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8話 いつでも自分に負けている人は何もつかめない

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初めに
読んでいただく前の注意書きとして。この物語は一プレイヤーの脳内で練られているため、実際のFF14と異なる部分が多々あると思います。そのため解釈違いが発生する可能性がありますがご了承ください。
参考文献として本作品では以下の媒体を参考文献として用いております。
Encyclopaedia Eorzea ~The World of FINAL FANTASY XIV~
FF14 Online Wiki https://ff14wiki.info/
エオルゼア冒険譚 https://ff14.tabibun.net/
ファイナルファンタジー用語辞典 Wiki https://wikiwiki.jp/ffdic/
そして最後に、本作品は株式会社スクウェア・エニックス様から何かしらの警告を受けた場合は削除する可能性もあります。
以上のことを了承のうえでどうぞご覧ください。
またコメント、いいねは作者のモチベーションになるのでいただければ幸いです!

目次のページはこちら↓
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/25271919/blog/5255486/
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「初めまして。メ・オスロ・ヌンだ。いつも娘が世話になっている」
メ・オスロはリディに手を差し出し握手を求める。
「ど、どうも。リディ・ストーンです」
緊張しながらぎこちなく握手を返す。
 メ・ジスカさんのお父さんだからてっきり彼女のように快活でアクティブな人なのかな?と思ったが今目の前にいる男の印象は穏やかで謙虚な人柄でとても紳士的な人だと思った。
 そして、握手をして手に伝わるメ・オスロの手の感触。初老らしく皺だらけの手と固くなった皮膚の感触だけでなく、彼の掌や指にいくつものタコがあったのが分かった。
「どうかしたか?」
突然動かなくなったリディにメ・オスロは首を傾げる。
「あ、すみません。こういうの慣れていなくって……」
「そうか……では私は娘に用があるからまた」
軽い挨拶を終え、メ・オスロは娘のメ・ジスカがいるシルバーバザー南側に留められたチョコボキャリッジの方へと杖を突きながらゆっくりと歩き始めた。
 「おい、リディ。あのオッサンだれだ?」
「あー、あの人はメ・ジスカさんのお父さんだって」
「メ・ジスカの父親?そういえばあいつの出身はウルダハだったな……まあ父親が来てもおかしくは……いや、何でこんなところにまで?」
それもそのはずヴェルモンは高い城壁に囲まれた安全な街中で会えばいいものの、なぜわざわざ外のシルバーバザーにまでやってきたのかを疑問に思った。
 「メ・ジスカはウルダハ……いや、エオルゼア最大の総合建設会社の会長の娘よ」
「社長令嬢!?いや、会長令嬢か」
「総合建設会社?」
「ツインハンマーコンストラクション。リディには聞き馴染みないと思うけどヴェルモンは知ってるわよね」
 ツインハンマーコンストラクション。エオルゼア十二神に名を連ねる建築と工芸を司る神。ビエルゴの象徴たる双頭の鉄槌の名を借りたエオルゼア一の総合建設業者。この会社の事業は多岐に渡り第七霊災で傷ついたエオルゼアの各国建物の修復や家を家を失った人々への住宅支援といった復興時事業を手掛けながらラノシアの冒険者居住区ミストヴィレッジの建設にコスタデルソルの再開発事業を行うほどの企業規模を持ちながら、近年では砂蠍衆を中心としたウルダハの富裕層たちからの依頼で西ザナラーンに高級住宅街の開発事業を行っている。
 「しっかし、何でそんな金持ちの娘が冒険者なんてやってるんだ?」
ヴェルモンが首を傾げながらつぶやいた後にバチンッ!という音が鳴り響いた。
 「もう、冒険者ごっこは終わりだ。ジスカ」
音がした方向へ振り向いた三人だけでは無かったシルバーバザーに居た冒険者や商人、積み荷の仕分け担当に警備の銅刃団に不滅隊の面々も注目していた。そして音のした場所に居たのはオスロとジスカの二人。そしてジスカの頬は赤く手の跡がついていた。
