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ギャザラー職人の夜は遅い

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エオルゼア、西ザナラーン
ウルダハから徒歩数分ほど歩いたところに、採掘場がある。
職人の仕事場である。

素材集めのエキスパート、ギャザラー
彼らの仕事を知るものは少ない。
我々はそんなギャザラーの一日を追った。


ギャザラー職人の夜は遅い。
皆が寝静まり始めたころに職人は動き出す。

Q.どうしてこんな遅い時間に?

「いやぁ、リアルが忙しくて夜しか入れないというのが一番の理由ですが、このくらい遅い時間の方が静かで集中できるんですよ。なんていうのかな、脳死状態に入りやすいっていうか」

そう言って職人は夜道を歩き、仕事場へと向かって行った。
冒険の大地に降り立つというのに、職人には気負った様子も見られず、正に決まりきった日課をこなすプロの背中がそこにはあった。

Q.辛くは無いんですか?

「まぁ最初は嫌でしたよ?夜遅いからFCやフレンドの人ともほとんど会えないし。でも掘ってるとそういうの忘れちゃうんですよね。これは本当に脳死状態なのかな、ハハハ」

そう言って苦笑いを浮かべながらもツルハシを降り続けるのを職人は忘れない。
その腕さばきには一切の迷いは見られない。

Q.調子の方はどうですか?

「まぁまぁじゃないですかね。最近は目標もありますので頑張らないと」

Q.目標ですか?

「えぇ、いつか家を建てないな、と。そのためにはこうやってお金をためないと」

職人は延々とツルハシを振り下ろす。
時たまぶつくさと「高すぎだろ。これが…こんなことがお前のやらせたかった事なのかヨシダ」とプロにしか分からない暗号なのか、我々には意味の分からない呪文めいたものを唱えながらもその手を止めることはない。
その熱い視線の先では、まるで人の頭のような岩石が次々とツルハシを叩きつけられ、綺麗に粉砕されていく。

深夜2時。
職人の近くで不気味な音がコダマしはじめる。

Q.何の音ですかね?

「あぁ、これは…。奴が来たんですよ。BOTが」

Q.BOT?

「はい、地中の中を移動して採掘をしている機械ですね。時代は進んだモンで機械化の流れってやつは止められないんですわ。人の力を使うよりは機械の方が楽だし効率がいいってね。でもね、向こうは単純な作業しか出来ないから。俺達みたいにスキル回しして採掘なんてのは出来ないんだよね」

職人はそういって誇らしげに笑う。
しかしその笑みにも、どこか寂しげを感じさせられたのは我々の気のせいなのだろうか。

Q.スキル回しとは?

「基本は獲得率アップを使用しますね。一回の採掘が成功するとGPが5は回復するので、回復時間との兼ね合いで、この辺りで使っておこうかな、なんて考えたり。それと獲得アイテムを増やしたりHQ品を採ったりですかね。まぁGPがすぐになくなるんで、あんまり出来ないんですけど(笑)」

深夜3時半
エオルゼアに雨が降り始める。

「あ、これはまずい。雨です。場所を変えましょう」

そう言うと職人は慌ててテレポを唱え、グリダニアへと移動する。

Q.なぜ移動を?

「雨が降り始めると岩石が脆くなりますからね。それに濁水なんて雨で流れちゃいますから堪ったもんじゃありませんよ。まぁ天気には勝てませんよ。ウルダハは雨が止むまでお預けですね」

そういって肩をすくめる職人
しかしその瞳には、まだ熱い闘志のようなものが見える。

Q.では今日の仕事はこれで?

「いえ、グリダニアに来たのは別の素材を集めるためですよ」

言うや否や、職人の洋服が一新される。
その姿はどこからどう見てもプロの園芸師の姿である。

Q.まだ集めるのですか?

「まぁギャザラーですからね」

当たり前のことなのか、その言葉に嘘偽りは見出せない。
我々は継続して職人の後を追うことを決めた。

「採集をする前にアイテムを預けて来ましょうかね。ついでにアイテムボードに採った品を出品してきます。ちょっと待っててください」

職人はそういうと馴染みのリテイナーを呼び出し話し始める。
数分の会話の後、職人は再び我々のところへと戻ってきた。

Q.儲かりそうですか?

「うーん、どうですかね。売れるアイテムは殆ど決まってますからね。今回、ボクが採掘したのはダメでした。全部1ギル。いや、1ギルでも売れ残ってたから無理かもな?」

Q.なぜそんなものを集めたのですか?

「簡単に言ってしまえば自己鍛錬のためですね。常に前の自分よりも強く、鋭く、淀みなくツルハシや木こりオノを振るための修行ですから」

我々に説明をしている職人の顔に生気はない。
ただただ淡々と説明をしていた。
そもそも先ほどは家を建てるためのお金集めが目標だといっていたのに、全く理にかなっていない採集をしている。
そのことに疑問を感じないのだろうか。
もしやこれが一点の感情のムラすら起こりえぬ脳死状態というやつなのだろうか。
我々のなかにある疑念が生まれ始めた。

「それじゃあ行きましょうかね」

職人は歩き出す。
そこで我々はあることに気付いた。
はじめ、我々は彼の背中に気負いを感じられないといったがその表現は間違いであった
彼は何も感じていないのだ。
日々の単純作業に脳は考える事を止め、体はその単調動作を繰り返すだけの道具と成り果てる。
そうそれは正に脳死状態
生きる屍である。

我々はその事実に恐怖し立ち尽くした。
これがギャザラーなのか!?
我々が立ち止まった事に気付いていないのか、職人は足を止めない。
いつしか彼の背中が見えなくなり、どこからともなく木を切る音が響き出す。
果たして彼は我々がいなくなった事に気付いているだろうか。

ギャザラー職人
彼の夜はまた遅いであろう。
Comments (2)

Taka Dalet

Carbuncle [Elemental]

王様の文章作成能力の高さには本当に頭が下がるのですが、
この職人さんの今後がとても不安であります・・・。
まさか王様本人のことじゃないですよね・・・??

Ousama System

Carbuncle [Elemental]

>タカさん
いやぁ、久しぶりにINできたから思わず書きなぐってしまいましたよ。
しかし描き終わった後に自分で読み返すのも面倒なくらい書いちゃダメですね…。反省

この職人ですが、その後の行方を知るものはいません。
正体も不明です。
でも、ほら。
あなたが眠ろうと目を閉じるとどこからともなく聞こえてくるでしょ?
カコーン、カコーンと木を切る音が…ヒヒヒヒヒ。(なぜホラーになったんだ!?
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