「まぁ好きで始めたクラスですから」
1日の仕事は生マユの入念な採取から始まる。熟練した職人の手でも1日に25個しか取れないという。
最近は1回でリーチゲージが無くならないと愚痴をこぼした。
「やっぱり一番うれしいのは1%のHQが出たときね、この仕事やっててよかったなと」
「毎回場所と収集率が違う、機械でも出来る」と語る職人は死んだ目で画面を見つめる。
基本的な流れは決まっているが、大量に増えた未知の最適なルートを構築しなければならないのが辛いところ、と彼は語る。
「やっぱりチョコボポーターと船を使った移動はキツイね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」
「でも自分が選んだ道だからね。後悔はしてないよ」
「このルートはダメだ。ほら、コーディアルに依存してるのでシャードでも掘った方がマシになってしまう」
彼の目にかかれば、見るだけでルートの良し悪しが分かってしまう。未知掘り職人、ここにあり。
今、一番の問題は後継者不足であるという。問題はすべての未知をソラで取れるようになるのに2Mはかかることだと、匠は語る。
「自分が気持ちよいのももちろんだけど、使ってくれる人はもっと気持ちよくないといけないね」
「もちろん採取したアイテムは一つ一つ私自身で並べています」
ここ数年は、複垢に押されていると言う。
「いや、ボクは続けますよ。待ってる人がいますから───」
未知掘りの灯火は弱い。だが、まだ輝いている。
「時々ね、わざわざtellまでくれる人もいるんですよ。これお願いしますって。ちょっと嬉しいですね」
「他サーバーからわざわざ求めてこられるプレイヤーが何人かいる。体が続く限り続けようと思っとります」
第七星暦713年、アイテムの飽和によるあまりの価格の下落に一時は未知掘りをやめることも考えたという。
「やっぱりアレですね、たいていの若い人はすぐやめちゃうんですよ。 練成パーティーで良いとか、クラフターでミラプリ触媒売ればいいとか…… でもそれを乗り越える奴もたまにいますよ。 そういう奴が、これからの未知掘り界を引っ張っていくと思うんですね」
最近ではそんな仕事に対する姿勢がクラフターにも注目されているという。 額に流れる汗をぬぐいながら―――
「最先端に追いつき、追い越せですかね」
そんな夢をてらいもなく語る彼の横顔は職人のそれであった。
今日も彼は、日が昇るよりも早く生マユの採取を始めた。 明日も、明後日もその姿は変わらないだろう。
そう、未知掘り職人の朝は早い。