 あの音はメ・ジスカがメ・オスロに頬をぶたれたことで鳴った音だった。
「そうやって、暴力で訴えるのですね。お父様」
メ・ジスカは静かに淡々と感情を高ぶらせることは無かった。だが彼女のシルバーの瞳の奥には揺るぎない信念と譲ることのできない思いがあり、父親(メ・オスロ)に対して臆する様子は一切無かった。
「今晩は屋敷へ帰るぞジスカ。構わないな!チャイライ!!」
 先ほどまでの穏やかで紳士的な態度から一転。怒鳴り声に近い声でチャイライを呼びつける。
 急に呼びつけられたチャイライはリディとヴェルモンに顔を合わせてからメ・オスロに返事をする。
「アタシは構わないわ。ローズがどうだか?」
彼女たちがウルダハへやってきたのはあくまでゲゲルジュの依頼で雇われたからである。彼女自身が問題無くともリーダーであるローズの許可なしに離脱なんてことはあってはならない。
 チャイライの言葉にローズは腕を組む。
 あの女、最終判断はあくまで私が下した。自分の手は汚したくない…と。
「……ええ、構いませんよ。メ・オスロ様」
「感謝する……愚かな娘を屋敷に連れて行け」
「「御意」」
メ・オスロの護衛の傭兵二人のハイランダーの男はメ・ジスカの腕を抱えて持ち上げる。
 身長60イルム(約150cm)の彼女は身長72イルム(約180㎝)の巨漢二人に対し暴れて腕を振りほどこうとしたが体格差には勝てない。
「ちょっと!お父様!!」
メ・ジスカはついに怒りをあらわにして顔を赤くし声を荒げて逃げ出そうとするが。
 「リポーズ」
チャイライはメ・ジスカに睡眠魔法リポーズをかける。リポーズを食らった彼女は糸の切れたパペットのように意識を失い動かなくなった。
「チャイライさん!!」
彼女の行動にリディはなぜそんなことをしたのかと思い怒りの感情を露わにした。
「これは家族の問題よ。リディ」
まるで機械的に処理するような態度を見せたチャイライ。静かに杖を背中に納める。
 静かになったメ・ジスカは父であるメ・オスロに仕える傭兵たちにやさしく抱きかかえられ屋敷へと連れていかれた。
 一方残されたリディたちとゲゲルジュに雇われた冒険者たちはウルダハの西側の地区、ナル大門を通ってすぐのところにある宿屋『砂時計亭』へと案内され各々部屋に荷物や装備を置きそれぞれ自由な時間を過ごしていた。
 そしてリディ、チャイライ、ヴェルモンの三人は宿屋砂時計亭に併設されたラウンジ『クイックサンド』で休んでいた。
 「まあ、帰って来るわよ。リムサロミンサへ帰るのにはまだ時間はあるから気長に待ちましょう」
 メ・ジスカが屋敷に帰って……いや無理やり連れられてからリディの心はざわついていた。もしかしたら彼女がパーティーに戻ってこないんじゃないかという不安に襲われていた。
「気長に待とうぜ。リディ」
ヴェルモンとチャイライはメ・ジスカが帰って来るかどうかに対してクイックサンドの室温のように冷たくあしらった感じだ。
 正直二人の態度にザナラーンの暑さのようにリディは荒い息で不満と怒りを露わにしてテーブルをバンッ!と叩いた。普段の穏やかな声から一変して畳みかけるような口調で声を上げる。
「なんで二人はそんな態度をできるんだ!」
怒ることに慣れていないリディ。まるで駄々をこねる子供のように声を荒げ、物に当たる。そんな彼の様子に二人は目を丸くした。
「……ッ」
リディは拳を握り締めくやしさと無力さを自覚して席を立つとザル回廊へと向かう出入り口へと走り出した。
 床を踏みつけるように歩くリディとすれ違ったクイックサンドにいる冒険者たちはチャイライたちにちらりと視線を送る。
 その視線に気まずくなったヴェルモンはチャイライの耳元でささやいた。
 「どうする?チャイライ。追いかけるか?」
「いいわよ。リディには少し考える時間を与えた方がいいわ」
リディを追いかけるべきか迷うヴェルモンはチャイライに尋ねるが、彼女は追いかける必要はないと言い放ちミントラッシーを喉に流し込んだ。
 砂時計亭を飛び出したリディはウルダハの東側。ザル回廊に出ていた。そしてすぐに壁にもたれかかりしゃがみ込んだ。
 はあ…なんであんなこと言って飛び出しちゃったんだ…。何やってるんだろ。
