しんせいぐみ! 第四幕 著作 Miko=Te
「そういえば、うちのクラスって人数少ないよね?なんで?」
「そうねぇ、、、落ちこぼれだからかしら?」
「落ちこぼれ、、、、え?」
「え?」
「落第組だったの?!」
「そうよ。今、上は平均的な強さ。を、求めてるから。なにかに特化してる私たちは扱いにくいのよ。」
「平均的な強さかー。配置むづかしそうね?」
「うーん。どうなのかしら。むしろ簡単なんじゃない?能力に差異が無いってことは、だれを配置しても変わらないってことだし」
「守勢においてはそうかもしれなけど、攻勢においてはその能力の差異を利用していくのが面白いのに。」
「堅実にいきたいんじゃないかしら?」
「面白いってのはあれだけども、状況を打破できない時ってのはどうしても博打になってしまうから、その時に全員同じ能力じゃ、積むよ?」
「そうなの?」
「突破力が高い人がいれば切り崩せる状況が、崩せない状況になってまわり道になることはありそうよね。」
「そこにも対応できる人達であれば、問題ないって発想なんだと思うけど。」
「例えば、キルシュを敵陣ど真ん中に放り込めば、陽動と誘導ができる。そして、そこをついてドカン!と。」
「エイリ、自分で自分の戦術を覆すの好きね。そのドカンで全部白紙じゃない。」
「火力はぱわー!」
「あほの娘みたいにみえるから、それはやめて」
しかし、エイリが言うことも一理あるのだ。
平均的な強さは、何も生み出すことが出来ない可能性すらある。
理想論だけで世界は作られていない。イシュガルド自体がまだ新国なので手っ取り早く戦力の増強をする。という意味では兵士が必要で、勇者は必要ではないということか。
そろそろ組対抗戦がある。
八組あるので二組ずつで計4試合行われる。最初はスキルチェックだ。
木人を双方の組が叩き、全体的な攻撃力を見る。
そのあとは対抗戦だ。一クラス4人ずつに分かれてダンジョンへ潜りそのタイムスコアを見る。特殊なダンジョンになっており、頭を使うようなギミックと適正レベルの敵が配置されている。
大分作りこまれているようで、聞くところによるとDPSチェックも所々であるようで全体的なDPSと局所的なDPSが課題となる。それと、ギミックについては少し考えればわかるものが多数だが、今後は難しくなる可能性もある。ギミック担当も各PTに配置しなければならないだろう。
と、ミコテが教室に入ってきた。
「さて、終わりの会だ。誰か、悪いことしたやつ手をあげろー。」
しーん
「いないなー?今日は、ちょっと時間もらうぞ。」
「「「えー!」」」
「いつもさっさとおわってんだから、いいじゃないか。そろそろ組対抗戦があるんだが、組長を決めておかないといけないんだった。誰かやるやついるかー?」
「あ。はい。」
「はい」
エリュとシラユリが手を挙げた。
「ふたりだなー?ほかにやりたいやつおらん?じゃ、二人な拍手ー。」
「?!」
まさか、対抗馬がいるだなどと考えもしなかったエリュだったが、ここは冷静に行くべきであろう。
「先生ー。二人では指揮系統が混乱してしまいます。」
「相談しろよ。」
「いいえ。ここは重要なところです。長は一人に決めていただきたい。」
「そうかー、じゃ、ほかのもんは解散な。あとは二人で決めとくれ。」
そう言って、ミコテは教室を後にした。
まさかこうなるとは思ってもみなかった。
エリュは帰っていくみんなの流れから外れて、シラユリの元に向かった。
席についたままエリュをじーっと見つめていたので、エリュは話が早いとばかりに近くへ。
となりにはマコもいた。この二人。いつも一緒にいるので、なんとなくは覚えていたのだが、まさか組長になりたいとはついぞ考えもしなかった。
「さ、どこから話をすればいいかしら。」
「話すことなど無い。降りてほしい。」
「とりつくしまもないわね。ところで私はシラユリに話をしているんだけども?」
「組長なんて、別にだれでもいいでしょう?シラユリと楽しくやれれば私はいいんだけど。」
「なら、別にシラユリさんがやらなくてもいいじゃない?」
「理由があるのよ。話せないけども。」
「シラユリさんはどうなのかしら?組長やりたいの?」
「やる」
「ほら」
ほらも何もあったものではないのだが、、、。
これは、やっかいだぞ。と、エリュは腹を決めた。人の考えを変えることの難しさはよくわかっているつもりだ。まずは現状で仕入れれる情報をあつめなければ。
そこに、エイリとキルシュも寄ってくる。
「どうしたの?エリュ。帰らないの?」
