻は弓を取っています!」
「エリュです。よろしくおねがいします。趣味で、学院を支配する予定です。」
「3番、エイリ。よろしくー。趣味は読書です。最近はイシュガルド正教のすすめとか読んでます!」
「背番号4番、ミントと言います。なんか、さらっとすごいこと言っている人いるんだけど。」
「5番、エリスと呼んでいただければ良いです。なんかミコさんに呼ばれて。」
「6番、ケイです。趣味でクラフターやってます。なにかご用命あればどうぞ。」
「えっと、ルシュです!おねがいします!あ。フィアトとはおさななじみですっ。」
「ぉぅふ、さきゆわれちゃった。あ、ファイトですっ!よろしいくぅぅぅぅぅ!」
「9番、しらゆり。趣味は、、、、、無い。」
「あ、まこやんだよー。しらゆり、趣味無いって、それが趣味なんじゃない?」
「11番、ミスト。休みがちですがお願いします。」
「12番、レモンで。え?名前ですが?趣味は紅茶です。え?レモンティーじゃないのかって?違うから?!」
「れなちゃんですっ!ええと、ええと、れなちゃんです!」
「最後ですね。キルシュです。アラミゴから来ました。」
「おまえだけ言うんかい。まぁ、いいか。特殊な出自だから伏せるかとおもったんだが。」
「変、、、ですか?」
「そんなこたないやーね。それじゃ、そゆことで。じゃ、今日は授業無いから、解散なー。寄り道せずに帰れよー」
「はーい」
「あと、キルシュ。」
「はい」
「3階から入るのはレディとして頂けないな。以後、自重するように。」
ばれていたようだ。
そうして、総勢14人。この学園において落ちこぼれとして配属された少数のクラスが、またたくまに脚光を浴びるとはこの時ほぼ全員が考えていなかった。
ただし、エリュひとりをのぞいては、、、、、。
第二幕 終劇
第三幕 開幕