 自分が意固地でこだわりが強いことはわかってはいた。だけど今までの経験だと無駄な争いを避けるために自分が折れていた。なのに今回は怒りを露わにして飛び出してしまった自分に驚いてもいる。
「後で謝らないと」
俯きながら小さくつぶやいた後ふと周囲を見渡す。
 この場所の雰囲気……。
 先ほどまでいたナル回廊をぐるっと囲う城壁に添うように作られたエメラルドアベニューは商人や市民が止めどなく行きかい、怪しさ満点の情報屋から情報を買う冒険者たちでいっぱいだったのだが、彼が今いる場所は陽の光がわずかに差し込む薄暗い場所で人通りもたまにしか通らない。
 なんだか嫌な予感がする。
 彼は危機を察知し急いで立ち上がりその場を去ろうとするが、少しだけ行動に移す時間が遅かった。
 「おい、兄ちゃん。アンタ冒険者だろ?」
立ち上がったリディの前に立つのは彼より頭一つ分背の高いこんがりと日焼けをしたハイランダーの男がくぐもった声で尋ねる。
「まあ、そうですけど……」
だからどうした?と言いたいところだが、リディの周りを目の前の男のツレであろう者たちが二人近寄ってきた。
 後から寄ってきた二人もリディに声を掛けた男のようにハイランダーであった……が。
 リディを囲う三人の男たち、彼らは労働者で熱いウルダハの環境で仕事をするため上裸である。こんがり焼けた肌の色からきっと肉体労働者だと思うが、彼らの体つきは肉体労働者の筋骨隆々とした体つきではなく、筋肉質とも言えない肋骨が浮き出るほど痩せているのである。
 「なんだよ、ジロジロ見てよ」
三人をじっと見つめてしまっていたのか後から来た男の一人がリディを気持ち悪そうな目で見る。
「別に……それで?何か用ですか」
「お前さん冒険者だろ?いい装備探してねえか?」
どうやら押し売りのようである。
「いや大丈夫です。装備は大切な仲間が作ってくれますから」
今すぐにこの場を立ち去りたいのでリディはとっさに言葉を見繕った。
「ここはウルダハだぞ、エオルゼア中から商品が来るんだ……いいから見てけよ」
としつこくリディに絡み腕を掴む。
「大丈夫です!」
ハイランダーの男の手を振り払い距離を取る。
「おい、兄ちゃん!こっちが下手(したて)に出てりゃ!」
ハイランダーの男は耳まで赤く染めて、興奮したグゥーブーのようになった。
「だったら金目の物でもおいてきやがれ!」
リディの服の胸倉を掴み拳を振り上げたとたんに怒声が響き渡った。その声の主はリディにとって聞き覚えのあるもので今まで会話している時は落ち着いて安定した声色だった。
 「やめろ!」
「……ジルさん」
ジルが現れたことでハイランダーの男は拳を一度下げる。暴力沙汰で目撃者がいたら厄介だからである。
「こんなところで道草を食っていて大丈夫なのか。こんな姿雇い主にでも見つかったら君たちはどうなる?」
と冷静に理論武装で攻めかかるジル。彼の言葉にハイランダーの男たちは渋々引き下がろうとしたときだった。
「おい!お前たち!!」
金切り声が狭い路地に響いた。
「くッ」
ハイランダーの男の一人が声を漏らした。
「お前たち!何をやってる!!」
先ほどの興奮したハイランダーの男以上に興奮し、憤慨しているのはたぶん彼らの雇い主であろうデユーンフォーク族の男の商人。
「働かないクズには罰だ!」
そういうと彼の背後から武装した彼の護衛かそれとも私兵なのかわからないが、ハイランダーの男たちに近づくと片手剣の柄で頭部を殴りつける。
 リディは今目の前で起きている光景に対し拳を握り締めた。こんなことが許されていいのかと。彼らはリディに無理やり迫り暴力をふるおうとしてきたがここまでの事をされるほどの理由は無い。
 彼らを助けるべきか、唇をかみしめてから口を開いた。
「道に迷っていたところを助けてくれたんです」
「なに?」
突如口を開いたリディにデューンフォークの商人は懐疑的な態度を示す。なぜこの男はこの安い賃金で雇った男たちをかばおうとするのか。そう彼はハイランダーの男たちがリディに押し売りする光景を見ていない。彼にとっては暴力を受けているハイランダーの男たちをかばうお人よし野郎にしか見えないのである。
 そしてジルは突如口を開いたリディに少し戸惑いながらもデューンフォークの商人に近づき、小銭の入った小さな麻袋を渡した。
「ああ、俺も彼らが道案内するのをみていたよ。これは礼の代金だ。仕事終わりの彼らにうまい酒でも買ってやってくれ」