「ちょっと待ってて、そんなにかからないと思うから。」
「わかった。ここにいないほうがいいかな?」
「いいんじゃない?」
「なら、ご同席。キルもこっち座って。」
「はい」
3:2になった。数における優位性というのは、相手に与えるプレッシャーにおいてはとても高い。ここは数にものを言わせてでも強硬策に出る必要性があると感じていた。
しかし、どこまで行っても話は平行線で、肝心のシラユリがほとんどしゃべらないので話がすすまないくせに、要所でマコの言葉に同意する以上、相手の意思確認だけ出来ている状態であった。
陽も陰ってきたのでとりあえず今日はお開きとばかりに一つ拍子をうつと。エリュは立ち上がった。
「また、後日にしましょう。でも、対抗戦まであまり時間も無いから、早めに決着はつけるわよ。」
「わかった。」
「さっさと帰りましょう、シラユリ。」
マコだけ怒り心頭といった感じだが、エリュはあまり気にしていなかった。同じ組である事実は変わらないのだから、分け隔てるのも馬鹿らしいし、なにより貴重な戦力をみずから削ぐ事など無い。うまく付き合っていける方法を模索するだけだ。
エイリとキルシュも立ち上がり自分の席に戻り荷物を持って帰路についた。
「エリュ、大人だよねー」
「え、なにが?」
「だって、あそこまで話して分からないとか、もー、私だったらムキーってなってる。」
「そう?あれだけ話すことが出来たっていうのを、今日は前進としとこうかなと、思ってるんだけど。」
「そー言う考え方が、大人だって言ってるの。(´・ω・)(・ω・`)ネー、キルシュ。」
「はい。、、、、斬りましょうか?」
「何言ってるのこの娘は、、、。」
キルシュがトンデモナイ事を言い出したと思ったがエリュは考え直した。アラミゴではそう言う生き方だったのだろう。推し量るしかないがそんな雰囲気を感じてはいた。
「とにかく!今日はさっさと寮に帰って対策を練るわ!」
「そう意気込まなくても何とかなるとは思うけどねー。」
「何か言った?」
「うにゃ。」
エイリに含むところがありそうだったが、とりあえずは寮に帰って対策を立てることとした。
「シラユリぃ、ほんとに長になるつもりなの?なんだかあの人怖いんだけど。」
「うん。当然。」
「まぁ、シラユリがそう言うなら応援はするけどさぁ。ところで、4組の十六夜先生知ってる?チョーイケメンなの。私も四組に行きたかったなぁ。一緒に転属願いださない?
「簡単?」
「うん、調べてみたんだけど結構簡単に入れ替えって出来るみたい。ある程度の偏差値?みたいなのはいるみたいだけど、私たちなら大丈夫だと思う!それに、4組の先生ともお話したしね!」
「考慮する。」
「四組だと楽しいだろうなー♪」
「うん。」
組対抗戦まであと一週間。
「どーしよ。ほんと。あれ。」
エリュはここのところ頭を捻ってばっかりで、そろそろ首がちぎれ飛ぶんじゃないか?と言うくらい頭を捻っていた。当初の目的ではすでにこの組がまとまっていないといけない時期だ。組対抗戦の相手組は4組と決まっており、対策もそろそろ立てていかないといけないのだが、このままだとお膳立てが整ってないまま行くしかない。そして、相手組を調べていると色々とうわさが聞こえてきた。話を総合するとどうも教師が肩入れを行っている組らしく、統率は取れている。その中でも4組にいる二人組がどうやら他とは一線を画する強さらしい。体操着をこよなく愛する二人組と言うことだったが、なぜ体操着なのかは調べがつかなかった。四組の教師の名はツキシタというらしいが、どのようなクラスを形成してきたのか気になるところだ。同組の女生徒が言うにはイケメンらしい。思索に耽っていると隣によいしょと腰を下ろす人影。
「あら、エイリ。お帰り。」
「ただいまー。だいぶ煮詰まってる?」
「そう、、、ね。ひさしぶりに。」
「そういう時は、気分転換が必要よ。ちょっと付き合って。」
「?」
半ば強引にエイリに引っ張られて放課後の校舎を出て、宝杖通りへ。
宝杖通りに着いたエイリ達は、少し路地へ入り小さな喫茶店の前に来た。
路地裏の小さな喫茶店というのは中々風情があってよい。なにより一見さんお断りな感じはサービス業としてどうかとおもうのだが、足しげく通う常連でなりたっているのだろう。こざっぱりとした店の構えがなんだか上級な感じだ。
「ここ。マフィンがおいしいのよねー。」
「まさか、マフィン食べに来たわけじゃないでしょう?」
「まぁまぁ。先にキルシュ達も来てるから入って入って。」
達?
