塔の最上階。
重く閉ざされた空気の中で、彼——エリディブスは立っていた。
その瞳には、過去の影と未来の幻が交錯している。
「在り得た未来の記憶、か……くだらない」
彼は吐き捨てるように言いながらも、遠いものを見つめていた。
心の奥で変わり、薄れ、やがて消えていった何か。
かつて、自分にもそれがあったのではないかと……。
彼は初めて姿を現した日のことを語り出す。
「砂の家」での邂逅、闇に覆われた第七霊災後のエオルゼア。
調停者として私に近づき、利用するつもりだったと。
だが、その道の果てに待っていたのは、仲間の喪失だった。
ラハブレアも、エメトセルクも——もう残るのは自分ひとり。
「ゆえに私は負けられない。ゾディアークを復活させ、命を呼び戻す」
その声は、決意と執念に満ちていた。
何千年、何万年かかろうとも、自分が成し遂げるのだと。
しかし、その背後から響く声があった。
「彼がそんな風になってまで立っているのには、理由があるはずだ」
「誇りを持っているのだな、エリディブス」
過去の仲間たちの面影が、一瞬だけ彼の中に揺らめいた。
「……誰に、何を誓った……?」
その問いは答えを見つけられぬまま、怒りと痛みに変わる。
「最後まで足掻くことの、何が悪いッ!」
魂を削る叫びと共に、彼は世界中の英雄たちへ呼びかけた。
「我が行く道の先に待つは、悲しみなき世界——祈れ、願え!」
その瞬間、目の前の男は「ウォーリア・オブ・ライト」へと変貌する。
「勝負だ、闇なる名で呼ばれし者よ……!」
古の術式が発動し、空間を切り裂く光が迸った。
これはただの戦いではない。
かつて英雄と呼ばれた者と、今を生きる者との、物語の決着だった。
――そして、剣と剣が交わる音が塔の頂を震わせる。