 デューンフォークの商人は小銭を受け取りながらも不服そうな顔をしていた。彼は彼らがリディに暴力を振ろうとした瞬間を目撃をしてはいない。
 それにここはエオルゼア一の市場であり商い所ウルダハ。金さえ受け取れば身を引くしかない。
「ふぅむ。わかった。ならば急いで持ち場に戻れ」
 デューンフォークの商人は眉を寄せて、険しい表情をしながら急いで仕事に戻るようにハイランダーの男たちを顎で使った。
「助かった」
持ち場に戻ろうとしたハイランダーの男がすれ違いざまに小さな声でリディに感謝の言葉を述べる。
「……」
元々は自分がトラブルの原因を作った上に、こういう時どんな言葉をかければよいかわからないリディは無言で頭を下げることしかできなかった。
 彼らが仕事に戻り角を曲がり姿が見えなくなったところでジルが近づき手を伸ばす。
「散々だったな」
「ありがとう……ございます。ジルさん」
ジルの手を取り立ち上がる。
 「パールレーン(この通り)にいるという事は買い物か?」
ジルの問いに対してリディは少しどう返事をすべきか迷った。ヴェルモンとチャイライと揉めて飛び出したなんて言えない。
 リディが何か躊躇するように沈黙をしたことに気付いたジルはあえて何も言わずに。
「こっちだ。エオルゼア一の市場が待っているぞ」
と先にパールレーンを抜けサファイアアベニュー国際市場へと向かった。
 リディは固まった足を動かし彼を追いかける。そしてその先に待っていた光景は。
「すごい……」
彼の目に入ってきたのは活気と熱量の溢れる商人たちの戦場。良い品をどれだけ安く、多く仕入れることができるかを試そうとする買い手。良い品をどれだけ高く売ることができるか交渉する売り手。刃を交えず言葉だけで戦う戦場である。
 商人たちだけじゃない。冒険者もウルダハの外に住むモンスターを討伐して得た素材や鉱物資源が豊かなザナラーンの土地から得た鉱石をリテイナーを通じてマーケットボードにいくらで出品しようかなどと悩んでいる姿をも見られる。
「あれって」
リディは通りに飛び出し群衆の中を割って入り、活気あふれる商人や冒険者をかき分けてまで見たかったものはシャーレアン魔法大学から定期的に発表される論文集であった。
 棚の下の方に置かれた論文集を取るためにしゃがみ込み、そのままパラパラとページをめくる。
 「お!お兄さん珍しい物に手を取ったねえ~」
するとその店の店主であるミッドランダ―の男が猫なで声で掛けてきた。
「この本どうやって入手したんですか?」
店主に顔を向けて尋ねる。すると店主は眉をピクリと動かし。
「もしかして?お兄さんグリーナーかい?だったら今度シャーレアンに帰ったら仕入れてほしい物があってねえ」
「いや、僕はグリーナーじゃなくて……まあシャーレアンから来ましたけど」
立ち上がり首を振ったリディに対し、店主は腕を組み。露骨に残念そうな態度を見せる。
「そうか」
と小さくつぶやいた。が切り返さなければ客商売はできない。
「まあこの本はグリーナーから仕入れたんだ」
「グリーナーから……でしたら僕と同じミッドランダ―の女性でアイシャという人を知っていますか」
 グリーナーからシャーレアンの物品を仕入れている店主ならもしかしたら姉のことを知っているかもしれない。わずかでも姉の情報が欲しかった。
「アイシャ……か」
店主は拳を額に当て、考えるがすぐに答えが返ってきた。
「悪いな兄さん。俺が頼んでいるグリーナーにはミッドランダ―の女は一人もいないんだ」
リディはその言葉を聞いてまた情報を得ることができなかったと肩を落とした。
 「ありがとうございます」
「その人見つかるといいな」
「はい……」
論文集を棚に戻し通りに戻ろうとするとジルが肩を叩いた。彼の手には冷たいフルーツジュースがあり。
「そこに座って飲もうか」
と開いた手で石で彫られたベンチを指さしそこに向かった。
 「なかなか見つからないな」
「はい。エオルゼアに来ていろんな人に姉のことを尋ねても誰も知らないんです。まるで記憶から抜け落ちてるような感じで……」
「記憶から抜け落ちている……まるで光の戦士だな」
「光の戦士……ヴェルモンから聞かれました。声も顔も姿も思い出せないエオルゼアを救った英雄。でも悲しくないですか……エオルゼアを救うために傷ついて戦ったのに、誰の記憶にも残らないなんで」
「どうしたんだリディ。らしくないぞ」
「らしくない…ですか?」