エリュは少しきになったがとりあえず糖分はここ最近の脳みそには必要だと判断し、一息つくつもりでカランコロンと鳴る扉を開けながら喫茶店に入った。
店内に入ると、イシュガルドでは珍しくない木を主体とした温かみのある店内で、奥のほうで火が揺れる暖炉の明かりと明かりが暗めの店内が、密会を思わせるような雰囲気を醸し出している。暖炉の近くに席を取っているらしく暗がりにもキルシュの姿が見えた。となりにもうひとり見慣れない人物が二名ほどいるのに気付いた時には、声があがっていた。
「あっ、あなた達、、、。」
「エリュさんですね。こんにちわ。」
「こんにちわ。」
キルシュと一緒に席に座っていた二人組は、エリスとシラユリであった。
エリュはなんだか狐につままれたような気持ちで席に座ると、エイリへ促した。
「ええと、説明はしてもらえるのかしら?」
「まぁ、そのためだから。実は、シラユリはエリスと幼馴染で、エリスとはこの間からキルシュがライバル(お友達)で、私はキルシュのお友達で、ぐるっとまわって仕組まれてた、という訳。」
「それ、最初に言ってくれれば、私の首がねじ切れることなんてなかったんだけど?」
「まだねじ切れてないから大丈夫。敵をだますにはまず、味方から。兵法の鉄則よ?」
エイリは胸を張りながら、片目をつむって見せた。
エリュは一つため息をつきながら、肩をすくめた。
「で?この謀り事は何を意味するのかしら?」
「4組が秘密裏に動いているらしいの。詳しいところはシラユリから。」
「ええ、組長として動いた私に直接ではないんですが、アプローチがありました。正確には私の友達のマコやんにですが。」
「ふむ。それで?」
「4組への移譲の条件と、8組の初戦での敗退を取引に出して来たようです。わざと負けてくれないか?と言う話でした。」
話の流れとしては、4組の一人からマコやんに向けて、取引が持ち掛けられたらしい。4組のことを知っていたマコやんはこの話をそのままシラユリに共有した。ちょうどよく組長として立候補したシラユリ。そして、その対抗馬として挙がってきたエリュ。組長が二人だろうが一人だろうが、全体の指揮自体がぐずぐずになれば、勝てるものも勝てないのは素人でもわかる。エイリはそういう事態に備えるべく、事前に話をまわしつながりが薄いところから立候補をだしたのである。何も問題なければシラユリへ話を回して立候補を取り下げてもらう予定であった。
「マコやんもちょっとイケメンって言葉に当てられただけですから、いつでもこちら側に引き戻すことはできると思っています。」
「なるほど。その辺は問題なさそうね。わかった。じゃ、とりあえずこのままのスタンスでいくわよ。私は今回の話を知らなかったと言う方向で。そういう手で来るのならこちらにも考えがあるわ。」
「あ、悪い顔になってる。」
「はい、なってますね。」
「私を謀ろうとした報い。受けてもらうわよ、、、、ふふふ。」
エリュを見ながらシラユリは、この人だけは敵に回さないでおこう。と、内心思うのであった。
4組
教師 ゲッカを筆頭とする初戦の相手だ。全体的な指揮を教師がとることにより、全体の統率を卒なく取れる体制が特徴で、その中でも二名の超フォワードが全体を引っ張る布陣により構成されると言う。対抗戦は最大4人PTの計3組以上で12人が登録できる最大人数だ。しかし、その二人だけツーマンセルで動くらしく、奇手となってくることが予測できた。この二人がどうやら体操着組だということは容易に知れた。
「所詮の相手としてはちょうどよさそう」
と考えるエリュ。スタープレイヤーがいるチームというのは、スタープレイヤーに頼りがちで全体のレベルは平均化されると低くなる傾向にある。良くも悪くも頼ってしまうのだ。特化しすぎるとこうなる典型的な例だ。しかし、そのスタープレイヤーの威力次第では、それすら覆させられる可能性があるのは確か。油断ならない相手ではあるのだが。
懸念点を払拭できたエリュは、シラユリに関してはエイリに任せて自身は別のことに着手を始めた。組編成である。攻撃陣に不満はない。ただし、防御力に欠ける。エリュは総合力として自身のクラスにそのような判断をくだした。