「ああ、君は一人で買い物をするような人物であるとは思えないし、いつでも前向きな姿勢だったじゃないか」
 ジルの言葉にリディはわずかにほほ笑む。
「そうですね、たしかに今の僕はいつもと違うと思います」
「何かあったのか」
 二人の間にしばしの沈黙が流れ、フルーツジュースに入った氷がパキっと音を立てる。
「仲間と喧嘩してしまって」
「メ・ジスカのことでか」
「……はい」
「そうか……」
ジルは静かにうなずいた後にフルーツジュースを飲み干すと冒険者の先輩としてアドバイスをしてくれた。
 「東方には喧嘩するほど仲がいいという言葉がある」
突然ことわざを解説し始めようとするジルにリディは首を傾げる。
「意見が衝突しても親密な関係であるという意味なんだが俺はこうも考えてる。揉めるほど意見を言い合えるってことはそれだけ仲が深まったってことなんだ。親しくもない人間には最初から腹の内を広げてはなさいだろ」
「確かに……そうですね」
「考えてみろ、君と仲間たちと出会って経った時間はごくわずかだろう。だがそのわずかな時間でどれほどの経験を得た?」
 リムサロミンサでメ・ジスカさんと出会って、グゥーブーとの戦いで助けてもらってパーティーに誘ってもらった。その後はコスタデルソルでのキャンサーとの戦い、チャイライさんとヴェルモンと出会った。僕が使う魔導書に防具も仲間が作ってくれたからだ。仲間が作ってくれた防具があったからこそジルさんを守ることができた。
 仲間がいたからここまでこれたのに何をやってるんだ……
「僕、謝らないとですね。この広い世界の中で出会った仲間に……」
「きっとチャイライやヴェルモンの事だ君の行いに対して怒ってはいないと思う」
フルーツジュースを勢いよく飲み干し、ベンチから立ち上がると頬をパチンと叩く。
「ありがとうございます。ジルさん」
「いいんだ、そうやって自分の道を進んでくれ」
深く頭を下げて砂時計亭の方へ戻ろうと走り出したところでジルが声を掛ける。
「リディ!」
ジルの声に振り向く。
「巴術士としての力だけじゃなく、君がパーティーでできることを探すんだ!」
パーティーでできること……
「はいっ!」
元気な返事をして雑踏の中をすり抜けていくリディを見てジルは一安心した。
「調子が戻ったな」
 群衆の中を抜けてクイックサンドのある砂時計亭に来る頃には汗をびっしょりかいて肩で息をするほど全力で走った。
 怒って出て行った時と比べて体力を消耗していたが、入り口の大きな扉は軽く感じた。
「はあ……はあ……」
扉を開けてクイックサンドの中を見渡す。もしかして二人とも部屋に戻った?それともどこかに出かけた!?
 心の底から不安に駆られたが、その不安はすぐに払拭された。
「早かったなリディ!」
背後から聞き馴染みのある声が聞こえると、彼と肩を組んだ。
「ヴェルモン!」
「どう?気持ちの整理はついた?」
「チャイライさん」
二人と顔を見合わせてから深く頭を下げた。
「ごめん!二人とも」
するとリディの頭の真下にチャイライが入り込むと彼の頭を持ち上げた。
「頭は下げないで、仲間なんだから」
「だな、湿っぽいことは無しだ」
「言っとくけどアタシだってメ・ジスカが帰って来るなんてわかりきっているわ」
「そうだったんですか!ああ、なんてことを」
「気にしないで、まあでもアイツは父親と話を付けるべきね」
「メ・オスロさんとですか……」
「そ、まあウルダハにいる間でアイツの家に行く機会はあるでしょうね。それまで待ちましょ」
「それまで待ちましょって……その間どうすんだ?」
リディは拳を握り締めて口を開いた。
「もし、時間があるならやりたいことがあるんだ」
「やりたいこと?」
以前ウルダハに来て気になっていた場所があった。正直自分の手先の器用さにはあまり自身は無い、だけどそこで学んだことを生かせればパーティーのためにできることが増やせる。
 リディは二人に自分がやりたいことを正直に話すと、チャイライはにっこりと笑い、ヴェルモンはパンッと手を叩きガッツポーズをして「いいな!」と答えた。
「心に決めたからには頑張んなさい」
「おう!応援するぜ!!」
「ありがとう二人とも!うまくできるようになったら二人に渡すよ。いや二人だけじゃない、メ・ジスカさんにも!」
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