防御力の要としてはクラフターだけかと思っていたケイが白魔導士として卓越した技術も持っていたのでメインとしたのだがそこで詰まってしまった。そのサポートに入れる人間がいないのだ。
「どうしたものかしら?」
最悪、自身がそこに入ることも考えたが、全体で3PTが最低でもいる以上は、回復役を3人はなんとか用立てないといけない。
いまいちどクラスメイトを数えてみる。
「いた。」
回復候補で上がっている人間を見つけたエリュはとりあえずコンタクトを取りに教室を後にした。
その人物は、調理教室にいた。
「フィアその油揚げとって。」
「それはわたしのおいなりさんだ。」
「何言ってるの、ほらはやく。」
「ちぇー」
油揚げを貰いながらその油揚げに米を詰めている人物。
エリュは教室に入るなり目が点になった。いまから何のパーティを始めるのか?という量の食べ物がそこにはおかれていた。
それを横目に見ながらエリュは二人に近づいていく。
「あ。エリュだ。あっちいけー。」
「いきなりなぜ、、、。」
「ルシュとの蜜月を邪魔するものは何人たりとも私の前をよこぎらせねぇ!」
「そ、、、、そうなの?」
「でも、ルシュに別に用事があるのであれば、どうぞ」
「あ。はい。ありがとう。」
「ちょっと、まってくださいね。これを仕上げれば終わりですから。」
「じゃ。ここにでも座らせてもらおうかしら。」
「かんちょー!」
「ぅわぁ?!」
椅子に座ろうとしたところへ、エリュの後ろに滑り込んだフィアトが両手を合わせて人差し指を立て椅子の上に置いた。
慌ててそれを避けるために変な風に体を捻ったせいか椅子に座れずに転げ落ちる。
「あ、、、あっぶな」
「ちぇー」
「刺さったらどうするのよ?!」
満面の笑みでフィアトがこちらを見下ろしながらニヤリとする。
「うぷぷ(*´艸`*)」
エリュは溜め息を着きながら椅子の位置を戻して座った。
フィアトとは入学後少し経ってから知り合った。同じクラスのうちでもよく顔を合わせるうちの一人だ。友達がいるのは知っていたが、あまり顔をあわせることがなかったせいか、まさか、こんな身近に該当者がいるとは思っていなかったエリュは灯台下暗しとはこの事か。と、思いながら待つのであった。
「はい、できました!東方料理フルコースです!」
「わー、ぱちぱちぱち」
「これは、なんというか凄いわね。」
「試しに作ってみたので、ええと、、、、えりゅさん?も一緒にどうぞ!」
「ああ、知ってたのね。」
「ええ、フィアから聞いていました。拳がおしりにはいるんですよね?」
「ふぃああぁぁぁぁぁっぁぁ!?」
「うひゃーーー(笑」
エリュは動転しながら、手元にあったクナイをフィアトへ投擲する。
身代わりの術を使いクマちゃんのぬいぐるみと切り替わったフィアトは、少し外れた場所に転移しそのまま笑いながら教室の外へ消えた。
「ったく。いったい何を吹き込んでるのよ、、、。」
「まぁ、そういうキャラですし、いいんじゃないですか?」
「どんなキャラ?!」
「ところで、冷めちゃう前に食べましょう。」
「わぁい!ルシュの手作り、ご・は・ん!」
いつのまにやら戻ってきていたフィアトがナイフとフォークを両手に持ち、すごい勢いで食べ始めた。
エリュはそれをみながら自分もご相伴にあずかろうと、テーブルに並ぶ料理へ手を付けるのであった。
三人は両手を合わせて礼をする。
「ごちそうさまでした。」
「お粗末様でした。」
「合唱、らららー。」
ルシュの手作り料理をおなかに収めて、一息ついたところだ。料理人顔負けの絶品の数々にひとしきり舌鼓をうったエリュは本題に入ることにした。
「おいしい手料理をありがとう。ところで、ルシュは回復系の専攻なのよね?」
「はい。白魔法を専攻しています。」
「うんうん。ルシュにはぴったりなカラーですよね。白いおぱんつ。」
「、、、この娘は何を言っているのかしら。」
「白が必要ですか?」
「ええ、、、まぁ?」
ルシュは少し頬を赤らめながら。
「、、、、がんばります。」
「え、なに?いま、なにかすごい勘違いしてない?!」
「ルシュのおぱんつをいただくのは私だぁぁぁ!」
「フィアもなに言ってんのっぉぉぉぉお?!」
と言うことで、誤解を解いた後ルシュにはケイのサポート回復役を頼むことになった。
第四幕 終劇